今回の出張はGW期間中にまで食い込んだということもあり、日本からの連絡が殆どなかったので、出張用件に集中でき時間的・精神的にも普段の出張に比べると余裕あるものとなった。土日も挟まっため、日曜日の半日、駐在員の方にムンバイ―市内をご案内頂いた。当地の歴史や文化を知るのもビジネスを進めるにはとっても大事なことである・・・(と言い訳)。
【インド門】
英国王でありインド皇帝であったジョージ5世のインド訪問を祈念して1911年に建てられた植民地主義のシンボルである(「地球の歩き方」)。海に面して建ち、ムンバイーの入り口となっている。ローマやパリの凱旋門のような権威を感じる大門だ。ムンバイ―を代表する観光スポットであるだけに、インド人、外国人を問わず大勢の観光客で凄い賑わい。知らない間に私の写真を撮って手持ちのプリンターでその場で印刷し、「こんなあなたの格好いい写真が撮れているから買わないか?」という怪しげな写真屋さんから何度も声をかけられる。インド人の訪問者は地元の人か旅行者なのかはわからないが、みんな楽しそう。
<インド門と前の広場>
<インドの英雄 チャトラパティ・シヴァージー。17世紀、イスラムのムガール帝国からヒンズーの国家を打ち立てた。駅の名前も、国際空港の名前もチャトラパティ・シヴァージーだからどんだけ英雄なのかが分かる>
<インド門周辺。とっても賑ってます>
【タージ・マハール・ホテル】
インド門の向かいにはタージ・マハル・ホテルが建っている。1903年に建てられたインドで有数のホテル。インドの民族主義のシンボル(「地球の歩き方」)らしい。2008年のムンバイの同時多発テロの際にはテロリストに占拠された場所でもある。中に入っているみたが、評判通り格式の高さを感じるホテルだった。
<西洋的な建築様式とインド的な様式が絶妙にミックス>
【チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅】
世界遺産にも登録されている駅舎である。一見、欧州のゴシック調の教会のようでもあるが、インド的な要素も感じる不思議な建築物。外見も良いが、駅舎内も一部の切符売り場は教会を思わせる建築様式である。
<世界遺産にも登録>
<駅舎内>
<柱の根に掘られた動物>
ただこれが、駅ホームやホーム近辺になると様子が一変する。まさにインドなのである。列車を待つ人々が座ったり、寝転んだり、本当に寝ていたり、凄い喧騒。そして列車はエアコンなどもちろんない中に人が目一杯乗っている。
もううん十年も前だが、学生時代、中国大陸を桂林から昆明まで(たしか計36時間ぐらいかかった記憶)、硬座車(いわゆる2等車)に乗り込み、席を確保できないまま、360度、人と荷物で一杯の車両で押しつぶされるような姿勢で、匂いと熱気にやられながら、理解できない中国語を大音量でまくしたてる中国人に囲まれ、俺はこのまま列車の中で息絶えるんではないかと覚悟した学生時代のバックパック旅行の記憶がフラッシュバックした。
<列車を待つ人々>
<出発を待つ列車の2等車。窓に鉄格子がはめられていて囚人列車のようである。駐在者によると「あれは窓から降りたり、乗ったりさせないためですよ」とのことだが、本当だろうか?>
こんな2時間弱の市内周遊で十分すぎるぐらいのインドを感じることができた。
余談だが、この時期、インドは大統領選挙の真っ最中。順番に選挙区ごとに投票が行われるらしく、選挙に1ヶ月ほどかけるらしい。丁度、ムンバイを離れる日の翌日が投票日ということで、その2日前の夕刻からアルコール飲料の販売がレストラン・ホテル等の場所を問わず禁止された。駐在員さんの説明によると、酔った勢いで暴動等になるのを避けるためらしい。このアルコール禁止日をDry Dayと呼んでいた。
(つづく)