GW前半は出張と被ったが、後半は奈良に2泊3日の見仏ツアーに出かけた。奈良へは2年前の秋に薬師寺と唐招提寺、そして法隆寺ら斑鳩界隈を廻ったので、今回は奈良の本丸とも言える東大寺、興福寺とともに、中心部から離れた室生寺、長谷寺へ遠征した。
初日、お昼過ぎに奈良に到着したところ、ここはラッシュアワー時の新宿かと思わせる人込みでいきなり出鼻を挫かれた。前回、9月第1週の週末に訪れた際は、駅前も閑散とした感じだった(夕方、皇太子(現天皇陛下)が来られたので夕刻は混みあっていたが)が、まるで別世界である。飲食店の前には行列ができ、昼食はコンビニおにぎりを覚悟させられるほど。連休後半は、古都奈良でゆっくり見仏というのは妄想だったかと、自分の旅行計画を早々に反省。
<うどん屋さんも15分待ち>
とは思いつつ、15分待って入ったうどん屋さんは関西風出汁のとっても美味しいうどんだったので、機嫌も取り直した。食後、ホテルで荷を下ろし、まだ初日でエネルギーもあるのでさっそく散策。まずは、奈良公園、興福寺へ突撃。
<鹿せんべいに見向きもせず、人間をなめ切った態度の鹿たち。全然可愛くない>
《興福寺》
大混雑の三条通を抜けて到着したら、中金堂前庭にて藤原不比等公1300年御遠忌法要なるものが開催中で、奈良の要人らが招かれ盛大な式典をやっていた。(参列資格もないので)素通りして、まずは東金堂へ入る。本尊薬師如来像、日光・月光菩薩像(いずれも重要文化財)、文殊菩薩像と維摩居士像、四天王像、十二神将像(以上いずれも国宝)が、所狭しとなら並んでおり実に壮観。個人的には、四天王と十二神将の迫力に圧倒された。昨年読んだ伊藤せいこうとみうらじゅんの『見仏記』シリーズの影響で、ついつい邪鬼に目が行くのだが、邪鬼がとっても可愛くしっかり踏まれていた。よしよし。
<藤原不比等公1300年御遠忌法要>
<興福寺東金堂>
続いて、国宝館へ。見るもの見るもの殆どが国宝、重要文化財だから、ここはホント凄い。ただ、やっぱりここは阿修羅像がぴかいち。この均整の取れた見事なバランスは文句なし。仏教の守護神であるはずなのに、意味ありげな複雑な少年の表情も空想を掻き立てる。
《新薬師寺》
興福寺の仏像パワーと奈良公園の人の洪水にやられて、かなりエネルギーを吸い取られた。この喧騒から離れたく、奈良公園中心部は離れ、新薬師寺に足を向けた。ここまでくると奈良公園界隈の喧騒とは全く別世界。2年前は朝ランニングで通ったが、開館前で拝観はできなかったので初の訪問となる。『見仏記』では確か観光客へのマーケティングの上手さが記述されていた記憶があるが、あまりそうした雰囲気は感じなかった。お堂に入ると、薬師如来を中心に十二神将が取り囲む、独特の宇宙があった。この配置は、見せ方は独特だ。十二神将は1時間前に観た興福寺東金堂のそれらよりも随分と優しく穏やかに見えた。全体的に白っぽくなっている。調べたら、新薬師寺の十二神将は奈良時代、興福寺の十二神将は鎌倉時代の作。そんな時代の違いもあるのかもしれない。
《夜の部》
初日の観光はこれまでだが、夜に想定外の「あたり」があった。夜はJR奈良駅近くのスタイリッシュな焼き鳥屋さんで、奈良の地酒を3種類頂き、いい気分に。
その後、ほろ酔い気分でフラフラと奈良まちを歩いていると暗がりに輝く立ち飲み屋さんのようなお店。吸い込まれるように入ると、そこでは、奈良のお酒のみを扱い、県内29の酒蔵で醸造された120種類以上の地酒をすべて、おちょこ単位で有料で試飲できるというのだ。またお店のおじさんがうまい。「さっき、焼き鳥屋でこれとこれを飲んだら美味しかった」と言ったら、「じゃあこれも好きに違いですよ」と進めてくれる一献は、確かに好み。勧められるままに杯が進み、またたく間に奈良のお酒のファンに。お土産に一本購入して、すっかりお店に乗せられた形だが、満足度は十分で、奈良まで来てよかったと幸せ気分一杯でホテルに戻った。このお店「なら泉勇斎」というので、奈良にいったら是非、足を運んでほしい。
≪外見もGood≫
≪奈良のお酒だけ扱ってます!全部試飲できますよ。ハイ≫
<立ち飲み客がたくさん。直ぐ友達になれます>
(つづく)