その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

演劇 天野天街「1001」 少年王者舘 @新国立劇場 小劇場

2019-05-25 08:00:00 | ミュージカル、演劇

 全く新しいものを観た。2月に下北沢で見た芝居で井村昂さんという役者が目を引いて、その時貰ったチラシで次回は新国立劇場で所属の少年王者舘なる劇団で登場するというのでチケットを購入していたのだが、言葉にできない衝撃的な世界だった。

 少年王者舘というの団体は、演出家・天野天街が率いる名古屋の劇団だそうなのだが、新国立劇場演劇部門芸術監督の小川絵梨子氏もファンだという。東京では、下北沢のスズナリとか、いわゆる小劇場で活動しているようだ。

 2時間15分ぶっ通しの演劇(丁度真ん中ぐらいで1分ぐらいの間は置かれる)は筋があるようで明確なストーリーはない。アラビアンナイトを想像させるテント小屋や建物のセットが置かれるが、時間や空間は曖昧。演劇は、短めの台詞が役者たちがユニゾンし、リフレインされて展開する。台詞はシェークスピアのように、少しずらされたり、同音異義でつながれたり、多彩な活用が施される。そして、照明や映像効果(プロジェクションマッピング)を最大限活用され、役者と観衆ともども現実と非現実的の間をさまよう。後半には幻想的な群舞も入り、その意味・場所・時間不明な世界は最高潮に達する。

 登場人物も多いこと、明確な主役・脇役というのも存在せず、いくつかのエピソードが自然と連携し流れていくので、個々の役者さんは見分けがつきにくい。井村さんの存在は明確に分かったが、いくまでも全体の中の一パーツに徹していた。終わってみると、自分はこの演劇で何を観たのかと問われても、できないもどかしさもある。その観劇体験の不思議さはこれまでの経験には無かったものだったが、間違いなく私好みの世界だった。

 また行かねばならない劇団が一つ増えた。

(2019年2月19日)

2018/2019シーズン
演劇「1001」
少年王者舘

スタッフ

作・演出: 天野天街
美術: 田岡一遠
美術製作: 小森祐美加 岡田 保
映像: 浜嶋将裕
照明: 小木曽千倉
音響: 岩野直人
振付: 夕沈 池田 遼
音楽:珠水
衣裳:雪港
小道具:る
演出助手山田 翠
舞台監督:大垣敏朗

キャスト

珠水 夕沈 中村榮美子 山本亜手子 雪港 小林夢二 宮璃アリ
池田遼 る 岩本苑子 近藤樺楊 カシワナオミ 月宵水
井村 昂
寺十 吾 廻 飛呂男 海上学彦 石橋和也 飯塚克之
青根智紗 石津ゆり 今井美帆 大竹このみ 奥野彩夏 小野寺絢香 小島優花
小宮山佳奈 五月女侑希 相馬陽一郎 朝長愛 中村ましろ 新田周子 一楽
野中雄志 長谷川真愛 坂東木葉木 人とゆめ 深澤寿美子

コメント
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