今シーズン最後のN響定期演奏会。鈴木優人さん指揮でバッハ、モーツァルトの間にブリテンを挟む、「古典形式の美を追求」(N響ツイート)したユニークなプログラムです。
2曲目のブリテンのヴァイオリン協奏曲には肝を抜かれました。快演かつ怪演とでもいうのでしょうか。私は、全く初めて聴く曲で、音楽的意味合いは全く理解も表現もできないのですが、演奏の現場にいて鳥肌たつ音楽体験でした。
ソロの郷古さんのヴァイオリンがキレキレかつ音色が実に美しい。そして、2枚目俳優のようなお顔立ちに加え、演奏姿も格好良く、ホント男惚れするほどです。全般的に「暗」の部分が多い曲で決して聴きやすい類の音楽ではないですが、オケも緊張感溢れるアンサンブルで同僚の郷古さんをしっかり支えていて、感動的な演奏でした。
アンコールは、イザイ作曲 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ホ短調 作品27-4 第2楽章「サラバンド」。
後半の〈ジュピター〉は聴いているようで、意外に生演奏に接している機会は多くありません。なので、とっても楽しみにしていたのですが、曲が始まると、なぜか仕事のことが急にいろいろ頭をよぎり始め、残念ながら音楽に集中できませんでした。来月から会社と仕事が変わるので、残務の整理や引継ぎやらでせわしいのと、思案中の新しい会社でやるべきことが、脳裏をよぎり始め落ち着かないのです。(こういうことって、皆さんないんですかね?)
ただ、音楽の力とでも言うのでしょうか。第4楽章を聴いていて、不安定な気分が段々と楽観的なプラス思考に変化していきました。最後は、何とかなる、きっとうまく行く的な、フェーズ変換が起こったわけです。
まあ、実質的には何も変わってないわけで、一時的な気休めに過ぎないといえば、そうなのでしょうが、人間の難しいこと、面白い所はそうした気休め一つで、行動も結果も変わってくるということなんですよね。そういった意味で、大きな力を貰った鈴木さんのジュピターでした。
第1961回 定期公演 Bプログラム
2022年6月23日(木)開演 7:00pm
サントリーホール
指揮:鈴木優人
ヴァイオリン:郷古 廉
バッハ(鈴木優人編)/パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582
ブリテン/ヴァイオリン協奏曲 作品15
モーツァルト/交響曲 第41番 ハ長調 K. 551 「ジュピター」
No. 1961 Subscription (Program B)
Thursday, June 23, 2022 7:00p.m.
Suntory Hall
Masato Suzuki, conductor
Sunao Goko, violin
Bach / Suzuki / Passacaglia and Fugue C Minor BWV582
Britten / Violin Concerto Op. 15
Mozart / Symphony No. 41 C Major K. 551 "Jupiter"