その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロンドン 国会議事堂見学

2011-10-08 11:52:18 | ロンドン日記(イベント、観光、スポーツ)
 ちょっと前の話ですが、とある日系旅行代理店が企画する国会議事堂ツアーに参加しました。議会がお休みになる夏の期間、あのビッグベンで有名なイギリスの国会議事堂内を見学できます。普通に訪れても議事堂の英語ガイドによるツアーに参加できるようなのですが、100%理解できる日本語による解説を求めて代理店企画の日本語によるツアーに参加しました。



 2時間半あまりにツアーですが、これはお勧めです。長い歴史を誇るイギリス議会の歴史と伝統を肌で感じることが出来ます。いくつか驚きがありました。

(入り口のウエストミンスターホール 写真撮影はここまで)


 貴族院(上院)と庶民院(下院)の内装の著しい違い。貴族院の内装は、豪華絢爛そのもの。赤を基調にしたソファに、金ぴかの壁。女王が着席する玉座なんぞは眩くて目がくらむ程です。一方で、庶民院のほうは地味というか、質素なものです。緑基調のソファに、木の壁。色合いも、装飾も質実剛健にまとめています。さすが、身分制社会と妙に感心してしまいます。

 また、貴族院、庶民院ともに本会議室がとても狭いのに驚きました。日本の国会は小学生の時の社会科見学以来行ってませんが、間違いなく、日本の本会議場とは比較にならない程狭いです。下院は国会議員数659に対し、座席数は437しかないのです。与党と野党が近い距離で正対しているのも面白いです。近い距離で正対することで議論を活発化させるためとか。確かに、会社でも大会議室の会議はあんまり盛り上がらないからね。

 建物通じて、歴史の風格を感じないわけにはいきません。もともとは王室の居城だったこの場所が議会として利用され始めたのは13世紀からとか。その後、1834年の家事により旧建物は焼け、今の議事堂が再建されたそうですが、いたるところにこの現代につながっている過去を見られます。歴代の王/女王や首相の肖像画、書棚、ロビーの装飾などなど、見ているだけでため息が出ます。

 国会の会期中は国会見学はできるそうですが、このように本会議室に足を踏み入れたりは出来ないでしょう。今年はもう手遅れですが、是非、機会があったら試してみてください。

(テムズ川から見る議事堂)




 ※イギリス国会のHPはこちら→

 2011年9月3日 訪問
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A.シーグフリード (著), 鈴木 一郎 (翻訳)  『ユダヤの民と宗教―イスラエルの道 』 (岩波新書 青版)

2011-10-06 22:05:04 | 
 海外に居ると、読める(日本語の)本がどうしても限られてしまうのが難点だが、日本に居たら絶対に読まないだろうなあと思う本を読むことがあるのは面白い。本書もその一つ。ロンドンの日本語古書店で見つけた1967年第1刷の岩波新書青版。フランス人の学者が書いた翻訳本で原作は1957年出版である。

 西暦紀元前2000年頃のアブラハムの時代から現代に至るまでのユダヤ人の歴史を描いているが、キリスト教分離までの記述が全体の2/3を占める。40年以上前に書かれた古い本ではあるが、歴史を扱う本なので古さは感じない。ユダヤ人についての歴史考察というのはこうやって綿々と引き継がれていくのだろうと、変なところで感心した。

 きっとユダヤ人のことをもっと知ろうと思えば、日本人に向けに分かりやすく書かれている本があるだろう。でも、クリスチャンの西洋人から見たユダヤ教、ユダヤ人について書かれた本というのも参考になる。「西洋は理性と秩序の意識をギリシャとローマから受けついでいるが、同時に一神教と道徳の法則、預言者のもたらした義に対する畏敬の念や不安や懊悩をユダヤからうけっている。」(p2)などと西洋人に書かれると、「なるほど」と妙に説得力があるように思ってしまうのである。

 翻訳も読みやすいので、手軽にユダヤ人の歴史について知るのには、手ごろな一冊。
コメント (2)
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グローブ座 『フォースタス博士』 (Doctor Faustus)

2011-10-05 22:14:37 | ミュージカル、演劇
 グローブ座に、クリストファー・マーロウの戯曲『フォースタス博士』(Doctor Faustus)を見に行く。

 恥ずかしながらこの舞台を見るまでは、クリストファー・マーロウという16世紀のイギリスの戯曲家は知らなかったし、ゲーテ以前にファウスト博士伝説を元にした戯曲があったことも知らなかった。てっきり、ゲーテの『ファウスト』をいじったものをやるのかと思って出かけたのである。開演前にプログラムを読んで、初めてこれが、謎の人生を送ったクリストファー・マーロウという人(Wikiはこちら→)による「ファウスト」なのだと知った次第である。

 筋は、悪魔と魂を売る契約することは似ているが、善天使や悪天使が出てきたり、ローマ教皇を笑いものにするところなどは、オペラやゲーテ(読書は、まだ第3幕の途中でストップ中)とは違っている。(Wikiはこちら→
 正直、大筋は分かるものの細かいところになると台詞が聞き取れない芝居は、観ていてつらかった。ファフォースタス博士のPaul Hiltonと、メフィストフェレスのArthur Darvillの2人の役者さんがしっかりしていて舞台にはとっても安定感があったし、演出も奇をてらったところは無く、シンプルな中に観る者の想像力をかきたてるようなところがあり、好みだった。しかし、台詞が分からないのはつらいなあ~。せめて字幕があれば良いんだけど。

 なので、自分としては自分の英語力に対する劣等感が先に立ってしまい、芝居は2の次と言う、ちょっと後味の悪い観劇となってしまった。

 ※今回初めてグローブ座の2階席に陣取ったが、舞台全体が見渡せてとっても良かった。



2011年9月18日

Doctor Faustus
A terrifying exploration of the human and the divine.

Written by Christopher Marlowe

CREATIVES
Director: Matthew Dunster
Designer: Paul Wills
Composer: Jules Maxwell
Puppet Director: Steve Tiplady
Choreographer: Georgina Lamb
Magic Consultant: Richard Pinner

CAST
Charlotte Broom
Bad Angel/Alexander's Paramour

Michael Camp
Duke/Frederick/First Student/Cardinal of Padua/Covetousness

Richard Clews
Dick/First Scholar/Friear Sandelo/Envy

Nigel Cooke
Lucifer/Pope Adrian/Horse Courser

Jonathan Cullen
Valdes/Pope Bruno/Carter/Gluttony

Arthur Darvill
Mephistopheles

Robert Goodale
Raymond/Old Man/Cornelius/Nan Spit

Paul Hilton
Doctor Faustus

Sarita Piotrowski
Helen/Pride

Will Mannering
Benvolio/Second Scholar/Third Student/Cardinal of France

Pearce Quigley
Robin/Alexander

Iris Roberts
Hostess/Lechery

Beatriz Romilly
Good Angel/Duke's Servant

Felix Scott
Wagner/Emperor Charles/Wrath

Jade Williams
Duchess/Sloth

Chinna Wodu
Beelzebub/Martino/Second Student/Archbishop of Rheims

Musical Director
Genevieve Wilkins

Musicians
Stephen Hiscock
Harry Napier
Jez Wiles
Paul Johnson
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LSO/ デイヴィス/ ベートーベン ピアノ協奏曲第3番 (内田光子) ほか

2011-10-03 23:16:45 | コンサート (in 欧州)
 暑い日中はフラットに引きこもり、夕方、満を持してバービカンホールへ出撃。

 もう19:00過ぎには暗くなるまで日が短くなったが、日中の陽の余熱を持ったバービカンセンターのテラスは、10月とは思えないほどの暖かさで、ビールがぴったりの気候。



 この日は、デイヴィス御大による、ハイドン、ニールセン、そしてトリが内田光子さんのベートーベンピアノ協奏曲第3番というプログラム。

 冒頭のハイドンの交響曲第92番は、「つべこべ下手な理屈を考えるよりも、素直に音楽の美しさ、楽しさを存分に味わいなさい」とお説教をされているような演奏。リラックスしてただ音に浸る。そんな感じ。

 好対照に2曲目のニールセン交響曲第1番はすごい爆演。最初からフィナーレまでペースやパワーが緩まることなく、ほとばしる若さで駆け抜けるような演奏。1階席の前から12列目ぐらいの位置だったが、凄い音に耳が痛くなるほど。ただ、初めて聴く曲のためか、結局、私には聞き所がわからず、ただただ呆然とパンチドランカーのように打たれまくって、訳もわからないまま、圧倒されただけということになった。圧倒はされたが、感動はない。ちょっとニールセンは苦手かもしれない。



 そして、圧巻は休憩後の内田光子さんのベートーベンのピアノ協奏曲3番。内田さんのピアノはこの日が3回めだが、間違いなくは今までで最高に胸が揺さぶられた。

 ベートーベンとは思えない優しい暖かさ一杯の演奏で、一つ一つの音が弾んでいて、気持ちが入っている。いつもの顔芸は控えめだったけど、全身全霊を傾けて弾いているのが良くわかる。この人のピアノを聴いて思うのは、とても純粋な方だろうということ。ベートーベン的な激しさとか、厳しさという情熱よりも 純粋に音楽を楽しもうとする思いが音ににじみ出ている。彼女がモーツァルト弾きであることは有名だが、このベートーベンもモーツァルトの曲のように優雅なピアノに聴こえた。ピアノやオーケストラが一方的に目立つわけでなく、デイヴィス御大やオーケストラとの息もぴったりで、厚い信頼関係の上にある、至福の演奏だった。

 ロンドンの聴衆に内田さんは大人気である。演奏が終わると、明らかに電車の時間を気にしてすぐに席をたつ人以外は、立つ気配が全くない。止むことのない拍手に何度も呼び出されていた。



2 October 2011 / 19:30
Barbican Hall

HAYDN Symphony No 92 ('The Oxford')
NIELSEN Symphony No 1
BEETHOVEN Piano Concerto No 3

Sir Colin Davis conductor
Mitsuko Uchida piano
London Symphony Orchestra
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夏日のロンドン

2011-10-02 22:56:13 | ロンドン日記 (日常)
 この1週間のイングランドの暑さは異様です。今日の日曜日は、何と最高気温29度。史上最高の10月の気温であり、かつアテネ、ロスアンジェルス、バルセロナよりも暑かったとか。変りやすいロンドンの天気が極めて安定しており、日本の太平洋高気圧が居座った夏のようです。今日の私は朝走った以外は、日中は部屋に引きこもり、暑さを凌いでました。

 朝のうちはまだ涼しいのですが、朝日の強さは、一日の気温の上昇を予感させるものでした。下は、今朝のハムステッド・ヒースから。







 2011年10月2日 

 
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