★★たそがれジョージの些事彩彩★★

時の過ぎゆくままに忘れ去られていく日々の些事を、気の向くままに記しています。

人生のエアポケット

2022年07月13日 13時09分23秒 | 徒然(つれづれ)
 人生にはエアポケットみたいな期間があるものだ。
 過去の出来事は、記憶を辿ればあらかた思い出すことができる。

 しかし、人生には記憶がおぼろげな、あるいは喪失したような期間が存在する。
 その期間の自身の所在や状況はわかるが、実際に何をしていたのかが思い出せない。
 いわゆる空白の期間だ。

 私のそれは、大学を卒業して就職した、1978年の3月下旬から8月中旬までの期間だ。
 3月の半ばくらいに京都の小さな会社に就職が決まり、その会社の紹介で、学生下宿から伏見区墨染の安アパートに転居した。
 8月下旬くらいから、その会社に私のあとに入社した今の家内と、北区の家内のアパートに転がり込んで同棲を始めた。

 その3月下旬から8月中旬までの、ひとり暮らしの期間の記憶がほとんどないのだ。
 記憶にあるのは、墨染駅からアパートまでの坂道と、駅の反対側の銭湯、夕食で通った中華屋、会社の帰りに寄ったパチンコ屋、2回ほど行った伏見ミュージックくらいだ。

 就職直後の緊張や、仕事や車の運転を覚えるのに必死で、日常生活の記憶がないのかもしれない。
 当時は土曜日も仕事で、気の休まる暇がなかったのもその原因かもしれない。

 会社も中小企業で、営業の仕事に将来が見えなかったことも影響しているのだろう。
 あの頃の私はどこをどう歩き、何を思い、何をしていたのだろう。

 20数年後に墨染のあたりを訪ねた時には、私を拒絶するかのように、駅周辺の様子はガラリと変わってしまっていた。
 もちろんあの安アパートも、影も形もなくなっていた。
 私の人生のエアポケットの手がかりは、もはやどこにも存在しなかった。
 


ビートルズのジョージ、ストーンズのキース。どちらも伝説のバンドのリードギタリストだ。そのふたりに共通するのがヘタウマ。ロックの有名なギタリストと比べると、そのテクニックの巧拙は素人目にもわかる。しかしそのサウンドには、他のギタリストには出せないオリジナルな味わいがある。それがビートルズやストーンズを、伝説にならしめた要因のひとつだと言っても過言ではないだろう。 そんな味わいの小説を、Amazon Kindle Storeに30数冊アップしています。★★ 拙著電子書籍ラインナップ・ここから買えます。
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