虹色仮面 通信

神出鬼没なオッサンが毎日感じたことを取り留めなく書き連ねます

セールスの巧拙

2016-03-14 09:19:50 | ビジネス
ちょっと前の話。

某所での打ち合わせが終わり、事務所へ帰る途中のこと。
中途半端な時間があったので、道路沿いのカーディーラーに立ち寄った。

ちょっと気になるクルマがあり、その試乗が目的でした。

ディーラーに着くなり、試乗したい旨を伝えて、少ししたら試乗を開始。
生憎、雪が降り続く天候で、道路は凹凸が激しい状態。
クルマの善し悪しを判断するには絶好のコンディションといえた。

約10分の試乗を終えて、そのクルマには充分に満足。

その後、このクルマについて、ひと通り説明してくれた。
試乗の車内でいろいろ聞いてきて、この男(私のこと)はそれなりに、このクルマに対する知識があるとわかっていたはずなのに、通り一遍の説明をじっくりしてくれた。
その段階で「わかってない(感じてない)な!」と。

どうやら、この客(私のこと)は、このクルマに興味があるようなので、決算期に乗じて売りたい(買わせたい)と考えたようだ。

こちらは一応、営業のプロである。
そこらのタイミングは、ちょっとも見逃さない。

なので、少し経ったところで「今のところ、買う気はありません!」とはっきり伝えた。
しかし、決算期ゆえノルマが課せられているのか、その意思表示に反して、かなり積極的に売り込みをかけてきた。

そこで返す刀で「気持ちは有り難いですが、先ほどお話ししたように『今は買う気はありません』と」再度念を押す。
それでも「そうはいいましても…」と応酬話法で切り返してくる。
※この会社の販売マニュアルにあるのだろうか?

でも、要らないものは要らないのであって、あくまでも、どんなクルマなのかに品定め(テイスティング)したいだけなのだ。

そこらの(客の)雰囲気=気持ちを感じ取れずに売り込んでしまっている段階で、そのクルマに対する気持ちを失せてくる。
もっといえば、このセールスやディーラーから買いたくない気持ちが支配してくる。

若いセールスだったので、その辺りの経験が不足していたのだろうが、何とも勿体ない。
1台でも多くクルマを販売したいのはよくわかる。
とくに、決算月=3月だから、より一層その気持ちが高まるのも理解できる。
上司や会社からも、事あるたびに「どうなんだ!」といわれているのだろう。

でも、お客の気持ちを蔑ろにしては、それまでの苦労も水の泡になってしまう。
おそらく逆効果が生じてしまうだろう。

また、お客にとって、決算もキャンペーンも関係ないのだ。
今すぐに購入しようと思っていれば、いいチャンスだが、冷やかしの客には全く関係ないこと。
あくまでも、売る側の事情に過ぎない。

今すぐに売れないのなら、クルマやディーラー、そしてセールス自身のファンづくりすればいいのに…。
そこが上手いかそうじゃないかが、実績の差となって表れてくる。
これは今も昔も同じこと。
長年、その道で活躍している人たちは、その辺りが巧みだし、お客が中心に据えて考えるのが徹底されている。

自動車ディーラーに限らず、いろんなお店や展示場に行くと、個々の店舗(企業)や販売員の資質(教育の質)が見えて面白い。
そして、わが身を顧みるにも良い機会になる。

現代は押しまくるだけでは、物は売れません。
まずはファンづくり。すべてはそこから!
そして、そのお客の求めで答えられる範疇で答えていくのが、セールス(販売員)の務めなんだと、このディーラーに行って再認識した次第です。

ps、お客の側も買う気があるなら、決算月にお邪魔してもいいですが、そうじゃなければ、時期をズラした方がベターですよ!