木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

栃テーブル 拭き漆

2009-05-05 08:26:51 | 
制作中の栃のテーブル
拭き漆の工程も半ば。

生漆を漆刷毛で塗り(というより摺り込み)、乾かして耐水ペーパーで研ぐという工程を、240番、320番、400番と繰り返し、やっと600番。
これで下地ができれば完了です。
この研ぐという工程、制作の中で一番大変な作業です。
最近、エアーサンダーの導入でずいぶん体力的には楽になりましたが、最後の仕上げは状況を見ながら手で研ぎます。


水分を乾かしてからまた漆を塗ります。
この頃になると木地が漆を吸いしっかり固まってきていますから、篦で漆が良く伸びます。


まだ若干木が漆を吸いますので、さらに刷毛で摺り込みます。


その後、綿布を使って、漆を拭き取ります。これからの工程でムラができないためには徹底して拭ききることが大切です。
これから、漆を塗っては拭くという作業が始まります。

では、今までの作業は?というと、いわば拭き漆の下地作り。
拭き漆というと、空研ぎした木地に漆を塗っては拭くという作業を繰り返して仕上げるのが一般的なのですが、
この研ぎの工程を入れることによって、より丈夫な拭き漆ができるのです。

ちなみに、この箸箱

この拭き漆の方法で仕上げ、知り合いにお願いし約2ヶ月間毎日食洗機にかけてもらいました。(我が家には食洗機がないのです。)


乾燥によるごくわずかな木の痩せはみられましたが、「塗り」ではなく「拭き漆」にも関わらず、狂いも漆の傷みもほとんどみられませんでした。
この拭き漆の技法は、黒田乾吉木工塾で先生に教えていただいた方法です。
木地を作る工程よりむしろ拭き漆に時間がかかり大変なのですが、長く使っていただける丈夫で美しい作品を作るために本当にすばらしい技法であることを再確認しました。




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