夏の強い日差しが今日は幾分薄らいで、部屋の中には心地よい風が吹き入ってくる。
洗躯したタローの抜け毛をブラッシングしてから、昨日の妻との約束どおり、奥多摩渓流の「寒山寺」近辺を歩いた。
車でおよそ25分のところに『寒山寺駐車場』はあり、平日なので余裕のあるスペースに車を入れることができた。
渓流沿いに坂を下っていくと、吊り橋の袂に『寒山寺』があるのだが、今日は見上げただけで吊り橋の中ほどに進み、川風を受けながら幼鮎の群れを眺めたり、友釣りの竿さばきに見入ったりしていた。
橋の上からの眺めは涼感に満ちている。
とうとうと流れる水量は豊かで、かなりの速さで下流へ押し出されていく。
身辺のごたごたも一緒に流れ去っていくような爽快感がある。
「あっ、いま銀色が光ったよ」
妻が橋下の一面に敷かれた玉石の川底を覗き込んで言った。
「沢山いるね、細身の姿を見ると鮎の幼児かもしれないよ」
「集まっているところを網ですくったら獲れるかもね」
「幼鮎は獲ってはいけないことになっているんだ・・・」
ろくに釣りもしない私が言った。
まだ釣り果が芳しくないのか、釣人は橋下では一人のみだった。
吊り橋を渡りきって、対岸の遊歩道を川上に向かって歩くこと少時、岸辺に下りて川水に触れてみる。
『わあっ!冷たい』妻がびっくりした声を上げた。
「ちょくちょく来たいね」
「近いんだから暇を見てこれるよ」
帰りがけに「澤ノ井」の川沿いガーデンで「卯の花饅頭」を食べながら、美味しい甘酒をいただいた。
渓流に憩う