混沌とした世情には混沌なるが故に、ある方向性が発出してくるものか、大国の一つが暴虐の限りを尽くしていると思えば、中小国が国際条約に反する核実験を強行して、自国の存立の基盤を確かなものにしようと、それなりの経緯を辿った自己擁護なのだが、大国の劣化現象とか、弱小国の酸欠状態が臨界に至らしめたとかがあって、すべては『足掻き』による溺れ寸前の水難者ごとき様相にある。温暖化による異常熱波や自然発火による山火事は、自然界の逆襲の表れであろうし、人間の自虐性を問う自然界の諫めとして現れている。
人心が乱れるときには精神論とか宗教性の論説が出回るけれど、最近手に取った本に『歎異抄をひらく』がある。歎異抄は司馬遼太郎が『無人島に1冊の本を持って行くなら歎異抄だ』と言ったくらいだから、かなり重いテーマを扱っているのだろう位の気持ちで読んでみた。高森顕徹著『歎異抄をひらく』を一言で言えば平明で分かりやすい(感じのする)原文付きの解説である。ベストセラー本で原本は唯円という親鸞聖人の御弟子が、聖人の教えを正しく伝えていない一部の宗門の異なるを嘆き、その誤りを正したものであるが、最後の18章には六波羅蜜の行である布施について、胸のすくような名文が載っている。つまり、布施は額の問題じゃないよ、真心があれば、弥陀の本願を一心に求めていれば、一紙半銭さえも納められずとも、仏の本意に叶うのだよ、と。どこかの寺門では高額な寄付を強要するところもある当世のこと、不信心極まりなしはどこじゃ。
コロナ感染が5類に移行してから、町中の往来も元の混雑ぶりを見せてきた。と言いたいところだが、エリスとやらの変異株、EG.5コロナが急激に感染を広げているらしい。5類になった時点で予想はしていたけれど、一度外れたタガは閉まらないもので、マスクなしの店舗内ショッピングの人たちには驚いた。猛暑炎天下をマスクして歩くのも酷な話ではあるけれど、又もや感染のピークが囁かれているのも、モヤモヤ感を増幅させるものだ。コロナワクチンの接種呼びかけも、トーンダウンの昨今ではあるけれど、効果的には1回よりは2回、2回よりは3回と、回を重ねる度に死亡や重症度の確率は減少する。と、ジェトロ(日本貿易振興機構)の後遺症レポートが述べている。これって米国における統計を元にしているから、ジェトロなんだろうね。
自分のことで言うと、4回の接種を受けた段階では直後の異常は見当たらなかった。だが、1、2ヶ月経ったある日、横になっていると突然むせ返って呼吸が苦しくなり、ヒューと肺門の叫びのような喉笛が続いたのである。酸素の取り入れが困難な状況で、脇腹片面の刺すような痛みも伴った。過去に帯状疱疹を患ったところである。女房殿の判断では、副作用、副反応ではないかとのご指摘でした。近くの総合病院内科で診察を受けると肺に水が溜まっているという。抗生物質を投与して何とか状況改善にいたっている。こんなことがあって、5回目のワクチン接種は敬遠しているが、マスクと手洗いと、うがいの励行は今も続けている。
台風13号が関東地方を直撃しそうな進路予測である。何度も予測の猛襲から外れていた我が家にも、年貢の納め時が来たというべきか。明日のことは明日のこと、とか言っているのも今のうち、暴風雨圏に入るときは、事前に外回りの器物を固定してきたし、今回もそうするつもりでいる。そうした上で台風に振られたなら万々歳ではないか。台風の危惧と言えば、もう一つのマスコミ旋風がテレビの画面を揺るがした。ジャニー喜多川氏の性加害問題だが、不思議に思うことは、なぜ性倒錯が起きるのか?なぜ未熟な少年に対する性志向が繰り返されてきたのか?当事者にも分からないかも知れない肉体の呻きを、どのような神の采配で組み込まれて、人類の歴史に付随してきたのか?当事者にも分からないものを一介のブログ人が分かるはずもないけれど、三島由紀夫の『仮面の告白』なんかを参考に推察すれば、何か肉体的なコンプレックスが下敷きにあるのでは?などと根拠もない推察をしてしまうのである。
ジャニー喜多川氏の未成年者志向が注目されるのは、被害を受けた元少年の心の傷が深いであろうと容易に察せられることだ。一生をフイにした罪は、あの世ではなく、この世で裁かれるべき人倫の問題であったと思う。
テレビを見て心酔するってことは殆ど無かったはずだが、今夜のNHK番組で観た「おわら風の盆」は魅せられた。ゆったりと流れる盆唄のリズムに合わせて、踊る仕草の優雅さ、気品のある身のこなしと手足のしなやかな動き、表情が菅笠に隠れて見えないだけに、しなやかさが一際冴える。踊る男女も町の様子も艶っぽい気風を放出していながら、気高い心意気が伝わってくる。遠いとおい心のふるさとに出会ったような心持ちがしたものである。しっとりとした情感に充たされた夜であった。
「卵巣良性嚢腫」という聞き慣れない病名を頂いた奥さん、最初の気づきは尿道閉鎖でおしっこが出なくなったこと。で、泌尿器科クリニックを受診してエコーで診ると、「卵巣の奥にもう一つの卵巣がある」と診断された。初めてのケースなので判断できないと、地域の大きな病院を紹介された。ここでCTスキャンやMRI断層写真を撮った結果、卵巣に水が溜まり、10センチ程に肥大して膀胱を圧迫している事が分かった。しかしここでも処置が難しいとして、地域の基幹病院を紹介された。基幹病院なので患者が集中して一定の期間待たされたが、腹腔鏡手術で卵巣と卵管を摘出、術後4日目に退院した。基幹病院の決まりで長くは居られない。手術の際に帯状疱疹を患っていることも判明して、賑やかな医療騒動でもあった。「痛い痒い」は特徴で、帰宅してからがまた一騒動、アレルギー体質なので塗り薬も弱いものに変えたりした。現在は症状も落ち着いて家族の食事なども作れるようになっている。なんで卵巣に水が溜まったかは不明のままである。