どこかで遠雷のような空気を震わせて
21世紀の神話が作られている
懐かしくも恐ろしい皮膚感覚が
電光石火のように時を飛び超えて
歴史の井戸水を汲みあげているのだ
氷河は溶けて流れ
霊峰の法師は山に戻らない
何時からか神泉は枯れたまま
野獣の棲家となった
「時」が眠りから覚めるまで
荒野はお前のなすがままだ
古代は神話の世界でもある。
澄んでいる泉水を掻きまわす愚劣は相応しくない。
とは言っても先達の古代史は、私にとって
洞穴の一灯に相応しく、一灯に照らされた
絵を見た思いがしたのである。
日本の古代史は先住民族の支配地域に、新しい渡来民族が入って来たことによって劇的に展開した。その地が北九州である。
古社の祭神では高木神と天忍穂耳尊、大国主命の三柱が広域に祭られている。
大国主命の子孫が九州中南部を支配していたところへ、北部の天孫族連合が侵攻し、敗者の姫との婚姻によって両者はした。婚姻によって九州一円が天孫族の支配するところとなった。おそらく流血は最小限にして、多勢を味方に引き入れる方策だったのであろう。
天孫族の基盤が九州に出来上がった。これまで列島を支配していた倭国の大王は、大国主とその子孫であるが、出雲大和に至っても天孫族の策は引き継がれていくこととなる。神武天皇の東征が長髄彦を徹底的に打ち砕いたとしても、多くの倭国民を同化して日本国民としてしていった方策は一考させられる。