『OCNブログ人』終了の前に、何処に移行しようとかと考えたところは、「BIGLOBEウエブリブログ」でした。早速移行したところ、消えていたと思っていた日記記事が出てきたのには驚きです。
2006/11/23『記憶の欠片』を一部編集して再録してみます。
文末に付加追記したものを、文頭にもってきました。
《追記》
『記憶の欠片』をブログに載せたのは、私がウエブを始めてから1年ほど経った頃に、ある事件が起きたためであります。ある時、私のブログに『893って知ってるか?・・・○○(名字)と言えば私が誰だか分かるでしょう』といって、あるブロガーのページを紹介していました。
そのページと云うのはサークルの名で『平家集まれ―』と云うものでした。主催者の名前もわかっています。
紹介されたサークルを覗いてみたものの、秘密結社みたいなので中には入って行きませんでした。何よりも私は平家一門ではないし、囲いを作っているサークルに嫌悪感があったので、そのまま放置しておきました。
時を同じくして並行する事件が起きていました。こちらが本流の核心とも言うべきものでしたが、ある文芸サークルのオーナーである投稿句添削者が、私の「パソコン」のアクセスによってデーターが消失したと云うのです。おまけにその縁者から『オーナーは消失を苦にして死んでしまった』と云うのですから驚きました。実際には死んでいなかったことが後に分かりましたが、このオーナーと先ほどの『893って知ってるか?』と言った知人は繋がっていたのです。
いつの間にか私は、自分の知らない罪によって、全国的に『指名手配状態』になっていたのです。命の危険もありました。長い間苦痛を強いられたのです。何よりも住んでいる町の人から、『町からオン出してやる!』と暴言を吐かれた時は絶句しました。
ただ、この件は何の嫌疑だったのか?ということです。
対象がはっきりせず空を掴むような話ですから、とても警察沙汰にはできません。
私なりに推察してみると、どうやら知人の《家系的怨霊による霊的障害が根底にある》と見ました。
そこで私のブログで彼に訴えたのです。『いったい私は何をしたと言うのか?命を狙われるほどの何をしたと言うのか?霊的時代は何でもアリだ!』内容的にはそのようなものでした。
結果的にはそれが功を奏して、事件の核心は遠のいたのですが、『指名手配状態』は置き去りになったままで(彼らは最後の処理をしていない)、今でも街の馬鹿どもは、私を変な眼で見ていることだろう。
ただ言えるのは、私自身の姿勢方向性が「潔癖」であろうとする、真っ向な思いに託して生きているので救われているのです。
タイトル
本文
「Cさんへ返したほうが良いって言ったんだけど・・・」
M子は工場玄関のロビーに居たC太郎に近づいて、誰も周りに居ないのを確かめてから、細い声で言った。
C太郎は黙ったままM子の言葉を待ったが、階段から降りてくる社員の足音がしたのでそ
れっきりになってしまった。
「・・・返すように・・・か」、C太郎はM子の言葉に自信の無さを感じて、返す気はないのだろうと内心思った。後に思うことは「何をどのくらい知っているか」探りを入れてきたのでは?と思うようになった。
同時に40年前のM男さんのことを思い出していた。
M男は杉並の小さな町工場に住み込みで働いていた。焼き物の「○宝」を造る釜番をしていたのである。
まだそれほど○宝が一般の家庭に認知されていない時代であったが、量産化されてからは需要が増して、作れば売れる右肩上がりの好況期にあった。
連日の残業は当たり前で夜の7時以降は、当番表の順に焼成作業を完了させていた。ちょうどその日はM男とC太郎の当番日で、焼成作業を終えたときにM男から、「僕の部屋で少し話をして行かない?」と誘いがあった。
部屋に着くなり彼は「今朝の小包受け取った?」というのである。
「小包?」・・・呆気にとられたが、思い当たる節も無いから、「どんな・・・?」と言葉を継ぐと、彼は「ううん、なんでもない・・・」と前に言ったことを打ち消し、そのまま黙ってしまった。
二人は他に話らしい話もなく、妙なしこりが残った『言葉』を反芻していた。
彼の部屋の壁一つ隣りは社長夫妻の居室であったが、M子も壁の向こうの何処かに居たはずであり、壁で仕切られていたとはいえ、二人の会話は壁越しに十分聞こえていた可能性がある。
M子は地方の高校を卒業したあと、長姉夫妻が経営する工場で同居して働いていた。業績が向上するとともに従業員の増員に迫られ、どんどん若い男女が入ってきた。出て行くものも多く、絶えず職場に新しい活力の渦を巻き起こしては会社の肥大化に寄与する栄養素となっていた。
新しく入った社員の中には、女子美大卒も何人かいた。仕事と一緒に色気も発散するようになったので、職場はますます活気を帯びてきた。
また会社としてもぜんぜん構い立てしないので、良い意味で自由であり、個性に溢れた職場だった。
当然、若者同士の恋の鞘当もあり、女好き社長のちょっかいもあったりで、活力の渦の輪をいっそう大きくして行ったのである。
このような時にM男は一通の遺書を残して自ら命を絶つことになる。
若い男同士で、ある女性を取り合った結果、負けたのがM男だったと噂された。彼の実家で通夜が執り行われた夕方には、職場の何人かが友人として参列した。
彼の姉が言うには、「枕元には1通の遺書が残され、『会社はバカだ!』と記されてあったそうである。「何も死ななくたって・・・」と涙ながらに話す姉の声が今でも耳に残る。
花となる前に散り行く者もいれば、かなり悪行の仇花を咲かせて蓄財する者もいて、人の世はままならないものだ。
けれども天にいます神は、どのような愚行をも、しっかりと見据えているのである。
M子はC太郎と会って、『返すように言ったのだけれど…』と、反応を確かめるように言った日から1ヵ月後に急死してしまった。「咳が止まらないの」といって病院の診察を受けると、即入院を宣告されて、一週間後には肺がんの末期症状で亡くなってしまった。
さらに一ヵ月後には社長がM子を追うように、肝臓癌で急死してしまうのである。
追記
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