かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

五重塔耐震構造解析公開実験。結果が新聞社によって全然違うのは、何故?

2006-04-14 23:33:10 | Weblog
 今日は少し肌寒い一日でした。このところやたらと暖かかったので、ひょっとしたら今日くらいが平年の4月中旬の気温なのかも知れません。でも、ヘンな気候なせいか、まだ花が残っている桜が見えます。大半はほとんど散って赤紫色の枝となり、葉が出る前の小休止状態なのですが、そんな中にちらほら淡い桜色がかいま見えるのです。平安時代、寒い年は1ヶ月くらい桜が咲いていたそうですが、今年は寒い、というほどでもないようにも感じますのに、一体どうなっているのでしょう?

 さて、茨城県つくば市にある独立行政法人 防災科学技術研究所というところで、五重塔が何故地震に強いのか、を探るための実験が行われたとのことです。五重塔というと法隆寺が有名ですが、法隆寺に限らず、あちこちにある古い塔には、どういうわけか地震で倒れた、というような記録が無いそうです。あの阪神大震災でも、激震地域で塔が倒れなかったという話を聞きますし、確かに昔の塔は地震に強いらしいです。
 ところが、ならどうして塔は地震に強いのか、という根本的な疑問が、未だに建築学上の謎として、諸説紛々という状況らしいのです。法隆寺の五重塔といえば1300年も昔に建てられた31.5mもの高さを誇る木造建築物です。東大寺にしろ近世の天守閣にしろ、重機も動力もなかった時代によくこんなモノを作ったものだと本当に昔のヒトの力には感心させられますが、力学が発達した現代においても未だ謎と言わしめる五重塔には、まさに神秘的な神々しさすら覚えてしまいます。
 まあ謎とは言いながら、一応それらしい推測はあって、その有力な説の一つが塔の中心を貫いている心柱という長い柱です。もう一つ有力な説が塔そのものの構造で、ちょうど鉛筆のキャップを重ね合わせたような構造になっていて、各層が振り子のように柔軟に動いて振動を吸収する、とか、くねくねと揺れ動いて、揺れを減衰させるとか言うような話を聞いたことがあります。その辺りを検証するため、防災科学技術研究所で法隆寺の五分の一の模型を製作し、振動台に設置して、心柱をいじったりしながら揺らしてみたところ、どうも心柱は地震耐性にはそれほど影響がない構造物だと言うことが見えてきたんだそうです。防災科学技術研究所では更に実験を進めて揺れに強い五重塔の謎に迫る予定だそうなので、現実の建築設計に活用できるとか言う話もあるのでしょうが、私としては、いにしえの知恵の一端が解き明かされるという知的好奇心を満足させてくれそうなその結果に期待したいところです。
 ところでネットニュースを見ていますと、なぜか同じ実験の記事なのに、片一方では心柱効果に疑問という内容、もう一つは心柱に揺れを抑制する効果が観られた、と書いてあるのです。どちらも4大新聞の一角を占める大手新聞社の記事。実験自体は公開で行われましたし、多分説明も所長とか研究の統括者のヒトとかが代表して行ったのでしょうから、その場で開示された情報は常識的に考えて同じもののはずなのですが、どうしてこうも内容が180度違うのか、マスコミの不思議も色々目にしてきましたけど、これもなかなか理解に苦しむ不思議ですね。

コメント
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