日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本。国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

財政破たんを考える その20 経済成長

2016-06-14 14:12:29 | 政治
GDPの成長なしに増税だけで必要な財源を確保続
けることはどう考えても不可能である。

少子高齢化の進行による財政破たんを防ぐには、長
期的には少子化の解消、短中期的には名目GDPを
毎年2%以上成長させ続けることが必要である。

目先の財源確保の為に増税したいとしても、経済成長
にマイナスとなるタイミングでの増税は絶対に避けねば
ならない。

バブル崩壊後日本政府は多額の資金を経済政策と
して投じてきたが、結果的に成果を上げることはでき
なかった。

その間に世界トップクラスであった日本企業の地位は
低下し台湾や韓国、中国企業の後塵を拝している。

では経済成長の為には何をすべきなのだろう。政府は
財政支出を考えているが、短期的に成果を上げる為
に従来型の公共投資中心の政策では効果は一時的
であり財政を悪化させるだけである。

公共投資を行うなら、寿命がきており、近々絶対に修
繕が必要なインフラ設備を早めにメンテナンスするよ
うな使い道に限定すべきである。

依然として輸出産業が大きな影響力を持つ日本経済
は為替を安定させることは有効な経済政策である。
為替操作は反発を招くので金融政策で為替を円安に
維持する方法を行うべきである。

一方で個人消費はGDPの構成要素の中で最大のもの
であり、個人消費の拡大なしには経済成長は実現でき
ない。

安倍政権は給与を上げることで個人消費を拡大すること
を狙ったが成功していない。

主な理由は次の二つである。
一つは中小、企業の従業員や非正規労働者、年金生
活者等、給料アップとは無関係な層が人口のかなりの
部分を占めているからである。

二つ目は将来への不安である。
日本の財政は破綻しそうだ。社会保障負担はこれか
らも増え続けるが年金も健保も将来的にはあてにな
らない。頼りになるのは貯金だけ。という不安にから
れ中間層以上の本来は余裕のある層も金を使うこと
を躊躇っている。

政府がいくら金を使えと言っても、将来の不安を解消
しない限り、個人消費は増えず経済も成長しない。
不安定な非正規労働者の増加と毎年毎年社会保障
制度を改悪し将来不安を煽ることが経済成長の足を
引っ張っている。

日本経済の構造改革についてはかねてより必要性を
指摘されているが、なかなか進まない
規制の存在により既得権者と官僚利権ががっちりと
結びついているからである。

これでは新しい事業や業界の改善がでてこない。
日本企業は新しい事業を創造するという点において
は欧米企業の後塵を拝し、既存事業においてはコスト
面で新興国に太刀打ちできない。

農業分野のような古い分野についても、新しい事業の
可能性は拡大している。既得利権を廃し新しい事業主
体が新しいビジネスプランで実施すれば日本農業は十
分世界に対抗できる。

医療分野等の規制の多い分野もしかりである。欧米に
対抗し新しい事業を創造できない限り、日本は発展で
きない。

世界的にバターが余っている時に日本だけがバター
不足で値段が高騰する、というようなことを許してい
るようでは日本の発展は期待できない。

規制の多くは既存事業者やそこで働く従業員の雇用
を確保するという名目で実施されるが、それは不要で
ある。規制がないと競争できないような事業は無くても
いい。ただ、そこで働いていた従業員がすぐに他の職種
に移転できるような環境を整えることだけが必要である。



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財政破たんを考える その19 増税

2016-06-13 10:53:25 | 政治
消費税については景気変動により税収があまり増減
しないことがメリットとして認識され、それが財務省が
消費税増税に邁進する理由の一つである。

しかし実際のところ財務省が消費税増税に熱心なの
は、取りやすい税金だからにすぎない。
消費税に関しては売上と仕入を抑えるだけで済むの
で、仕組みが複雑で帳簿操作で脱税が容易な法人
税や事業所得税より取り漏れが少ない。

経団連等の経済団体が消費税増税に賛成なのは、
輸出の多い大企業では、消費税相当分は還付され、
下請価格を圧縮した分むしろ利益になるからである。

消費税の問題点は国民の可処分所得を減少させ、
GDPの最大構成要素である個人消費を減少させ、
経済の縮小を招くことである。

また、金額的には富者の方が負担が多いが、可処分
所得に対する影響は低所得者により大きく、低所得者
の生活を圧迫することも問題である。

増税するにしても、当初の消費税導入時期のように景
気がやや過熱ぎみぐらい良好な時に限定される。

法人税に関しては、減税などとんでもないというのが
結論である。日本企業の国際競争力を高めるには海
外並に法人税率を引き下げるべき、というのが経団連
やこれに追従する学者や評論家の主張である。

しかし、アメリカの法人税は日本より高いがアメリカ企
業の競争力は強い。結局のところ日本企業の競争力
が弱いのは日本企業の経営の問題にすぎない。

ロクな経営戦略もたてられず決断もできない経営者で
は法人税を下げても日本企業の競争力は復活しない。

所得税に関してはもっと累進課税を強化すべきである。

日本社会の問題点として格差の拡大が指摘されている。
格差拡大の進んだアメリカ社会が多くの矛盾を表面化
させている今、アメリカに追随して格差社会に邁進する
必要はない。

格差拡大を防ぐ最も効果的な手段は累進課税の拡大
である。社会保障財源の不足が予想され、これが社会
システムの崩壊を招きかねない日本では、多くの所得
を得る者に多くを負担してもらうことはある程度やむを
えない。

新しい財源も確保する必要があるが、その一つとして
提案できるのは不動産である。

現在日本では相続による名義変更がされず所有者
が不明で利用できない不動産が拡大している。

これについては、1年程度の期間を設け、その期間
以内に現存する正当な所有者名義に変更できなけ
れば国家のものとする方法を採用し、民間払下げや
競売等を活用し有効利用すべきである。

また、せっかくマイナンバーを導入したのだから、小
売販売やネット販売を含むすべての取引にマイナン
バーを必要とするようにすれば、今まで不可能だった
個人事業者の完全所得把握が可能となり税収は大幅
に増加するだろう。
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財政破たんを考える その15 健康保険 介護保険2.

2016-06-07 10:41:51 | 政治
最も人口の多い段階世代が65歳に達し、日本はい
よいよ本格的に高齢化社会に突入する。歴史上例
を見ない超高齢化社会は団塊ジュニア世代が85歳
以上になる2060年までは続くことになる。

この間健康保険や介護保険に必要な資金は増大し
つづける。

政府はプライマリーバランスの黒字化目標を掲げて
いるが、これを実現する為には医療費や介護費の公
費を削減する必要がある。

しかし、増加し続ける医療や介護に必要な公費を削
減するとすれば、保険金の増加や本人負担の増加
等の大幅な国民負担の増加が必要となる。

20年もたてば保険料は普通の国民には支払えない
ほど高額になり、負担に比して給付額は減少し、健康
保険や介護保険に加入するメリットが失われ制度自体
が崩壊しかねない。

また、保険料や医療費の個人負担の増加で、個人消費
が減少し経済低迷を招き、医療費や介護費用の高騰に
よる困窮過程の増加により、社会不安の増加や生活保
護の増加等の悪影響は避けられない。

小林よしのり氏が言葉にだして主張し、少なからぬ国
民が口には出さないものの頭をよぎったことがあるか
もしれない、財政難解消の為に高齢者の安楽死を推
奨する方法は社会の混乱と対立を招き、当の高齢者
を含む国民の合意を得て民主主義的手続きで実現す
ることは不可能である。

この問題を一発で根本的に解決する魔法のような方
法は存在せず、ありとあらゆる方法を工夫し地道に
対応していく以外に方法はない。
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財政破たんを考える その14 健康保険 介護保険

2016-06-06 11:06:17 | 政治
少子高齢化の進行により、年金以上に将来的に財
政悪化が危惧されているのが健康保険制度である。

健康保険制度は組合健保、協会健保、船員保険、
国民健康保険、後期高齢者医療制度が存在する。

この内、組合健保は比較的余裕があるが、年々増
加する後期高齢者医療制度への拠出金が年金財
政を圧迫している。中小企業従業員が中心の協会
健保については、既に深刻な財政状態にある。

国民健康保険については元々自営業者をその対象と
して設計されていたが、現在では非正規労働者が多く
を占めている。組合健保や協会健保と比較し収入に対
する保険金の割合が極端に高く、加入しない対象者も
多くなっており財政は苦しい。また市町村間による保険
料の格差も大きい。

後期高齢者医療制度については70歳以上の高齢
者の健康保険を国保から分離して独立させたもの
であるが、元々収入が少なく保険料負担能力の乏
しい者だけの健康保険制度となっている為、その財
源は他の健康保険らの支援金7兆円と公費6兆円
が大部分を占める。

現在は14兆円程度だが、高齢化の進展で今後さらに
増加し財政圧迫の大きな要因になると危惧されている。

介護保険は高齢者の介護を社会全体で支える仕組み
として導入されたものであり、保険料から5割、国や地
方公共団体かが5割を負担している。
サービス受給者は年々増加しており、現在10兆円程度
だが2025年には20兆円を超えると予想されている。


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選挙年齢の引下げについて

2016-06-02 10:30:16 | 政治
選挙権年齢の引き下げは、昨年成立した改正国民
投票法で憲法改正の国民投票ができる年齢を「20
18年に18歳以上」としたのを受けた措置であるが、
その理由は世界の多くの国が18歳以上に選挙権を
与えていることによる。

しかし、本当に18歳以上の若者に選挙権を与えるこ
とが日本の政治にとって正しい選択かというとそうは
思えない。

現実を肌で実感して初めて社会の問題が理解でき、
それに対し地についた意見を持つことができる。

18歳というと高校生が含まれる。親の家に住み、
親の金で生活し、自分で食糧を確保したこともないス
ネかじりが政治的に適切な判断をするのは無理である。

そもそも、日本人の政治意識が希薄なのは有権者の
多数派であるサラリーマン層が社会に対し労働面だけ
で参画し、納税面や生活に必要な消費面に参画してい
ないことによる。

税金や社会保障費は給与明細から既に引かれており、
関心があるのは手取収入と自分のこずかいだけ、日々
の生活に必要な消費は妻まかせで肉や野菜の値段も
知らない。

これでは社会の問題点を体感できない。その結果が政
治への無関心かマスコミ情報等の他人からの情報に
依拠した政治判断である。

投票率の低下や、一時の熱狂による自民党政権から
民主党への移行、さらには自民党政権への揺り戻しは
これが原因である。

18歳の高校生と言えば、労働面でも社会に参画してい
ない。彼らに実感に基づいた社会の問題点を体感せよ
といっても不可能である。

その経験は個人の事情によりごく偏ったものとならざる
をえない。

彼らは決して良い選挙人とは言えない。

まあ少子化の影響で人数がそう多くないことから、そ
れほど影響力がないだろう、というのが気休めではあ
る。

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