

2013年7月、知床の親子熊を近接撮影
今年の知床は予期せぬ春のドカ雪で、エゾシカたちはやっと冬を越せる寸前で野山は再び雪に覆われ、食べる植物が深い雪の下になってしまいました。
食べ物がなく弱り切ったエゾシカたちは体力のないものから順にいわゆるへたり鹿となり、斃死したりよろよろ歩きがやっとの状態になります。
深雪のため遅い越冬から覚めたヒグマたちにとってこれらは最高のごちそうです。
2013年7月。きっと春先のへたり鹿を腹一杯たべたのでしょうか、お母さん熊はぶんぶんに肥えて栄養満点、体力満点の状態です。
親子熊たちは、さかんに海岸の石をひっくりかえしては小型の海辺の生き物を食べていました。

初夏のオホーツク海へザンブ。楽しい海岸での水遊び。

風の音、雨の音、川の音、草木のそよぐ音、虫の声、その他自然の音には無関心ですが、自然界には無い音、たとえば人間のひそひそ声、200m向こうで車のドアがそっと閉められる音、かすかな鈴の音などにはものすごく敏感に反応します。
何かの音を感知してヒグマの親子が一斉にそちらを向いて警戒しているのでしょうか。
臭いにはもっと敏感です。この時期、クジラやトド、アザラシ、イルカなど海産ほ乳類の死体が知床の海岸に漂着することがあります。これらからの臭いはヒグマたちにとって最もうれしい臭い、最高のごちそうです。

2013年7月に撮影された知床の親子熊の写真を 知床の動物写真家 F.M さんからいただきましたので、前回に引き続きアップしました。
一年たって小熊たちは成長し、やや精悍な感じもでてきています。
もうしばらくすると子別れでしょうか。
解説文は F.M さんのお話などを参考に私が創作したものです。
写真をながめるたびに、これらの素晴らしい写真を撮るのがいかに大変であったかがうかがえて頭が下がります。
PS. これらの写真をみて、一般の人たちが不用意にヒグマにちかづくような誤解がないように厳に申し述べておきたいと思います。
これらの写真が撮れる状況は知床のごく一部の地域でヒグマたちとあうんの呼吸で撮影を行う F.M さんに限った特殊な場合であり、ヒグマが恐ろしい猛獣であることにかわりはありません。

