オショロコマの森ブログ5

渓流の宝石オショロコマを軸に北海道の渓流魚たちと自然を美麗画像で紹介します、

白い妖精と大型ブラウントラウト釣り その壱

2014-01-31 10:15:18 | 渓流魚、蝶、自然
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白い妖精と大型ブラウントラウト釣り   その壱

2013-8-4  晴れ
十勝のヒメシロチョウ撮影ならず、エゾヒメシロチョウ夏型撮影。

北海道ではエゾヒメシロチョウ Leptidea morsei Fenton は各地に稀ではないが、ヒメシロチョウ Leptidea amurensis Menetories は少なく局所的な発生地が知られるに過ぎない。

この日は十勝地方に局所的にみられるヒメシロチョウを観察に出かけた。

発生地はヒメシロチョウの食草ツルフジバカマとクサフジが混生している河川敷の草地。道東ではツルフジバカマの群落そのものが極めて稀なので、それを食草とするヒメシロチョウが少ない所以である。



ヒメシロチョウの食草ツルフジバカマ。




エゾヒメシロチョウの食草クサフジ。

結果的にこの日はヒメシロチョウは発見できず、F氏がエゾヒメシロチョウ3♀♀採集 私が エゾヒメシロ4♀♀ 観察 2♀♀撮影。 

エゾヒメシロチョウは産卵行動にはいっていてなかなか止まらずクサフジに産卵するときが唯一の撮影チャンス。

一方、羽化してまもない♀は良く止まり激写できたが他の個体は、ほとんどとまらず撮影は困難をきわめた。

展翅乾燥標本と異なり生きているエゾヒメシロチョウはとてもみずみずしく美しくみえた。ふわふわ、ゆっくり飛ぶ様は、デジカメ液晶画面内では、まさに白い妖精に見える。












エゾヒメシロチョウの産卵。


現地の蝶愛好家に電話して聞くと 今年はヒメシロチョウは少ないうえに10日ほど前に発生がほぼ終わったとのことで残念であった。



交尾中のモンシロチョウペア。 

北海道では ひとしきり攻撃的外来種オオモンシロチョウに圧倒され在来種モンシロチョウは激減したが
最近、明らかにオオモンシロチョウが減り始め、モンシロチョウが復活しつつある。この現象は 外来種侵入、在来種激減、その後侵入してきた外来種が何らかの要因で消え始め在来種の世界がもどるといった興味深い現象の例である。 ところで、在来種とされるモンシロチョウが、もしかすると実は、はるか昔大陸から渡来した侵入種ではなかったのかといった推測もあり、蝶好きたちの議論はつきない。


真夏の蝶、ジャノメチョウ。




十勝名物ブタ丼屋で昼食のあと、せっかく十勝にきたのでブラウントラウトを見て帰ることになった。

   この項 続く。



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人食い鮫の恐怖

2014-01-29 21:15:25 | 渓流魚、蝶、自然
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このところ、ひたすら、ニジマスによって如何にオショロコマ等が被害をうけているかを訴え続けてきましたが、ちょっとここらで一息いれたくなりました。 


この日、孫、長男君をつれて 北見市の 北網圏文化センターで開催されている トリックアート展 を見にゆきました。







































































心と視覚の迷宮。 不思議。 おもしろ。 トリックアートの世界でした。




ニジマス放流に関しては、その生態系にあたえる影響を行政も釣り人も、もっともっと真剣に考えるべき潮時と断言します。

生態系に関する日本の釣り人および行政の意識レベルは、先進国の中ではいまだ幼稚園児の段階と言わざるを得ないかもしれません。というより、あまりにも実体を知らないだけなのかも知れません。しかし、だからといって外国の完全サル真似をする必要もありません。日本独自の生態系と遊漁の調和を考える必要があります。種々の外来生物にあふれた現代の日本において、いまさら外来魚だけは絶対ダメと単純思考で決着するのも、実は不公平で現実にそぐわない場合があります。

ニジマス釣り愛好家たち(私もそうですが)も、ひたすらだだをこね、屁理屈をこねている場合ではありません。将来的にニジマス釣り場を守りたいなら、そろそろ考え方を変換すべきです。オショロコマなど在来魚に影響を与えかねない水域には決してニジマスを放流しないという固い決意と実践が必要です。万一決心できない方がおられましたら、恐れ入りますがこの一か月ほどのオショロコマの森ブログ5をもう一度読んでいただけるよう懇願する次第です。



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十勝川水系源流域のニジマスバスターズ

2014-01-28 20:13:42 | ニジマスによる被害
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20XX-7-8  晴れ

十勝川水系源流域のニジマスバスターズ

この日の午前中、まるで管理釣り場みたいに沢山の釣り人であふれる十勝川水系札内ダム周辺の釣りでオショロコマ撮影に完敗した。もはや札内ダム周辺の支流には大量に放流されたニジマスしかいなかった。オショロコマは消え完全にニジマスに置換されていた。中札内にもどり、食堂で石焼きビビンバで昼食のあと、岩内仙境の岩内川上流へ入ったが、ここもオショロコマのいるような川ではなかった。  

うちひしがれて北見への帰路に着いた。どうにも欲求不満である。

途中で十勝川水系のM川上流への林道を発見、そこへ入ってみることにした。この渓流に入るのは初めてだ。

かなりの悪路を5kmゆくと取水ダムがあり、その50m ほど上流の瀬から川に降り釣り始めた。

思いがけず、瀬には良型オショロコマがいた。20匹ほどを釣って撮影した。さらに上流へむかい10匹ほどを撮影した。その上流では水量が少なくなり引き返した。







ダムの数キロ下でまた川に入った。だらだら川だがちょっとしたたまりにはオショロコマがいる。








































F氏が思いがけず25cmほどのニジマスをかけた。かなりの引きで急に反転して浅瀬を矢のような速さで上流に走ったのには驚いた。





野生化ニジマスのパワーはすごい。ニジマスはこのあたりから増え始めた。

しかし、オショロコマはいまだ健在で、ここでもオショロコマ15匹ほどを撮影した。さらに下ったところで渓相の良いところがありニジマスがいないか 車を降りてみた。

そこへ銀色の大きなランクルがやってきて65歳ほどの屈強な男性が降りてきた。彼もここでニジマスを釣ろうとしていたらしい。

彼の話ではここM川でも最近ニジマスがかなり増えてきてオショロコマの生息域に侵入しているのでこれを釣っては積極的に駆除しているという。

オショロコマの味方、ニジマスバスターだ。こんな人は初めておめにかかった。

私たちの他にもオショロコマ生息域に侵入するニジマスを問題視し、憂いている人に会い急にうれしくり、同時に力強くおもった。

丁度、もっていた写真集 オショロコマの森 第一巻 知床編を一冊謹呈したがとても喜んでくれた。 

ここM川のオショロコマは十勝川水系個体群の特徴をよく現し、基本色調は明るい黄色調で赤点紋理は細かく腹部やヒレは赤くならない。

尾叉長15~20cm前後。よく食べているようできわめて栄養状態が良い。

この日も撮影させていただいたオショロコマたちは全て丁寧にもとの場所にリリースした。




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オショロコマを全滅させた真夏のニジマスと美しい蝶の死

2014-01-27 18:18:06 | ニジマスによる被害
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オショロコマを全滅させた真夏のニジマスと美しい蝶の死

2010-8-13 (金) 晴れ 暑い

帰りがけに真夏のニジマスを見に、とある渓流に寄った。

このところの大雨・増水のせいか異常に水位があがって流れも激しく肝腎のポイントは真っ平らな水面になっており急流でどうにもならん。


ポイント探しに困った。結局、今回はかなりの水量で川を渡れず、本命の場所へは行けなかったが 30cm 1♂ 20cm台4匹 小型虹鱒幼魚~若魚を10匹ほど釣って撮影した。











この渓流にしてはめずらしく今日は大物がいなかった。


今日は意外な出来事として黒色調のオショロコマ12-16cm を3匹釣った。ここでは従来、放流ニジマスが野生化・繁殖して、かってここに繁栄していた在来種オショロコマを全滅させたかと思っていたのだ。


ここでは生き残っていなかったはずのオショロコマが釣れた。もしかすると最源流に生き残ったオショロコマ個体群の一部が上流にあるニジマスが登れない落差(小滝)から大雨の大増水で下流へと流されて落ちてきたのかも知れない。そうすると、早晩ニジマスのエサになってしまうのだろうか。

どちらにしても虹鱒圧倒的優勢の状況は変わらない。

ふと地面をみると真夏の美麗蝶ミヤマカラスアゲハ1♂の死体がアリに引っ張られていた。

破損した夏型個体だが異様に美しく、さてこのミヤマカラスアゲハ♂はどのような状況で非業の死を迎えたのだろうかと思いをめぐらせたのだった。





夏の蝶の代表、ミドリヒョウモン♂。





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2013早春のニジマス釣り、オショロコマ壊滅

2014-01-26 13:02:19 | ニジマスによる被害
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2013-5-31   晴れたり曇ったり 暖かい

12;00 一人で近郊の渓流に早春のニジマス釣りへ出発。 

12:55 現地へつきいつもの二股ポイントへ行こうとしたが 橋の手前で ゲートにガッチリ番号カギがかかっていた。 

仕方なく、そこで駐車。橋の上流へ向かって入渓開始。この時期、山火事予防その他の理由で各地の林道はゲートに施錠されている事が多い。 





ほれぼれする立派な美しいたまりが続くが、まったく魚信なくウソみたい。 先行者がいるのだろうか?。 しかし釣り人の気配や痕跡はまったくない。入念に釣り登ったが 一回小型の魚がアタックしてきたが食いつかなかった。 そういえば、このあたりは昨年も魚がいなかった。



林道を番号カギを開けて入ったと思われる林務所関係風の車が2台走り去っていった。

ぴーぴー熊よけ呼び子を鳴らしながら、えんえんと魚信がないまま釣り登ったが、とうとう二股ポイントが見えてきた。二股手前のいつもニジマスが多いたまりで 初めて25cm ニジマスがかかった。やせて傷が多いニジマスだ。心ならずも呑ませてしまいハリスを切って放した。 








その上流の右手支流の合流ポイントで30cmニジマス一匹ヒット。強烈な引き。いなして抜きあげたが、きれいな個体だ。








そこで川をあがり右手支流沿いに少し林道を進んで最初の橋から川に降りた。この支流はここから2-300mの間、とても良いたまりが続く。 

期待していたポイントには魚信なく、3つ目のたまりで 何度流しても魚信なかったが、根がかり覚悟で思い切り沈めて流すと やっと30cm ほどのニジマスが食いついた。走られると入り組んだ沈木に釣り糸がからむので、しかたなく一気に引き抜いたが、竿も折れず釣り糸も切れず、うまくいった。 






そのすこし上流で 15cm ニジマス若魚が数匹かかったが それまで。 この上流は川が林道から離れるばかりで ずーつとダラダラ川が続きたいしたポイントは無いので引き上げることにした。
















ここでは、オショロコマは壊滅して久しく、ニジマス駆除はもはや無意味と考え、釣ってもリリースしている。 

橋から川をあがって 15分ほど歩くと 駐車ポイントまでもどることが出来た。 川の中を2時間釣り登ったのだが 林道を歩くと意外と短い区間であった。 今日は ニジマスが少ないのか、活性が低いだけなのか良く分からない状況であった。 

今日はニジマス大小7匹を釣ったが、かって豊富に棲息していたオショロコマは この日も一匹も釣れなかった。

言い忘れていたが、つい4年前までは、ここは良型オショロコマの群れるオショロコマの楽園というべき水域であったのだ。

ある日、ここでニジマス若魚を初めて確認して、その後たった四年でニジマスは野生化・自然繁殖を開始して、たちまちオショロコマは壊滅し、ニジマス一色の水域になってしまったのであった。

この2年間はオショロコマはまったく釣れず、ここは私にとってはニジマス釣り専用の水域となった。

昨年からは、ここでニジマスを釣っても、もはや駆除は無意味と考え、リリースしているが、心のなかでは、死魚の山を築いてでもニジマスを駆除すべきかどうか、いまだに悩んでいるところだ。

新緑の森はコゴミが葉を展開してきれい。ニリンソウが満開。少ないがオオバナノエンレイソウがあった。確かにニジマス釣りそのものは楽しいのだが、こんな自然豊かな渓流に突然、外来魚代表ニジマスが侵入し、あっという間に渓流を占拠した。本当にこれで良いのだろうか?。















いまだオショロコマなど在来魚が棲息する水域にニジマスが侵入する恐れがある場合、ニジマス放流厳禁です。






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6年でニジマス繁殖、オショロコマが消えてしまった。

2014-01-23 20:14:29 | ニジマスによる被害
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6年でニジマス繁殖、オショロコマが消えてしまった。

2013-5-25 (土) 晴 暖かい

朝11;08 ニジマスが野生化・繁殖して在来のオショロコマを駆逐し、ニジマス一色に置換してしまった近郊の渓流へ出かけた。雪解けが一段落し、やや水量は多いが川は落ち着いていて 若葉がきれいだ。 










いつもの最初の駐車スペースに車をとめ川におりた。 最初のポイントで はやニジマス25cm ヒット。これは不覚にも呑ませてしまい ハリスを切ってリリース。 

そのあと ゆっくり遡行していったが新緑の渓流は気持がよかった。ニジマスは 流れが緩やかなここぞというポイント3箇所で釣れた。まだ瀬や流れのあるたまりには出ていなかった。活性は低い。しかし針掛かりするととたんに水面に飛び上がったりテールウオークしたり、さすがニジマスらしくひとしきり大暴れする。 
































いつもの最初の駐車スペースに車をとめ川におりた。 最初のポイントで はやニジマス25cm ヒット。これは不覚にも呑ませてしまい ハリスを切ってリリース。 

そのあと ゆっくり遡行していったが新緑の渓流は気持がよかった。ニジマスは 流れが緩やかなここぞというポイント3箇所で釣れた。まだ瀬や流れのあるたまりには出ていなかった。活性は低い。しかし針掛かりするととたんに水面に飛び上がったりテールウオークしたり、さすがニジマスらしくひとしきり大暴れする。 

結局 20-28cm ニジマス7匹、ニジマス幼魚5匹を釣って撮影し、全てリリースした。白っぽい個体から虹がきれいな個体まで様々で、けっこう楽しいニジマス釣りではあった。釣り人の痕跡はなかった。

つい、6年前、この付近は良型オショロコマが豊富に棲息しており、まさにオショロコマの天国であった。ある日、2匹のニジマス若魚が釣れたのが悪夢の始まりであった。そして現在、わずか6年で、オショロコマは完全に消えてしまったのである。 

スナヤツメが群れてからみあい産卵行動を行っていた。 



軽トラ1台、乗用車1台が山菜採りにきていた。上流に向かうにつれ人がほとんど入らない深い森になってくる。まだ葉を展開していないコゴミの大群落や ギョウジャニンニクの群落が多くなり コゴミをナップザック一杯採った。 


陽がかげり、あたりが急に薄暗くなり気温が下がり始めたら、何故かヒグマの恐怖がこみあげてきた。 大急ぎで川からあがって林道をせっせと歩いて車に戻った。 


思いがけず、道路脇水路に エゾノリュウキンカ がかなりあったので 撮影した。このあたりでは珍しく、かなりの規模の群落である。




 

午後4時、武装解除し家へ向かった。 今日、もしや生き残ってはいないかと期待していたオショロコマはついに一匹も見なかった。ここではオショロコマが完全に制圧されニジマスに置換されてしまったようだ。



こんな自然豊かな美しい渓流に、本来いるはずもないニジマスが繁殖している。 もともとの在来魚のオショロコマを駆逐して、これまでみたここともなかった魚が繁殖しているのだ。異常だ。 とはいっても、もはやここでニジマスを駆除する気にもならず、なんとなくリリースしたが、複雑な心境だ。異常だとおもう、本来のまっとうな感覚が だんだん 麻痺してゆく感じ。



ニジマスがオショロコマ生息域に侵入する恐れのある水域に、ニジマス放流を行ってはいけない。
ニジマスがオショロコマ生息域に侵入する恐れのある水域に、ニジマス放流を行ってはいけない。
ニジマスがオショロコマ生息域に侵入する恐れのある水域に、ニジマス放流を行ってはいけない。
ニジマスがオショロコマ生息域に侵入する恐れのある水域に、ニジマス放流を行ってはいけない。

ニジマス釣りが将来的に生き残ってゆくにはニジマス放流ライセンス制、放流報告制、放流可能水域の認定 といった方向しかないかもしれません。



環境省では、国際的に生物多様性条約を締結してしまった以上、在来の生態系に大きな影響を与えていることがうすうすわかってきたニジマスを、近い将来的には日本の渓流から完全に駆除する腹づもりを固めているとの気配が、なんとなくですが、感じられます。私の思いこみ違いかもしれませんが...。

ニジマスはもっぱら養魚場や養殖施設などでしか見られない魚になってゆくのかも知れません。日本からニジマス釣りが消えても、悲しむ人はニジマス釣りマニアしかいません。

環境省は、生態系保全に関してあまりにも後進国であることが判明した日本を、恥ずかしく思われてきたのかもしれません。
前記事、いわゆるゾーニング をもう一度 読んでいただければ 幸せです。

その際、将来的にニジマス釣りに特化した水域を北海道に残せるかどうかは、これからの釣り人たちの姿勢にかかってくるでしょう。

現在のように、勝手気まま、無制限、やりたい放題の放流を続けている限り、その可能性は無いでしょう。

特に、ニジマス放流を、このごにおよんでも積極的におこなっている時代錯誤の自治体があるとすれば、そろそろ、正気にもどるべき時期と考えます。釣り人たちも、もう将来をみこした行動を考慮すべき時期かも知れません。


だだっ子みたいに 細かな屁理屈をこね続けたり、だって釣りたいんだもん と手足をバタバタするだけでは先は無いかも知れません。


少なくとも オショロコマ棲息水域の下流域にニジマスを放流しないよう、生態系には悪影響を与えないように、こんなにも配慮しているのだという姿勢をアピールする事はとても重要な現実的な対策ではないかと、僭越ながら提案したいと思います。










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いわゆるゾーニング

2014-01-21 19:40:46 | ニジマスによる被害
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○いわゆるゾーニング

指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 その八。

この問題については、8回で一応終わりますが、ニジマスについてはこれからも、しばしば記事が続きます。

ところで、今回、本州でも在来魚に対する放流ニジマスの害に心を痛めている方がいらっしゃることを知りました。つきましては、日本各地でのニジマス放流の現状や功罪につき、各ブログ上でも、それぞれのご意見を発信していただければ幸いです。

ブログのどこかに ニジマス放流の功罪2014 とキーワードをいれて下さい。毎日、検索します。



多少古い記事で申し訳ありませんが、ご参考までに私が以前とても深い感銘を受けた谷口義則氏の文章を以下に掲載させていただきました。

谷口 義則 (当時、山口県立大学講師)  
週刊釣りサンデー2001年3月4日号 54-56ページより転載 
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 先日、本誌の編集者より「ゾーニングの基礎知識について書いてもらえないか」という主旨の問い合わせがあった。なるほど、最近、日本釣振興会が盛んに口にし、水産庁までその流れに乗ろうとしている「ゾーニング」というのが話題になっている。この言葉の基本概念のようなものを示しておきたい、という編集者側の趣旨は理解できた。また、米国に比較的長く滞在し(5年余り)、現地の大学院で魚類生態学を専攻していた私ならば「ゾーニング」の正確な定義ができるのではないか、とお考えになった経緯も理解できる。

しかし、ハナから編集者の方をがっかりさせて申し訳ないが、私は数年前に日本に帰国するまで水産用語(?)としての「ゾーニング」を知らなかった。すなわち、「ゾーニング」は北米の水産学の専門用語には存在しないし、教科書にも出てこない。したがって、一種の和製英語であると言うのが正しいと思うが、ご存じの方がいたら教えて欲しい。ただし、新用語かも知れない、と念のため近年の北米の水産学会誌をあたり、さらに北米の内水面水産管理学の専門家に問い合わせたが、「ゾーニング」の定義について見出すことはできなかった。

 したがって、残念ながら、本誌の読者の皆さんや編集者が知りたい、「ゾーニング」とはそもそも何なのか、どいういう行為なのか、何のために行うのか、果たして日本で可能なのか等の疑問に対して直接お答えすることはできない。しかし、私自身淡水魚の生態を研究するものとして「ゾーニング」問題に強い関心を持ってきたこともあり、本稿では「ゾーニング」と似たような遊漁管理制度が米国に存在するのかどうか、もしもあるのならばそれについて簡単に紹介し、私見を述べてみたいと思う。また、ここでは私の専門であるマス類を対象とした遊漁資源管理を中心に述べるが、基本的な考え方は種を問わず共通である。


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■多様性保全が社会通念

 まず、水産庁の素案となっているという「ゾーニング」とは何か。情報が公開されていないため、この定義をインターネットのホームページや100万人署名用紙などで探したが、残念ながら、私の努力が足りなかったせいもあると思うが、「ゾーニング」の詳細な定義やその背景を知ることはできなかった。ただ、日釣振の署名用紙に「公認のバス釣り場を増やすため」ブラックバスと他の魚類の「すみわけ」と表現する語句があり、ここではこれが「ゾーニング」の最大の目的であること、これを求めているのはおもに本種を好んで釣る方々である、と理解した上で話をすすめたい。もしもこの制度が実現すれば、必要と認められれば本種の保護水面の設定が可能となると言って良いと思う。

 では、米国で特定の非在来魚種を対象に同じような理念と目的で設定された遊漁規則があるのだろうか。

結論から言うと、無い。なぜ無いのか?現行の米国の遊漁資源管理制度は、確かに在来・非在来魚種双方の資源の維持と永続的利用を目的としているものの、もっとも重要なルールである、在来魚類の保全のもとで運用されているからである。

現在の米国では、動植物を問わず、絶滅危惧種を含む在来生物の保全の問題が、即、経済活動につながっている。最近では、ある大都市のビル群の中で絶滅危惧種に指定されている小型のネズミが見つかり、とたんに経済活動が停止したという(調査が終わるまでの間、局所的であるにせよ)。この例をみればわかるように、米国では、在来生物種の多様性の保全という生物学の基本理念が社会通念にまでなっている。

したがって、これを脅かす存在、それがたとえば非在来魚種であった場合、いかにその種に経済的価値が認められ、現段階で在来の生物多様性を脅かすことが不明であっても、それが不明であるという理由から、極力排除していく方針を堅持している。

これは、その生物が魚であろうと鳥であろうと同じである。間違っても、その非在来の生物種を何ら科学的な裏付けもなく、在来生物と共存させる危険を冒すことはあり得ない。「ゾーニング」によって日本の在来水生生物はバスとともに強制的に現在の生息地に閉じ込められることになる。このような行為は、生物学的に誤っていることであるし、長期的視点に立ったときに経済的にもマイナスであると考えられている。

 このような野生生物管理者側の意識が米国で主流になり始めたのは1960年代といわれる。当時、在来生物種の保護を求める一般市民や研究者らの運動が、まさに連邦議会を1973年の絶滅危惧種法の制定に向けて動かそうとしていた。絶滅危惧種法の概念とその制定は各州の遊漁管理制度や管理者らにも、それまでの「釣り人のための資源管理」から「在来魚のための資源管理」へと決定的とも言える舵取り転換をうながすことになった。

 米国西部のロッキー山脈のふもと、ワイオミング州を例にとると、人口わずか50万人たらずのこの州で年間の内水面遊漁管理予算はおよそ10億円。このうち、およそ1億円ほどが地域で唯一の在来マス類であるカットスロートトラウトの保護・管理に使われる。

ここでは、1970年代までに本種の生息域の90%以上が生息環境の破壊やニジマスおよびカワマス等の非在来種の移植により壊滅状態となってしまった。遊漁資源管理の主体である州の担当部局は、過去10数年にわたって、比較的健全なカットスロートトラウト個体群が残されている水域を選んで、非在来種を積極的に駆除し、生息環境の保全とともに在来種を中心とする魚類群集の保護水面の設定を進めてきた。

具体的には、下流域から外来種の遡上を妨げるに十分な大きさのダムを建設することによって行われ、1基の建設に数千万円かかることもある。ただし、保護水面といっても全面的に釣りを禁止せず、緻密な管理手法によって釣獲圧をコントロールしており、ここでもそのために調査にかかる人的・経済的経費は大きい。

また、これまでに同州が運営してきたマス類の孵化場ではカットスロートトラウトなどの養殖に切り替えが進められ、他の州では不必要なニジマスの養殖場などが軒並み閉鎖されたり、減少してるコイ科魚類の遺伝子保存のための孵化場に生まれ変わったりしている。


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■移民のこころのよりどころ

 上述した在来マス類保護区の流域外や、すでに水系一帯でカットスロートトラウトが絶滅しているような場合、そこには非在来魚種であるニジマスやブラウントラウトを中心とした釣り場が広がっている。

ここでは、適度な釣獲圧のもとで健全な個体群を維持するために、生息環境を良好に保つための管理、キャッチ&リリース区間の設定、釣獲方法(餌、ルアー、フライ等)、持ち帰ることのできる体サイズや個体数、産卵にともなう釣りの時期や場所の限定等、様々な遊漁規則が設けられている。おそらく、日本から現地の河川や湖沼を訪れる釣り人の多くが実際に体験するのはこの手の釣り場だと思う。

これを見れば、北米では非在来種もずいぶんと手厚い管理のもとに置かれていて、日本でも同じように在来種と非在来種を別々にして管理すればいい、と思う人が出てくるのかもしれない。

 しかし、ここで、日米両国における非在来種の持つ意味の違いを考えて欲しい。

フロンティア時代の開拓民は西部の異郷の地で、故郷である東海岸や遠くはヨーロッパを想い自らを慰めるために数多くの動物や植物を持ち込んだ。やがて大陸横断鉄道が完成すると、これに拍車がかかり、魚類の発眼卵輸送も可能となり大陸の東西で数多くの非在来魚種が行き交うことになった。米国における非在来魚種の多くはこのように、移民たちの生活における心の拠り所となる存在だったと言える。

しかも、1950年代までどこの州でも行われていたこれら非在来種の放流事業はいわば州政府の公認であった。これらの点で、日本におけるブラックバスやブルーギルなどの非在来魚種とは根本的にその原点が異なると言える。

したがって、米国における非在来種の釣り場は、ただ安易な「釣り人のための」遊漁管理の理念から生まれたものではなく、地域の住民にとっては先祖であるヨーロッパ人移民たちが残したレガシーから生まれたとも言える。むろん、これら移民たちのセンティメントが北米の在来魚類群集を危機に陥れる一要因となったことは事実である。

しかし、現在米国の水産資源管理者の誰もが、過去に行われたこれらの非在来種の移植には数限りないほどの負の側面があり、魚類をはじめとする野生生物の在来種・非在来種の価値が時代とともに大きく変化したことを認めていることは注目に値する。

しかも、非在来種の移植と定着が生息地の破壊と同義の不可逆的な行為であったことを米国の水産資源関係者や釣り人たちは身をもって体験してきた。このような内水面遊漁資源管理の歴史的背景やその理念に現在の米国の遊漁規則が立脚していることを考えると、「ゾーニング」と似たものは米国にあることはあるかもしれないが、その質も意味もまったく異なるものであると言える。 

 ちなみに、現行の米国各州における内水面漁業規則では、新たな水域への非在来魚種の移植はもちろん禁止されているが、州当局による非在来種の養殖魚の放流も、すでにこれらの魚類が生息しているものの繁殖が見込まれない、荒廃した生息環境に限って行われている。これは、いわゆるプット・アンド・テイクといわれる、早い話が釣り堀方式である。一方、非在来種でも個体群が自然繁殖を繰り返すような生息場所では追加放流は行わず、これらの魚類に必要以上の手は貸さない。


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■丁寧な議論が一番早道

 前述したように、米国の現行の遊漁資源管理法は「在来種の保護」をその根基としている。

そして、このことを現地の管理者はもとより多くの釣り人たちも誇りにしている。そして、さらに重要なことは、このような管理法が、研究者らによる詳細な調査・研究の結果得られる膨大なデータに基づいていることはもちろんだが、釣り人、釣りをしない一般市民、地域の住民、業界、行政や水産関係者および研究者など、多種多様なグループの中およびその間で丁寧が議論が重ねられた結果を反映したものになっていることである。

たとえば、重要な遊漁規則の設定もしくは変更にあたっては当局が公聴会を開き説明する。このような公聴会の期日や場所についての情報は、釣具店の掲示板、雑誌あるいはインターネットなどで事前に得ることができる。

公聴会では、まず提案があり、質問が出て、議論がある。場合によっては提案者側が変更を余儀なくされることもある。そして、最終的に決定した管理法を施行する。この一連の作業を辛抱強く続けることが、時間はかかっても、成功する遊漁規則にたどり着く一番の早道であると米国の遊漁資源管理者は口をそろえる。説明と議論が十分行き届いたものであれば、将来仮に何らかの問題が起こっても、問題が危機的に深刻化するケースは少なく、解決策を講じることも容易になる、と彼らは言う。

 米国の資源管理方法を日本で採用してもそれが即うまくいくとは限らないし、日本には独自の遊漁資源管理の姿を模索していく必要があるだろう。ただ、その模索の過程で現行の米国の内水面管理の理念やその方法は大いに参考になると私は考える。

日本は「生物の多様性に関する条約」を批准しており、その第8条では「生態系、生息地若しくは種を脅かす外来種の導入を防止し又はそのような外来種を制御し若しくは撲滅すること」と記されている。

この条文を大切にし、まずは今以上に一般市民、行政、研究者らの間で在来魚類群集の保全という基本理念の共有化を徹底することが必要だろう。在来魚類群集の保全とは、むろんブラックバスなどの非在来種のみならず、河川改修や水質の悪化などのあらゆる環境撹乱要因から守っていくことを意味する。

足早に「ゾーニング」の検討を始める前にやることはたくさんある。

もっと長期的視野に立ち、「人間中心の資源管理」から「魚中心の資源管理」へとシフトしていけば、日本に合った在来・非在来の魚類の管理方法を確立できる道筋が見えてくると考えるが、いかがだろうか。


  指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 終わり。 

長い長い記事を8回まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


多彩で美しいオショロコマの画像を、ほんの少しですが また見て下さい。




















何万年にもわたって精緻な生態系を作り上げてきたオショロコマ。 
日本の淡水魚のなかで、こんなに多彩な美しい魚はいません。
まさに渓流の宝石です。
いま、このオショロコマがニジマス放流で危機に瀕していることをぜひ心にとめていただければ幸いです。


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ニジマス放流可能水域認定と放流ライセンス、北海道のトラウトフィッシングの将来

2014-01-20 20:45:49 | 渓流魚、蝶、自然
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○ニジマス放流可能水域認定と放流ライセンス、北海道のトラウトフィッシングの将来

 指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 その七。

ところで、現在、このような北海道の渓流の状況を多少とも把握したのか、北海道環境局ではニジマスを指定外来魚A2 に分類し、状況によっては無制限な放流が禁止される可能性があるとき聞きます。当然です。あまりにも遅きに失しているくらいです。ニジマス放流全面禁止には多少検討の余地がありますが、現在のように無制限に放流が行われているのは北海道の在来生物多様性を保全するためには決して好ましいことではありません。

この際、ニジマス放流を免許制、報告制とし、ニジマス放流可能水域( 原則ダム間河川や、流入河川にオショロコマなどがいないダム湖などの閉鎖水域 )をこれまでの実績や十分な調査を元に指定するのが理想的な解決策と考えます。問題点としての1例は北見市富里ダム湖ではニジマスが大量のワカサギ(移入種)を捕食していますが これはさほど大きな問題ではありません。

ニジマス放流禁止河川や禁止水域を決める必要はあるでしょうか?。そのために必要な道内のオショロコマ棲息状況の基礎資料を提供したり、新たに調査することに私は労を惜しみません。しかし、そのことでピンポイント的に存在する貴重なオショロコマ生息地が多数の釣り人に広く知られるのは、オショロコマ保護の方策が皆無の現在、どちらかというと避けたいところで、この点葛藤があり、十分な配慮が必要です。

そうすると、禁止水域の指定よりは、放流可能水域のみを指定するのが現実的かもしれません。


また、ちょっと話が飛びますが、ニュージーランドや米国ワイオミング州のようにトラウトフィッシング( ブラウントラウトやカワマスも含めて )を北海道の有望産業ととらえて、試みに、これを総合的にコントロールする北海道環境局の部署、またはそれとはまったく別のおおらかな 北海道の淡水トラウト釣りの司令塔ともいうべきNPO法人等を作り、水域によっては然別湖のミヤベイワナ釣りのような野生化ニジマス釣りに特化したライセンス導入( 高額入漁料、釣り人数制限、釣り期間制限など)を試みてはどうでしょうか。この場合、阿寒川や渚滑川等のように養魚場から直行といったニジマスで我慢する必要はありません。複雑多岐な条件が絡むため、そう簡単なこととは思えませんが検討の余地はあると思います。

ところで何故釣り人はニジマスやブラウンを放流するようになったのでしょうか。

当然、ルアー、毛針といった新しい釣り方の普及にともない素朴な思いでこれらの魚を近郊の川でも釣ってみたい、と考えたのが第一の原因でしょう。

おりしも、田中角英の時代に入り、北海道ではダム増設や河川改修工事の嵐が吹き荒れ河川環境が急速に悪化し、川に釣りの対象になるような魚が激減する状況がありました。その後も河川環境は悪化の一途を続けています。この状況は外来魚放流には極めて好都合であり最高の免罪符になります。

さらにニジマス放流は魚種を増やし川を豊かにするとの単純な考えから行政も率先して、いたるところにニジマス放流を行ってきたという、今にしてみれば負の経緯があります。しかし、今、その弊害がオショロコマなど在来種の存続をおびやかすという思いもかけなかったところに顕性化してきたのです。

さて、はるか昔の北海道のように在来の魚類が豊富になれば、ニジマス放流はもちろん、法律を犯してまでもブラウンを放そうという人は減少するでしょうか。

私の考えでは、釣り人はいったんブラウンやニジマスの釣り味を知ってしまったので、そう簡単な話にはならないかも知れない。アメマスも良い釣りのターゲットですがニジマスの迫力にはとても及びません。さらに、どうがんばったところで河川環境を昔にもどすことなど不可能でしょう。

それでも激減したイトウ、アメマス、サクラマスといった在来種の復活のために絶対必要なことは河川環境の回復努力です。当面外来魚放流禁止や放流調整等でお茶をにごしても、北海道の在来の生態系が完全に元にもどるはずなどありません。それでも河川環境は少しでも生態系回復にむけて改善させてゆきたい。少なくともこれ以上には悪化させたくない。

これは北海道環境局ひとりでは不可能なことで道の組織でいえば 林務課や建設管理部などの河川に対する姿勢(開発事業や治山治水一辺倒で、在来の生物は二の次三の次)も再検討していただく必要があると思います。


いまだ生態系保全に関する住民意識が成熟しているとは、とても言えない北海道において、ニジマス放流を、突然一律禁止することは、これまでの社会的・経済的な経緯からしても強い反発が予想され、容易なこととは思われません。これは、釣り人の気持ちになってみれば当然かも知れません。行政が釣り人をまじえた十分な討議もなく、一部少数学者の意見のみを取り入れてブラウンやカワマスを一方的に一律放流禁止とした際の大反発は記憶に新しいと思います。

とはいっても、今現在、ニジマスがオショロコマを消滅させてゆく現状をだまって放置するわけにも行きません。


そこで、関連する道の法律を斜め読みしたところ、折衷案として以下の方策があります。


○特定外来生物による生態系等に係わる被害の防止に関する法律(平成16年6月2日法律第78号平成14年4月27日改正) において

第二章 特定外来生物の取り扱いに関する規制

(飼養等の禁止)

第四条 特定外来生物は飼養等をしてはならない。ただし、次に揚げる場合は、この限りではない。

 一  次条第一項の許可を受けてその許可に係る飼養等をする場合。


つまり、この際ニジマスを特定外来生物( 指定外来魚A2 )に指定する。ただこれまでの 社会的・経済的経緯を考慮して、上記の  次条第一項の許可を受けてその許可に係る飼養等をする を適用するのがよいと思われます。 

飼養等とは この際 ニジマス養殖産業の継続は勿論、遊魚のための特定の閉鎖水域へのニジマス放流も含みます。

飼養等 という用語を拡大解釈して ニジマス放流問題を解決してゆくのが手っ取り早いとおもいます。ここから、ニジマス放流のライセンス制、報告制の帰結がでてきて、さらにオショロコマ棲息水域にニジマスが侵入する恐れがあるところは放流禁止という状況が現実味を帯びてくるのです。


以上、私の経験にもとづきニジマス放流が在来種オショロコマに与える影響の現状とその対策を述べました。

ただ、本州方面でのブラックバス問題をみるとわかるように、利権や経済的損得がかかわったり、これまでの実績や快感を奪われる恐れがある時、人間は正気を失い、思考停止に陥ることがあります。その場合はまったく正論が通らなくなることはしばしば見聞されるところです。規制や罰則がなければ何を言っても馬耳東風といった状況も起こります。

またすべての物事には必ず反論があります。ニジマス放流に反対の立場に対し、諸般の事情でニジマス放流を断固容認したい人たちの意見もあるでしょう。

結局、もし対立する者どうしがいるとすれば、粘り強い話し合いの末、折衷案でまとまるのが理想的・現実的な解決策です。上意下達はしばしば好ましい結果とならないことがあります。

しかし、これまで多くの釣り人たち、研究者たちに、ひいては行政(実際に放流している地方自治体など)に、諸般の事情からあえて無視・無関心を続けられてきたかに見える北海道におけるニジマス放流とオショロコマに代表される在来魚との関係をここでほんの少しでも考えていただければ幸いです。

渓流釣り・渓流魚をこよなく愛する私たちにとって、今、何が最も大切なのか、ほんの少しでも思いを馳せていただければ幸いです。

  この項続く。









































渓流ごとに多彩な変化を見せる渓流の宝石、オショロコマ。 これらのオショロコマは消えてほしくない。


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巨大アメマス(エゾイワナ)とオショロコマの関係、オショロコマが大切な理由と野生化ニジマスの運命

2014-01-19 08:41:34 | 大型魚
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巨大アメマス(エゾイワナ)とオショロコマの関係

○オショロコマが大切な理由と野生化ニジマスの運命

指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 その六。

本州の渓流では漁協による養殖イワナの絶え間ない放流で、もはや Native な遺伝子を持つイワナは消えたともいわれています。

本当に純血かどうかという点では本州の源流イワナでさえ自分だけの隠しイワナをつくるためのマタギによる放流で古くからの遺伝子攪乱が行われてきた可能性があるといいます。

さらに現代においても上高地の梓川の永久禁漁保護水域ではイワナ、カワマス、ブラウントラウト、およびこれらの交雑種がいまやそれなりの生態系をなして共存しています。しかし、当然ながら梓川Native の純系イワナは消えたとも考えられています。

北海道では危険なトラウトとされるカワマスも本州では湯川・湯の湖、上高地、龍ヶ窪の池などごく限られた水域では順調に自然繁殖し、とても大切に保護管理されています。カワマス釣り専用の水域もあり、子供たちのカワマス観察会も盛んに行われています。これらは、いわばそれなりの生態系と言えるでしょう。この生態系が遠い将来どうなってゆくのかは、色々想像はできるものの、誰にもわかりません。

生態系とは未来永劫まったく変わらない事などありえず、本来、人為・自然災害による変化も含めて(たとえば里山のギフチョウ・ヒメギフチョウなど)、かなり流動的なパターンを呈することのほうが多いとおもわれます。

知床のオショロコマですら過去にイワナ(アメマス)と多少の交雑をくりかえした時期があった可能性がm-DNA(ミトコンドリアDNA)の解析から示唆されています。知床以外では、一般的に最源流域にオショロコマ、さらに混生水域があり、その下流域にアメマスといった傾向がありオショロコマはアメマスとの競争に負けて源流域に追いやられたのではないかとの推測もあります。









海、または下流域からの大型遡上アメマスに強く依存している個体群はダムなどで親アメマスの遡上が妨げられないかぎり、お家安泰、滅びることはありません。この個体群は何万年もかけてオショロコマとの競争に打ち勝ってオショロコマを源流域に追いやったのではないかと推定されます。しかし、田中角栄の時代、狂気のごとく造られまくった砂防ダムで北見地方のアメマスの多くは壊滅しました。アメマスの一部は源流域に生き残り、形態的にはいわゆるエゾイワナ化してなんとか生存しています。



どちらかというとエゾイワナ型のアメマス。この渓流では、今現在もオショロコマとアメマスのせめぎあいがあり、私のみたところ、オショロコマが劣勢です。遠い将来にはオショロコマが駆逐され消滅する可能性もあります。 ところが放流ニジマスはあっというまに、約4-6年でそこのオショロコマを消滅させてゆくのを観察してきました。


○野生化ニジマスの運命

北海道におけるニジマスは、上高地・梓川の変則的生態系に棲むトラウトたちと同様に将来は帰化外来魚とでも言うべき範疇に分類されるようになり、やがては長い長い時間の経過とともに必然的に北海道の魚として生態系に組み込まれてゆく可能性がないわけではありません。

この間、おそらくはオショロコマのみならずアメマス(エゾイワナ)、天然サクラマス(ヤマベ)にも大きな生態的ないし遺伝的影響を与えるだろうことは容易に想像されます。ニジマスの産卵行動がみられるのは普通、早春です。春産卵のニジマス個体群は同じく春産卵のイトウと産卵行動時期が一致することが大きな恐怖といえます。産卵行動中のイトウ♀にニジマス♂が放精したら、一体どんなことになるでしょうか。
たとえば今から10年後、2024年、新聞にイトウとニジマスのF1、ニジイトウ発見などという見出しが踊る可能性は否定できません。

多くはありませんが、地域によっては秋に産卵行動をみるニジマス個体群もいて、これはアメマス、サクラマス、オショロコマと産卵時期が重なる可能性があり、同様な自然雑交の可能性も否定できません。これらのF1は、普通、生殖がうまくゆかずカワマスの例と同様にF2は出来ないか、もし出来ても最終的には死滅する可能性が高いと思われます。一方、一人前に産卵・生殖行動は行うので最終的には、そこの渓流魚がのっぴきならない危機に陥ってゆく可能性があります。 

これらの危惧はあくまで私の推定ですが少なくともこのような危惧を無視してまでニジマス放流を続ける理論的根拠は薄いと思います。

このように、産卵時期がかさなればニジマスによる在来トラウトに対する遺伝子攪乱がおこり(もしかすると顕性化していないだけで既に始まっているかも知れない)長い長い将来的にはニジマス混生水域では遺伝的に純系の個体群が消えてゆく可能性もあります。

現在ではニジマスそのものにも、とても多くの種類の種苗があるため、今のままでは、遠い将来的には、遺伝的には、もう何がなんだかわからなくなってゆくのではないでしょうか。


さて、いまだ Native な純系遺伝子を比較的しっかりと保っている北海道のオショロコマたちは、このような流動的な状況において、ことさら貴重な存在であることに、みなさん、そろそろお気づきになってこられたのではないでしょうか。

先進諸国のみならず、いまだ原始の自然を有する開発途上国が、近年こぞって自国特有の動植物の保護に力を入れ始めたのは、心情的にこれらを愛し保護したいという気持ちの他に、遺伝的に純系の在来種を将来的にとても貴重な遺伝子資源と考えているからに他なりません。

その動きとは裏腹に、開発、焼き畑、自然災害その他の理由で毎年、何百種もの生き物が絶滅するといわれる地球ですが、何万年にもわたって繁栄してきたオショロコマ生態系が、私たちの世代に、一部の釣り人のはかない欲望をみたすためのニジマス放流であえなく消えて行くのだけは、どうしても避けたいところです。

放流したニジマスが釣られ減ってゆくのは単なる個体の減少で、渚滑川や阿寒川のように養魚場からの再放流でいくらでも補充がききます。しかし一旦消えたオショロコマ個体群(オショロコマを含む生態系)は大型ニジマス何万匹分のお金を積んだとしても、さらに何十億円をかけたとしても、決して再生することはできません。 

オショロコマも大切、ニジマスも大切なのは確かですが、大切さの次元がまったく違うことに、そろそろ、このあたりでお気づきいただければ幸いです。 

知床などを除くとオショロコマ生息域の多くはいまや上流~源流域に限られ、大型ニジマス釣りの舞台は普通中流~下流域です。この構図のままであれば問題はありません。

しかし大型ニジマスが産卵のため上流~源流へ遡上しそこで産卵を行うと、結果、ニジマス幼魚~若魚の多くはそこにとどまりオショロコマとの生存競争が起こり、その後オショロコマが圧倒され、時には絶滅するのが現状です。

従って、何度も何度も何度もの繰り返しになりますが、ニジマスがオショロコマ生息域へ侵入する恐れがあるところには決してニジマス放流をすべきではありません。ましてや源流域への成魚放流や発眼卵埋没放流は厳禁とすべきです。

   この項続く。

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水系ごとに、多彩な変化をしめすオショロコマたち。 消えていってほしくない。放流ニジマス対策は急務です。




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野生化巨大ニジマス5本駆除と超大型美麗モンスターニジマス

2014-01-18 09:28:31 | ニジマスによる被害
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野生化巨大ニジマス5本駆除と超大型美麗モンスターニジマス。

○巨大放流ニジマスの駆除


巨大なニジマス。オショロコマ棲息水域心臓部に産卵行動のため遡上。駆除させていただきました。

指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 その五。

私は当初からニジマス放流と在来魚類の関係に強い興味をもっており、このブログのメインテーマの一つでもあります。

長年、野生化ニジマスとオショロコマがつばぜりあいをしている川は多く、勢力迫中し一見同居状態の川も多々あります。

オショロコマ生息域心臓部に成魚放流されたとおぼしきニジマスを一気に釣り尽くして全滅させたこともあります。

ただ、こういった状況はオショロコマにとっては死活問題、きわめて迷惑千万な状況です。

なお、環境保護のため実際のこれらの渓流名はここには改めて記しません。それを知り、ニジマス目的で入渓する釣り人に絶滅寸前のオショロコマが混獲されトドメを刺される恐れが強いからです。


巨大なニジマス。オショロコマ棲息水域心臓部に産卵行動のため遡上。駆除させていただきました。

私は、オショロコマの聖域に侵入したニジマスは駆除(食べる)しています。私以外にもニジマス駆除に燃えている釣り人は稀でありません。オショロコマ生息域に侵入したニジマスを釣り、害魚だと陸地に放り投げる過激な釣り人もみたことがあります。私の経験では大型ニジマスは時期と場所さえヒットすればオショロコマ以上に釣りやすい魚で、釣り圧でたちまち減少します。



オショロコマ棲息水域心臓部に産卵行動のため遡上してきた大型ニジマスたち。すべて駆除。これでここのオショロコマが消えるのを、少なくとも数年は先送りすることができたと思います。




しかし、やがてニジマスの稚魚・幼魚・若魚が目につくようになると,もはやオショロコマに勝ち目はありません。ドナルドソンは猛烈な勢いで発育し短期間でオショロコマの何倍~何十倍もの大きさになります。

最終的にオショロコマが駆逐され、ついに、ニジマス一色( オショロコマが絶滅 )になってしまいます。

一般的に釣りブログではでっかい魚をどや顔で持っている写真が普通ですが、私のブロブではことさら小さいニジマスの写真をしつこく載せているのはそのためです。



恐怖のチビニジマス。こんなのが目立ち始めると、野生化したニジマスが繁殖に成功していることを示しています。もうオショロコマには勝ち目はありません。ドナルドソンは、ものすごい速度でオショロコマの何倍もの大きさに育ち、在来種オショロコマを圧倒、駆逐し、やがてそこはニジマスしかいない水域になってゆきます。



放流ニジマスが野生化・繁殖し在来種が消えてしまったニジマス一色の水域が増えてきています。悲しい現実ですが、そのような水域では、私は釣ったニジマスを丁寧にリリースしています。矛盾するようにも見えますが、そこでは、もはやニジマス駆除の意味がないからです。

侵入したニジマスがオショロコマを圧倒・駆逐し続けたものの、ついにはダムや滝のためその上流のオショロコマ生息域には侵入できずにいる渓流もあります。そのような渓流も、滝やダムの下流ではニジマス駆除は、もはや無意味と考え行っておりません。

ニジマス君そのものには 原罪( よく言う放流された外来魚に罪はないというのは根本的に誤り ) といった深刻な罪以外は何の罪もないのです。私が生態系原理主義者でないことは、これでおわかりいただけたとおもいます。

生態系とは未来永劫変化しないことなどあり得ず、自然現象、人為による変化を含めて常に変わりつづけてきましたし、それはこれからも同じでしょう。

大切なのは、今私たちにのこされた貴重なもの (ここでは北海道各地にピンポイントで奇跡的に残っている原始のオショロコマ生態系を指す) を今後どうするかです。

何万年ものあいだ北海道で生き抜いてきたオショロコマ個体群に私たちはもっと敬意を払うべきです。オショロコマは単に心情的に大切ということのみならず次世代に引き継ぐべき貴重な遺伝子資源でもあります。これは私たちだけの問題ではなく私たちの子孫にとっても極めて貴重なものであることに、みなさん、そろそろ気づいてもよいのではないでしょうか。



アントニオ猪木さんを思わせる立派な顎。巨大美麗モンスターニジマス。北見市近郊にて。ここでは、放流ニジマスが繁殖し在来魚は、ほぼ壊滅。いまさらこのモンスターを殺してもなんの意味もありません。ニジマス釣りの限りない興奮と感激をいただいたことに感謝しながら撮影後丁寧にリリース。

     


     この項 続く。

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深緑の季節、野生化大型ニジマス爆釣

2014-01-17 10:04:05 | ニジマスによる被害
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深緑の季節、野生化大型ニジマス爆釣

○無制限なニジマス放流はやめよう

指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 その四。

従って、放流したニジマスが上流域のオショロコマ生息域に侵入する可能性がある場合、そこにニジマスを放すのは禁忌です。

例えば貴重な生態系を完全破壊、ひいては消滅させる恐れのある例として原始河川渚滑川にニジマスのキャッチアンドリリース区間を設定し滝上町で町をあげてのニジマス放流をしているのは以前からとても気になっています。

きっと心ある人たちもいるはずですが、声をあげる状況ではないのかも知れません。

また特異な外観の渚滑川水系のオショロコマに対して多少の配慮はしているのかどうかは是非知りたいところです。

北海道の釣り(2014年1月発行)付録渓流徹底ガイド渚滑川 p34 に興味深い一文があり引用しておきます。以下原文のまま。

「渚滑川を30年ぶりに取材して何とオショロコマが釣れないことかと、愕然としたことも事実です。ニジマスは当時も魚影が濃かった川ではありますが、昔と比べると、現在のほうが何十倍も濃いような気がします。これは放流とC&Rエリアの設定の賜と言えるのでしょう。反面在来種のオショロコマの魚影が激減してしまったのは残念としか言いようがありません。」

渚滑川水系のオショロコマはパーマークに特徴があり、虎虎(トラトラ)オショロコマと呼ばれる興味深い個体群であったのにまことに残念です。虎虎オショロコマに興味がある方は ( 虎虎オショロコマ、 渚滑川、 オショロコマの森ブログ5  )で検索していただければ沢山でてきます。

渚滑川支流のひとつオシラネップ川上流では豊産していたヤマベは激減、オショロコマは見られず、かわりに人ずれした老熟ニジマスが多数みられました。

滝上町は、目先の経済的利益等のために次世代にとってもかけがえのない宝物を失おうとしています。というより、そんなことは当初から考えてもいなかった極楽とんぼ状態であったのでしょうか。

置戸町は、在来の生態系に及ぼす影響に気づいて長年続けてきたニジマス放流を止めました。

富良野町も同様にやめたと聞きます。

道北の名流幌内川は巨大ニジマス釣りで有名でしたが雄武町では近年神門の滝祭りのニジマス放流をやめています。幌内川水系の上流のほんの狭い水域には極めて貴重な北限のオショロコマがピンポイントで棲息しています。


何万年にもわたって精緻な生態系を維持してきた美しいオショロコマ個体群(生態系)が釣り人のはかない欲望のために、この世から消えてしまうのは私たちの子孫にとって大きな損失と考えます。

そんな小魚( 雑魚と言う人もいる )、ニジマス釣りの快感や目の前の経済利益の前には消えてしまっても仕方がないと考える人もいるかもしれません。

また、オショロコマが減る理由はニジマス放流以外にも多々あると鼻の穴をふくらませる人もいるかも知れませんが、それは極めて幼稚な論点のすりかえです。ドナルドソンはオショロコマにとって巨大で勝ち目のない恐るべき侵略者で、その生態系に大きな影響を与えていることは明白です。逆に鼻の穴をふくらませる方々がもしいるとすれば、ニジマス放流が未来永劫、生態系になんら影響を与えないことを証明する義務があります。(当然それは不可能ですが)。 

米国の状況では各水域に特有のカットスロートという美しい小型のトラウトの保護が、日本における在来イワナやオショロコマの例にあてはまると思います。

現在では、淡水系の在来生態系保護の先駆国アメリカでは、カットスロート棲息水系下流にニジマスを放流するなどは言語道断の所業とされます。

過去に放流された外来魚がカットスロートの棲息水域に侵入するのを防ぐため、巨額の予算で外来魚侵入防止ダムさえ建設されると聞いたことがあります。

純系の在来種を保全したい( 貴重な遺伝子資源保全という側面もある)という意気込みは、でっかい魚をひたすら釣りたいばっかりにニジマス放流を野放図・無制限に続けている脳天気な北海道とは比較の仕様もありません。

こういった分野での精神的成熟度は、先進国と比べると、北海道は、さしずめ幼稚園クラスの段階なのかもしれません。

外来魚侵入防止ダムは北海道でも支笏湖や屈斜路湖、その他の流入河川群の生態系保全に応用できるかも知れません。


    この項 続く。

深緑の季節、野生化大型ニジマス爆釣



北見市近郊のX川にて。ここでは、この時期限定で良型美麗野生化ニジマスがよく釣れるポイントがある。ニジマスはよく食べて栄養満点。ファイトも最高。 全てていねいにリリース。





北見市近郊のY川にて。深緑の渓流で良型ニジマスが次々と釣れた。これは最も巨大であった個体。この日釣れた野生化ニジマスはすべてリリースしました。




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スチールヘッド?、銀ピカ巨大ニジマスの遡上

2014-01-16 17:56:56 | ニジマスによる被害
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スチールヘッド?、銀ピカ巨大ニジマスの遡上

○放流ニジマスでオショロコマが全滅した河川の数々

指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 その参。

オショロコマは 従来 準絶滅危惧種とされてきましたが 2007年度版環境省レッドリストでは 絶滅危惧2類(VU) に 絶滅の危険が増大している種として さらに絶滅の危険のカテゴリーがレベルアップされています。

長年、道内各地で春夏秋冬オショロコマを調査し、その減少をみてきた私は、これは妥当な措置と評価します。

減少の理由は源流域の森林伐採、林道工事、ダムなど河川工事、近年知床で行われた大規模魚道工事による自然大破壊、ダムや魚道などによる局所的な水温上昇、釣り人による絶え間ない釣り圧、地球温暖化の影響?、大雨などに由来する自然そのものによる大規模環境破壊、さらに長年にわたり無秩序・無制限に行われてきたニジマス放流があげられます。

放流されたニジマスは、本州と異なって、北海道においては条件が整えば自然繁殖し野生化し定着し、水域によってはどんどん個体数を増やし、オショロコマを駆逐し、時には消滅させてゆきます。

そのような事例はこの10年間ほどの私自身の観察ですら、枚挙にいとまがありません。今後はものすごい勢いで、それに拍車がかかると思いますし、誰も知らないうちにいつのまのにかオショロコマが消えてゆく水域が激増してゆく可能性があります。

私の経験では野生化した50-60cmの大型ニジマスがオショロコマ棲息水域に侵入するのは産卵期のみですが、ニジマス幼魚~40cm前後までの個体は、常にオショロコマ棲息水域に侵入し、同居し、エサの先取り、威嚇・追い払い、さらにはオショロコマを捕食することによりオショロコマを漸次駆逐してゆきます。

同居水域ではニジマス若魚がひとしきり釣れたあと、はじめてオショロコマが釣れ出すのが普通です。そして、やがてニジマスが増え、オショロコマの姿は減ってゆくのを十勝川支流T川水系その他で多数観察し、このブログでも紹介してきました。

最終的に在来魚は消え、ついに完全にニジマス一色になった水域は、少なくとも阿寒川水系2本、釧路川水系2本、 無加川水系1本、十勝川水系3本、知床に1本(ここはニジマス駆除後、他の渓流のオショロコマを放したが魚道工事で絶滅、現在死の川です)、確認しており、それぞれ、このブログでも紹介しています。

このほか、このブロブで紹介したとおり、阿寒のひょうたん沼とシュンクシタカラ湖の貴重な湖沼型オショロコマは猛烈な釣り圧で減少したところに、ニジマス放流でとどめを刺され絶滅しています。私はニジマス放流がなければ絶滅には至らなかったのではないかと考えています。

きっと私が把握していない同様な水域は、道内各地に相当多数あると思われます。さらに今のままニジマス放流が続けば、今後急速にその水域が加速度的に増えてゆく可能性があります。

かって、全道各地でイトウ釣りが盛んだった頃、イトウがこれほど激減ないし水系によっては絶滅すると考えた人は唯の一人もいなかったと言われています。

同様に、今のところオショロコマがこの世から消えてしまうかも知れないと考える人は私以外には唯の一人もいないかも知れません。

オショロコマは全道各地にたくさん棲息している(今現在はすでに激減しているが...)ことにこそ大きな意味・意義があり、絶滅間近になってから初めてその価値に気づき、じたばたと保護に走るというおなじみの愚かな繰り返しは是非避けたいところです。

         この項続く。




釧路川水系支流、オショロコマ生息域に遡上したニジマス。銀ピカで一見♀かと思いましたが、激しく放精しました。



釧路川水系支流オショロコマ生息域にて。 この銀ピカ個体は♀でした。



釧路川水系支流オショロコマ生息域心臓部に遡上した個体。。銀ピカ大型ニジマスは一見、スチールヘッドを思わせますが、実はそうではありません。この♀からはドンブリ一杯の卵が採れました。



Oshorokomanomori blog5 Salvelinus malma in Nature in Hokkaido, Japan


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野生化巨大ニジマス、美しい姿態、猛烈パワー

2014-01-15 20:34:23 | ニジマスによる被害
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野生化巨大ニジマス、美しい姿態、猛烈パワー

指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 その弐。

この100年ほどの間に北海道の原始自然環境は、開発の名のもとに完膚無きまでに破壊されました。もはや開発の対象になるような未開発の大自然は、実は何も残っていません。今となっては極めて貴重で、今後は手つかずのままにしておきたい オショロコマの森のような原始の生態系 は、北海道各地に、小さな点状にぱらぱらと奇跡的に残っているにすぎません。

一方、執拗な開発行為などで本来の自然は大きくそこなわれてしまい、在来の水生生物はほぼ絶えてしまったが、外見的には一見豊かな自然をおもわせる水域は、かなりあります。そこにニジマスなどを放流して楽しむのは、他の生き物のことを考えればあまり好ましくはないが、この後におよんでは現実問題としてある程度容認出来るかもしれません。しかも、自然繁殖困難な本州と異なり、北海道では野生化し美しい姿態とパワーで釣り人に限りない興奮を与えてくれます。


北見市近郊の渓流にて。野生化巨大ニジマス、美しい姿態、猛烈パワー. 撮影後、リリース。



代表的な水域としては 湖底火山爆発後一旦死の湖となった屈斜路湖 (この際、湖の場合は流入河川の生態系を守るための完璧な工夫が必須、流入河川群へのニジマス遡上などは許されない )、ダムだらけで本来の自然が破壊された多くの河川群、過去に農薬まみれだった十勝の大畑作地帯の河川群、パルプ排液とタマネギ畑の農薬で底魚等が絶滅した北見市より下流の常呂川-無加川水系( 現在はパルプ工場は消え、農薬も工夫され、一見きれいな水が流れています。)、一旦死の湖となった各地のダム湖 etc. etc. etc ... などいくらでもあります。

これら、すでに在来の自然が破壊されきった閉鎖水域にニジマスを放流して 偽自然 をつくり、えーっ何故、北海道の川にニジマス??、 という多少の違和感には固く目をつぶって、外来魚を大いに楽しむのは現状を見る限り、多くは問題ないでしょう。実際に道内各地で広く行われており、そこには北海道内のみならず全国各地からも釣りマニアが多数訪れます。


北見市近郊の渓流にて。



何故、本州からわざわざニジマスを釣りにくるのでしょうか?。以前は意味不明でした。本州では一般的にニジマスは放流されても自然繁殖できないようです。養魚池から放流された、いかにも養殖ニジマスといったものをを短期間のうちに釣り切るというパターンが普通のようです。

従って、本州のニジマス釣りで最も重要なのは漁協の放流情報で、放流当日はおびただしい数の釣り人でにぎわいます。それに較べて北海道の野生化ニジマスは姿形も美しく成長し、ヒレピンでパワーも凄い、いわばまったくの別物です。偽自然とはいえ自然環境もすぐれて、あたかも大自然のなかで天然魚を釣っているような微妙な錯覚すら味わえるというのが大きな理由であることを知りました。

しかし、天塩川や札内川の大型ダム湖でニジマスを狙うおびただしい数の釣り人や、阿寒湖にずらり立ち込んで無心に長いロッドを振る釣り人の列を見たとき、これでも北海道かなと驚いたこともあります。


このような水域のうちにはニジマスのみならず、いまや釣り人にとても人気のあるブラウントラウトの繁殖水域として有名になっているところもあります。

ただブラウントラウトの繁殖力は状況によってはニジマスの比ではなく、ニジマスとブラウンは同列には語れないかも知れません。

支笏湖では、毎年おびただしい数のヒメマス稚魚が放流され、人気のヒメマス釣りが維持されています。ヒメマス放流が、ミヤベイワナのようにプランクトン食に特化した支笏湖特有の在来種アメマスに大きな影響を与えていることが研究者の間では知られていますが、これを問題視するむきは誰もいないことは興味深いとおもいます。魚属放流の諸問題を考えるうえで日本人独特の情緒(ヒメマスは姿形も美しく美味で生態系を脅かす負の要素も少ない)をも反映しており、大きな留意点といえます。

最近では、この特異なアメマス個体群は、放流ニジマスとブラウントラウトに追われてさらに減少傾向にあるといいます。

この際、ニジマスの特徴のひとつとして同一水域でエサを摂る量や攻撃的行動の頻度はニジマスがブラウントラウトよりはるかに多く、ニジマスのほうが生態的地位が高いとされていることも頭のすみに置いていただければ幸いです。

このニジマスがオショロコマ生息域に侵入した場合、どのようなことがおこるかは、小学生でもわかる理屈といえます。


北見市近郊の渓流にて。


私自身は、状況次第によっては養殖トラウトの移植・放流は良しとしたい心情ですが、ちょっと心の奥にひっかかることとしては、釣りの対象になるような魚がいなくなった渓流に、このニジマスを放したら川岸のクモの巣が消えたという恐ろしい噂話も聞いたことがあります。

外来魚ニジマスの放流とその後の自然繁殖は、当初は目に見えないが近い将来には起こるかも知れない未知の出来事の恐怖が常に問題になります。

     この項 続く。


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渓流竿破壊、巨大魚との戦い

2014-01-14 19:59:04 | ニジマスによる被害

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指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 その壱。

このキャッチコピーだけではニジマス愛護派、ニジマス放流容認派の方たちは目をむいて激しい反感を感じられるかもしれません。正しくは オショロコマなど在来種の生態系に著しい影響を与える恐れがある場合は という長い但し書きがつきます。

初心にもどり、河川・湖沼は釣り人だけのものではないということも念頭におかなければなりません。オショロコマなどの在来種としては、在来ヤマベ、アメマス(エゾイワナ)、ハナカジカ、スナヤツメ、フクドジョウ、ウグイ、ヤチウグイ、エゾトミヨ、ニホンザリガニ、エゾアカガエル、エゾサンショウウオ、種々の水生昆虫、種々の岸辺の生物などが私のブログに登場します。ここではさしあたって最も目につくオショロコマに対する影響を考えてみました。

先日、本当に久しぶりに 長いことほったらかしにしてあった オショロコマの森ブログ5 のサブブログ ドリーバーデンのブログ をなんとなく覗いてみましたら、早春、巨大ニジマスが遡上する渓流 の記事だけが 群を抜くアクセスがあり珍しくコメントもいただいておりました。それでコメントに対する御返事を書こうとしましたが 長くなるので今回のブログ記事とさせていただきました。気づくのが遅れて御返事がおそくなり申し訳ありません。

コメント記事

在来種であるオショロコマは大切です。でも、ニジマスも大切です。遥か昔に国がニジマスを放ちました。釣りのターゲットとして今では沢山の人々がわざわざ飛行機にのってまで釧路川水系まで来て釣りを楽しんでくれています。そんなニジマスが居る環境に惚れこんで、内地からの移住もかなりの件数です。町も過去十年以上、ニジマスの放流にちからをいれてきました。滝上と同じように、ニジマスは町のたからなのです。来月には道の条例で白黒つくでしょう。
          
               2013-5-17 22:23 弟子屈町民


来月には道の条例で白黒つくでしょうというのがちょっと意味不明なのですが、置いておきます。なにか白黒ついたのでしょうか。

オショロコマも大切ですがニジマスも大切とのことですね。そのとおりです。しかし大切さの次元がまったく異なることにお気づきいただければ幸いです。

私もニジマス釣りは大好きで大型ニジマス釣りの快感に日々酔いしれている一人です。北見市界隈ではいまや野生化巨大ニジマスが釣れるところはいたるところにあります。ニジマスは私にとってもとても大切な魚です。

渓流竿破壊、巨大魚との戦い 釧路川水系にて
















ものすごいバーンッという炸裂音とともに竿が木っ端みじんになって、同時にハリス切れで、巨大魚は遁走。放心状態。



オショロコマ棲息水域以外では釣ったニジマスは全てリリースしています。ただ、ふと我にかえると北海道の川でこんなモンスター外来魚が釣れていいのだろうか?と素朴な疑問に心が揺れることもあります。もし、ニジマスをとるかオショロコマをとるかと二者択一をせまられれば、ためらわずオショロコマをとることは言うまでもありません。



ニジマスの大切さの意味合いは、自然繁殖が難しい本州と異なり、北海道では野生化し美しい姿態とパワーで私たちに釣る快感を与えてくれるから、北海道では一部をのぞき無料で大自然のなかで楽しめるから、釣りにかかわる産業( 釣り雑誌、釣り具産業、釣り具店、地域の宿泊施設、食堂、売店、ガソリンスタンド etc )がうるおうから、釣り人がきて地域が活性化するかも知れないから( 移住する人までいる?)、食べておいしいから、川に魚がいるとうれしいから(死の川より、はるかにまし)、川にニジマスやアメリカザリガニ(本州)がいるのはいまや日常の光景で、これらを在来種と勘違いしている子供までいる、といった色々な理由で大切ということができるかも知れません。

ただ、ちょっと極端な言い方ですが、ニジマスを他の こわい外来魚 の名前に置き換えても似たような文章ができるかも知れません。さらに過疎の町が自然豊かな川にモンスター外来魚を放して人を呼び込むことは、苦肉の策として原発やダム建設で自然等を切り売りする代償に多額の補助金を得る状況と多少相通じるところがあるかも知れません。




北見市近郊の渓流にて。この巨大ニジマス、70cm 級のモンスターです。撮影後はリリースしています。



この項、続く。 

以後 8回に分けて、浅学非才なのは十分にわかった上で、この問題につき考察し、対策を考えてみました。この際、北海道各地での本格渓流釣り歴50年以上の私の実体験と釣りデータが以下の文章の背景になっています。一応、私は日本魚類学会会員ですが、いわゆる学術論文の引用はいくつかの理由で必要最小限にしています。 長丁場になりますが、北海道の渓流釣りを考える上で避けては通れない問題です。ぜひ最後までお読みいただければありがたいと思います。なにとぞ宜しくお願いします。


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初冬の野生化ニジマス、オショロコマぜろ

2014-01-13 11:06:50 | ニジマスによる被害
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2012-11-30  晴れ

初冬の野生化ニジマス、オショロコマぜろ。

このところ、道東をのぞき北海道各地でかなりの暴風雪があったようだ。高圧電線の鉄塔が着雪して倒壊するなどして5万6000戸が停電した西胆振地方の大停電は4日目にしてやっと復旧したらしい。朝10時30分、自宅を出発。北見は道路に雪も氷もなく穏やかな日々で暖かいので先週に引き続き近くの渓流へニジマス釣りに出発。

今日は先週調査し残したさらに上流域 1.5 Km を釣ってみる予定だ。前述のごとく、かってはオショロコマの楽園みたいな渓流であったが、最近は放流ニジマスがオショロコマを完全に駆逐している。つまりニジマスがオショロコマと置換してしまったのだ。 

思いがけなく、このところの雪と低温で途中の峠の山間の日陰部分では道路は恐怖のツルツルアイスバーンでびっくり。すべらないようカーブは時速30Km前後でおっかなびっくり走った。北見市内は雪無しであった。想像に反して峠はやたらと雪が多いので驚いた。峠の向こうも道路には雪があり先日の全道的な大嵐で何ともなかったのは北見市界隈だけであったことが判明した。

しかしせっかくきたので帰る気にならず強引に林道へ入って行くと完全に冬景色。おまけに冬山造材トラックまで入っていた。川岸は凍っているが草木の葉が落ちて夏場と較べると驚くほど見通しが良い。








橋の手前から入って二股分岐の右股川、先週釣り残した橋の上のたまり二箇所までやって終了。ポイントからポイントへの間はかなり距離があるが、川岸は固雪になっておりぬかることがなく雪の上を歩きやすい。






















































ポイントのたまりには必ず1-2匹のニジマス20-30cmがいて退屈しなかった。魚体は夏場より、ややスマートで魚の活性はあまり高くないが引きは強い。

ヒユーッと魚影が走り、すかさず合わせる。針掛かりするとぎらりと魚体が水中で光り、ギューンと竿先が絞り込まれる。野生化ニジマスの強い手応え、ひたすら快感だ。合計大小12匹を釣って撮影し全てリリースした。外気温は-6℃。あまり寒いので水中に手を入れての撮影がためらわれ、心ならずも手持ち撮影が多くなってしまった。本当は水中に手を入れているほうが暖かいのだが。







喰いが甘いため針かかりの浅い個体がほとんどであった。針を呑まれるような釣れ方の個体はなかった。この日もオショロコマは結局1匹も釣れず、この渓流はいつのまにか完全にニジマス一色の状態になっていた。つい5-6年前まではオショロコマが圧倒的に優位であったのに、この水域も放流・野生化ニジマスが圧勝してしまった。

ニジマスは北海道においては、はっきり危険な攻撃的外来種と言えよう。ニジマスだけは放流しても大丈夫などと考えている極楽とんぼ状態の方がおられたら、この際是非、認識を新たにしていただければ幸いです。また、実際に移植された外来種が勢いを得て、野生化し繁殖が始まってしまったが最後、そこにいついた外来種を駆逐することは、しばしば非常に困難なことがあることは、国内での多くの事例を教訓とすべきです。すくなくとも放流ニジマスがオショロコマなど在来種の生息域に侵入する恐れがある水域では、今後は決してニジマス放流を行ってはいけないと断言します。

1.5Kmほど釣り登ったが、さすがに疲労感が強くなり体も冷え切ってきたので 2時過ぎに川を上がった。この時期は見通しがよくヒグマも越冬に入っており心から安心して釣れるが、寒さが強烈なのが難点。万一川で転んだりしたら...ということは一切考えないようにしての釣りになる(山奥の冬の渓流で転倒すると最悪死ぬかも...)。 

車で林道をゆっくり降りてゆくと、ニジマス狙いの完璧ファッション、完全装備の若い釣り人が二人歩いていた。聞くと1匹も釣れなかったとブーイング状態。この時期、ルアーやフライではちょっと無理かな。源流域の野生化小型ニジマス狙いの釣り人が、なんとなく広まっている噂を聞いて釣りに入り始めている気配が伺え、複雑な心境になってしまった。

これで今年の釣りはおしまいと固く自分に言い聞かせて北見へ向かった。アイスバーンの峠を避けて、帰りは遠いが安全な別ルートで帰った。

F氏のF1氏が我が家にきてくれて、ホンダの小型除雪機雪丸君をチェックしてガソリンを入れてくれた。もう少しで雪国北見市は雪丸君出動の季節だ。




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