プレスカンファレンスでロレンソを挟んで隣のストーナーが引退発表をした時、彼は一瞬自分の耳を疑ったに違いない。
しかし、次に思ったことは「彼が現役の内に、彼にしか乗りこなせないと言われるセデイッチ機を自身が
乗りこなし、その彼が今操るとんでもなく速いRC機を抜き去ること・・・。」
そんな決勝朝のル・マン ブガッティサーキットを見たロッシはきっとこう思ったに違いない。
「今日がそのチャンス」と。。。朝のウォームアップ走行、ロッシ4番手(ヘイデン5番手)。ストーナーに遅れること0.35秒。
そして、いよいよその目論見へのスタートが雨の中切られる。
GP12が他車より唯一、優れてるのはタイヤが温まり易いということ。予選7番手からその特性を
生かしスタートで先頭集団に上手く入り込むロッシ。
やがて何とか黒いヤマハも抜きさり、2位を走るストーナーを射程距離に捕らえるも、ここでトラブルが襲う。
それはマシン(GP12)のトラブルではなく、ヘルメット(agv)のシールドが雨のせいで曇ってしまうというトラブル。
それが原因で一旦、黒いヤマハに先行を許すも、シールドの曇りが取れたところで抜き返し
再び、ストーナーの背後に着く。
まるで「GPレースに魅力を感じないなんて嘘だろ?」とでも問いただすかのように背後に張り付く。
レース後、ストーナーは背後に迫るセデイッチの爆音が段々と大きくなるにつれ、1年以上も前の
ヘレスでの転倒を思い出したと言う。
あの時はレース後、ホンダのピットに謝罪に訪れたロッシに対し「野心が才能を超えてしまったのか?」と
言ったという。しかし、このレースでのロッシの走りは違う。
抜きつ抜かれつのバトル。ロッシは自分が乗るGP12に自信を持ち、ストーナーに対し「面白いだろ?
こんな、面白いことを何故、辞めるんだい?」とでも言いながら走ってるようにも観える。
そして、ファイナルラップ。。。ストーナーを綺麗に抜き去る。
「これぞっロッシ!」
実にDUCATIにとっては1年ぶりの表彰台。そして、ロッシ自身のDUCATIでの最高リザルトとなる2位。
では決勝結果。。。
1. Jorge Lorenzo ESP Yamaha Factory Racing (YZR-M1) 49m 39.743s
2. Valentino Rossi ITA Ducati Team (GP12) 49m 49.648s
3. Casey Stoner AUS Repsol Honda (RC213V) 49m 51.041s
4. Dani Pedrosa ESP Repsol Honda (RC213V) 50m 9.104s
5. Stefan Bradl GER LCR Honda (RC213V) 50m 12.220s
6. Nicky Hayden USA Ducati Team (GP12) 50m 12.585s
7. Andrea Dovizioso ITA Monster Yamaha Tech3 (YZR-M1) 50m 39.502s
8. Cal Crutchlow GBR Monster Yamaha Tech3 (YZR-M1) 50m 44.895s
9. Hector Barbera ESP Pramac Racing (GP12) 50m 47.589s
10. Alvaro Bautista ESP San Carlo Honda Gresini (RC213V) 50m 52.936s
11. James Ellison GBR Paul Bird Motorsport (ART CRT) 51m 6.406s
12. Mattia Pasini ITA Speed Master (ART CRT) 51m 7.376s
13. Aleix Espargaro ESP Power Electronics Aspar (ART CRT) +1 lap
14. Michele Pirro ITA San Carlo Honda Gresini (FTR-Honda CRT) +1 lap
15. Yonny Hernandez COL Avintia Blusens (FTR-Kawasaki CRT) +1 lap
16. Ben Spies USA Yamaha Factory Racing (YZR-M1) +1 lap
17. Chris Vermeulen AUS NGM Forward Racing (Suter-BMW CRT) +2 laps
18. Ivan Silva ESP Avintia Blusens (FTR-Kawasaki CRT) +2 laps
DNF:
Danilo Petrucci ITA Came IodaRacing (Ioda-Aprilia CRT)
Randy De Puniet FRA Power Electronics Aspar (ART CRT)
Karel Abraham CZE Cardion AB Motoracing (GP12)
尚、次戦カタル-ニャGPは6月3日(日)決勝です。