阪哲朗が振った東京シティ・フィルの定期。今シーズンでは一番楽しみにしていた定期だ。めったに聴けない曲目。なので、集客は難しいかも――と思っていた。会場に行ったら、予想以上に入りは悪かった。でも、指揮者もオーケストラも熱演だった。聴衆の反応も熱かった。
1曲目はヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756‐1792)の交響曲ハ短調。CDは2種類持っているが、実演を聴くのは初めてだ。弦は6‐6‐6‐3‐2の編成で対向配置(管はオーボエとファゴットが各2、ホルンが4)。小編成の割には(とくに弦が)よく鳴っていた。阪哲朗の指揮のゆえだと思う。
クラウスは「スウェーデンのモーツァルト」と呼ばれている。モーツァルトと同年生まれ、没年はモーツァルトの翌年。ドイツ人だが、スウェーデンの宮廷で活躍した。
昔(あれはいつだったか)、シュトゥットガルト歌劇場がクラウスのオペラ「カルタゴのエネアス」を上演したことがある。当時の音楽監督ローター・ツァグロセクの指揮、ペーター・コンヴィチュニーの演出だった。同歌劇場としても力の入ったプロダクションだったと思う。わたしも観に行った。でも、劇場に入ってから簡単なあらすじを読んだだけでは、舞台上の出来事が理解できなかった。今では笑い話だ。
2曲目はニールセンのクラリネット協奏曲。東京シティ・フィルは、今シーズンは同曲、来シーズンはフルート協奏曲と、ニールセン晩年の2曲の協奏曲を取り上げる。ニールセン好きには堪らない選曲だ。
クラリネット協奏曲の独奏者は橋本杏奈。若い女性だ。イギリスが本拠地らしい。難曲のこの曲を自分のものにしている様子だ。焦点の合った的確な演奏。その演奏を聴いていると、クラリネットのキャラクターとしてニールセンが抱いていたイメージは、ずいぶん特殊だったのではないか――と。モーツァルトやブラームスが抱いていた枯淡のイメージではなく、道化師のような(グロテスクな)おどけ、そして時に垣間見せる孤独、そういったイメージではなかったかと。
3曲目はクルト・ヴァイルの交響曲第2番。これもいい演奏だった。メリハリがあり(第1楽章)、また時にはオペラの一場面のように濃密な(第2楽章)演奏。各楽章のキャラクターを描き分けた演奏だ。まったく弛緩せずにキリッとまとめた演奏。いかにもオペラ指揮者という感じだ。阪哲朗の力量を示すものだった。
(2014.11.20.東京オペラシティ)
1曲目はヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756‐1792)の交響曲ハ短調。CDは2種類持っているが、実演を聴くのは初めてだ。弦は6‐6‐6‐3‐2の編成で対向配置(管はオーボエとファゴットが各2、ホルンが4)。小編成の割には(とくに弦が)よく鳴っていた。阪哲朗の指揮のゆえだと思う。
クラウスは「スウェーデンのモーツァルト」と呼ばれている。モーツァルトと同年生まれ、没年はモーツァルトの翌年。ドイツ人だが、スウェーデンの宮廷で活躍した。
昔(あれはいつだったか)、シュトゥットガルト歌劇場がクラウスのオペラ「カルタゴのエネアス」を上演したことがある。当時の音楽監督ローター・ツァグロセクの指揮、ペーター・コンヴィチュニーの演出だった。同歌劇場としても力の入ったプロダクションだったと思う。わたしも観に行った。でも、劇場に入ってから簡単なあらすじを読んだだけでは、舞台上の出来事が理解できなかった。今では笑い話だ。
2曲目はニールセンのクラリネット協奏曲。東京シティ・フィルは、今シーズンは同曲、来シーズンはフルート協奏曲と、ニールセン晩年の2曲の協奏曲を取り上げる。ニールセン好きには堪らない選曲だ。
クラリネット協奏曲の独奏者は橋本杏奈。若い女性だ。イギリスが本拠地らしい。難曲のこの曲を自分のものにしている様子だ。焦点の合った的確な演奏。その演奏を聴いていると、クラリネットのキャラクターとしてニールセンが抱いていたイメージは、ずいぶん特殊だったのではないか――と。モーツァルトやブラームスが抱いていた枯淡のイメージではなく、道化師のような(グロテスクな)おどけ、そして時に垣間見せる孤独、そういったイメージではなかったかと。
3曲目はクルト・ヴァイルの交響曲第2番。これもいい演奏だった。メリハリがあり(第1楽章)、また時にはオペラの一場面のように濃密な(第2楽章)演奏。各楽章のキャラクターを描き分けた演奏だ。まったく弛緩せずにキリッとまとめた演奏。いかにもオペラ指揮者という感じだ。阪哲朗の力量を示すものだった。
(2014.11.20.東京オペラシティ)