Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

マクリーシュ/都響

2014年11月22日 | 音楽
 ポール・マクリーシュが都響を振った定期。当初はホグウッドが振る予定だった。新鮮味のあるプログラムだったので、楽しみにしていた。そうしたら、亡くなってしまった。過去に聴いた名演が想い出される。ご冥福をお祈りする。

 代役にポール・マクリーシュの名前が出たときには、えっと驚いた。新たな動機付けができたような気がした。プログラムもそのまま引き継ぐとのこと。これは嬉しいニュースだった。

 1曲目はコープランドの「アパラチアの春」原典版。オーケストラによる組曲版で親しんでいるが、原典版は小オーケストラ編成だ。第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各2、コントラバス1。管はフルート、クラリネット、ファゴット各1。そしてピアノ。

 冒頭、弦の薄いハーモニーにクラリネットが最弱音でメロディーを乗せたとき、これは名演になると思った。繊細で鋭敏な音。無神経な音は一音たりとも許されない演奏。都響はベストメンバーで臨んでいた。マクリーシュの優秀さも感得された。

 「アパラチアの春」という題名どおり、のどかな風景(=音楽)が続く曲だと思っていたが、後半に、威嚇するような、暗い部分があった。組曲版にはない部分だ。このちょっとした変調を経て、また元の穏やかな音楽に戻る。なるほど、原曲はこうなっていたのかと思った。

 休憩をはさんで2曲目は、リヒャルト・シュトラウスの「13管楽器のためのセレナード変ホ長調」。13管楽器というとすぐにモーツァルトの「グラン・パルティータ」を思い出すわけだが、モーツァルトのバセットホルン2本の代わりに、シュトラウスの場合はフルート2本が入っている。フルートが入るかどうかで、全体の音はずいぶん変わるものだと思った。華やかになる(たしかに……)。でも、聴きなれた(オーケストラの)管楽器パートの音になる。その点が……。

 3曲目はメンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」。ホグウッド校訂版第2稿とのこと。プログラムノートにセルパン(※)という楽器が第4楽章で使われていると書いてあった。どんな音かと注目していたが、残念ながら聴き取れなかった。終演後プログラムノートを読み直したら、コントラファゴットに重ねて、とあった。コントラファゴットに集中していればよかったかもしれない。ともあれ、優秀な指揮者とオーケストラとの出会い。心地よい緊張感のある演奏だった。
(2014.11.21.東京芸術劇場)

(※)セルパン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%B3
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする