Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

サンティ/N響

2014年11月23日 | 音楽
 サンティの‘名曲コンサート’のようなプログラム。演奏時間の合計はそうとう短いはずだから、(定期演奏会ではあるけれど)なにかアンコールでも用意されているのでは――と、半ば期待して出かけた。でも、そういうサービスはなかった。

 1曲目はロッシーニの「どろぼうかささぎ」序曲。弦はなんと16型。弦がこれだけ厚いと、管はどうしても分が悪い。最強音の部分では(木管はともかく)金管が埋もれ気味だった。弱音の部分のコントロールは徹底していたのだが。

 2曲目はベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」。これもどっしりと重い――というと語弊があるかもしれないので、言い方を変えると――重量級の(あまり変わっていないか‥)演奏だ。ベルリオーズのトリッキーなリズム処理が感じられず、むしろ堂々と安定している。

 以上の2曲で休憩に入った。えっ、序曲2曲で?という思いはあったが、まあ、仕方がない。サンティの巨躯を支える足もだいぶ頼りなくなったので、適当なタイミングかもしれない。

 3曲目はチャイコフスキーの「イタリア奇想曲」。これは文句なしに楽しかった。サンティの演奏スタイルと音楽とのあいだになんの齟齬も感じなかった。チャイコフスキーの奥行きのある構えがサンティを受け入れたのだろう。

 4曲目(つまり最後)はレスピーギの「ローマの松」。もういうまでもないが、これもどっしりとした演奏。この曲はこれでいい。なので、プログラム前半の2曲よりも、後半の2曲の方が、なにもひっかからずに楽しむことができた。

 「アッピア街道の松」のバンダは、客席ではなく、ステージに載っていた。NHKホールではいつもこうだったか‥。ステージの、向かって左奥に、配置されていた(一方、右奥にはオーケストラの金管群が。これは通常の位置だ)。もちろん、これだと、オーケストラとバンダが合わなくなるリスクは皆無だ。だが、ちょっと物足りない。

 バンダの‘バス・フリコルノ’はユーフォニュームが使われていた。形態はユーフォニュームに似ているが、音はどうなのだろう。個人的な好みでは、トロンボーンの張りのある音の方が好きなのだが。

 以上、いろいろいったが、さすがはN響だ。トゥッティの輝きも、個人の妙技も、たっぷり楽しませてもらった。これほど高性能なオーケストラだ。早く(長老指揮者ではなく)パーヴォ政権になってほしい。
(2014.11.22.NHKホール)
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