Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ラ・フォル・ジュルネ2016(5月3日)

2016年05月04日 | 音楽
 ラ・フォル・ジュルネの2つのコンサートへ。まずア・カペラの合唱グループ、ヴォーチェス・エイトから。シュッツ(1585‐1672)の宗教曲から1960年代のヒット曲「夢のカリフォルニア」までというクロスオーバーのプログラム。

 お目当ては「夢のカリフォルニア」だった。子どもの頃に痺れた曲。レコードは持っていなかったが、ラジオで繰り返し、繰り返し聴いた。当時、夢中になっていた曲。その曲が今蘇るような気がした。途中のアルト・フルートのソロはどうやるのだろうと思った。

 演奏が始まる。まず前奏。ア・カペラなので、口先でリズムを刻む。マラカスを模したような音も交じっている。リズミカルな前奏。メロディーが入ってくる。ママス・アンド・パパスの歌声が蘇る。例のアルト・フルートのソロはソプラノのヴォカリーズでやっていた。なるほど、こうきたかと。

 プログラム全体では、ジョン・ベネットとトマス・ウイールクスというイギリス・ルネサンス期の作曲家のマドリガルがよかった。どちらの曲も生きいきとした表情を持っていた。わたしには未知の作曲家たち。ヘンリー・パーセルよりもずっと前の、ウィリアム・バードに代表されるこの時期は、イギリスには多くの作曲家が輩出し、一種の黄金時代を築いたようだ。

 ラ・フォル・ジュルネのいいところは(わたしにとっては)このような未知の音楽との出会いの可能性があることだ。自分の狭い殻に閉じこもらず、それを打ち破り、未知の音楽に触れる機会を与えてくれるラ・フォル・ジュルネは、ありがたい存在だ。

 もう一つのコンサートは、フィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第2番「アメリカの四季」の演奏会。ヴァイオリン独奏はドミトリ・マフチン、リュー・ジア指揮マカオ管弦楽団の演奏。

 ギドン・クレーメルのお気に入りの曲だ。日本でも演奏したことがあるかもしれない。今回の演奏は、とくにヴァイオリン独奏がよかったが、オーケストラが重いことが、この演奏にもう一つ乗りきれなかった原因かもしれない。

 それにしても生で聴くと、いろいろなことがよく分かって面白かった。4人のコントラバス奏者のうち、2人はピチカートで、2人はアルコ(弓)で弾くところなど、どのような効果を狙ったのか、わたしの耳では捉えきれなかったことが情けない。シンセサイザーは意外に控えめな音量だった。
(2016.5.3.東京国際フォーラムB5、C)
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