Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ハワイ旅行(5)

2017年10月06日 | 身辺雑記
 最終日はホノルル美術館Honolulu Museum of Artへ行った。モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ、マティスなどのヨーロッパ絵画はもとより、アメリカ絵画ではジョージア・オキーフ(ハワイで描いた風景画があり、いかにもホノルルの美術館らしかった)の他、抽象表現主義の画家たち、その他見応えのある展示だった。

 でも、わたしが驚いたのは、それ以降だった。太平洋諸島の仮面その他の民芸品、さらに古代ラテンアメリカ、北アメリカ大陸(いわゆるインディアン)、アフリカなどの民芸品が展示されていた。わたしは今‘民芸品’といったが、それらの民族的な工芸品が20世紀以降のヨーロッパ絵画・彫刻に与えた影響からいうと、むしろ‘美術品’の感じだった。

 さらに、日本、中国そして韓国の仏像、陶磁器等々、またインド美術、東南アジア美術、インドネシア美術、イスラム圏美術などが続いた。わたしは圧倒された。世界を、(言い換えれば)地球をフラットに捉えて、それぞれの美術に同等の価値を見出す世界観。美術館でそのような世界観を感じるのは初めての経験だった。

 気持ちのよい風が吹く中庭のレストランで昼食をとった後、企画展「抽象表現主義 遥か西洋の地から東を見つめて」ABSTRACT EXPRESSIONISM Looking East From the Far Westを見た。マーク・ロスコその他の抽象表現主義の画家たちが、日本人その他の東洋人の画家たちから、どのような影響を受けたかを検証する試み。西洋中心主義とは一味違った視点だった。

 最後にハワイ美術を見た。唯美主義の影響を感じるもの、ポップな感覚のもの、その他どれも面白かった。

 結局、昼食の時間を含めて、約4時間半いた。わたしが美術館で費やす時間は、通常は2時間くらいなので、その倍はいた勘定だ。

 時刻は午後2時半になった。ハワイ旅行の最後はイオラニ宮殿Iolani Palaceに行った。ハワイ王朝第7代国王のカラカウア王が建設した宮殿。上掲の写真↑は「王座の間」。それほど広くはないが、暖かみのある美しい部屋だ。外国の賓客を招いて舞踏会を開いたそうだ。

 旅行中、折に触れて接したハワイ王朝の歴史が、イオラニ宮殿を訪れたことで、身近に感じられた。同宮殿の建設は、ハワイ王朝の財政を圧迫したそうだが、今になってみると、ネイティヴ・ハワイアンの矜持を後世に伝えている。
(2017.9.29.)
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