平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

古畑任三郎 「ラスト・ダンス」

2006年01月06日 | 推理・サスペンスドラマ
 推理・謎解きだけでなく観ている者も騙してしまう。
 そんな推理ドラマがテレビで放送されたのはこれが初めてではないだろうか?
 古くは映画の「スティング」。
 ・第1夜~3夜までの連続放送。
 ・イチローの役者抜擢。
 ・視聴者をも騙すドラマ。
 今回の古畑任三郎はサプライズの連続!
 三谷幸喜さんとプロデューサーの遊び心を感じた。

 第3夜「ラスト・ダンス」のトリックは次の様なもの。(以下、ネタバレです)

1.TVドラマを共作しているシナリオライターの双子の姉もみじと妹かえで。
 姉が共作をやめて独立したいと言ったことから、殺そうとするかえで。
2.姉の秘書のおばさんを買い物に行かせ、姉を銃で撃つかえで。
 そのまま銃を持たせ、自殺にみせかける。
 同時に非常口に通じるドアを開けておく。
 また、爆竹を括りつけた蝋燭を床に置いておく。
 秘書が帰ってくると、秘書に「姉は執筆中だから電話を取り次がないで」と言ってマンションから出る。
 (この時、昼の12時50分)
3.玄関から出るかえで。
 非常口に回って、姉がふたたび死んでいる部屋に戻り姉の服に着替え、秘書のおばさんと会話。
 (★かえでが出ていった後も姉が生きていたことを証明するアリバイ作り)
4.かえで、再び服を着替えると、刑事ドラマの監修で親しくなった古畑と喫茶店で会う。
 (この時、13時)
5.姉の携帯をポケットに忍ばせていたかえで。
 その携帯を使って、自分の携帯に電話をかける。
 姉と会話をするふりをするかえで。
 (★これもアリバイ作り。着信履歴も残る)
6.電話の様子が異常だったことを理由に姉の事務所に戻るかえで。
 そこで聞く銃声音。
7.あらかじめ隠しておいた秘書のおばさんの合い鍵を使って中に入るかえで。
 姉が死んでいるのを見て、警察を呼ぶために秘書は部屋の外に出る。
 かえで、爆竹の仕掛けを回収し、姉の携帯を元に戻す。

 この双子でなければできない完全犯罪を古畑が暴く。
 重箱の隅を包むように古畑は気になる点を挙げていく。

1.原稿の1ページ目・2ページ目が床に落ちている。
  机の上には3ページ目の原稿。
  その原稿の上には姉の携帯電話。
  古畑はこう分析する。
  「銃で撃った時に1枚目の2枚目の原稿が落ちたのであれば、
  机の上にある3枚目の原稿の上に携帯を置いたのは誰だ?」
2.音に反応するおもちゃのピエロが床に落ちている。
  恐らく銃声に反応して床に落ちたのだと思われるが、1回音が鳴っただけでは床から落ちない。
  2回音が鳴ると床から落ちる。
  古畑は「銃音、偽装された銃音の2回、音が鳴ったのではないか」と分析する。

 だが、事件の真相は別の所にあった。
 ここからが視聴者の騙される所であり、2段階の謎解きである。

 古畑は今泉に犯人が当日やったことと同じことをさせる。
 「非常口をまわって姉の事務所に戻り、服を着替えて秘書と会話し、再び着替えて古畑のいる喫茶店に戻らせるのだ」
 今泉がかかった時間は20分。
 だが、実際は12時50分から13時の10分間で犯人は行っている。

 この点と
 ・古畑と会った喫茶店のグラスに付いた口紅。
 ・秘書との通話のインターホンを使い慣れていたこと。
 ・移動に車ではなくタクシーを使ったこと。
 ・ドラマ「ブルガリ三四郎」のコートを古畑が着ていたのに喫茶店で何も言わなかったこと。

 以上の点からある真相に迫っていく。

★研究ポイント
 2段階の謎で作り上げられた推理ドラマ。
 視聴者をも騙すという手法。

★追記
 「私と妹は月と太陽。
  あの子は太陽のように自分で輝いていた。
  私はあのこの光で輝いていた。
  私が自分の力で輝きたいと思うのはいけないこと?」
 「おかげで夢のような1日を過ごすことができました」
 というせりふは彼女の悲痛な叫び。

 あと、水槽を装って隠された大鏡。化粧道具とおしゃれな服。
 それに古畑とのラストダンスも。

コメント
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