平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

SHINOBI

2006年01月20日 | 邦画
 山田風太郎の「甲賀忍法帖」が原作。
 冒頭のアクションがワイヤーアクションだったので、「荒唐無稽に命をかけた」山田風太郎の世界が香港映画の様に再現されることを期待したのだが、残念、中途半端で終わってしまった。

 映画では5対5だが、原作では10対10の伊賀・甲賀の全面対決。
 数が減ったのも残念だった。

 原作で描かれた忍者はこうだ。

 ★甲賀十人衆(甲賀卍谷)
 甲賀弾正・鵜殿丈助・甲賀弦之介・如月左衛門・地虫十兵衛・室賀豹馬・風待将監・陽炎・霞刑部・お胡夷

 ★伊賀十人衆(伊賀鍔隠れ)
 お幻・雨夜陣五郎・朧・筑摩小四郎・夜叉丸・蓑念鬼・小豆蝋斎・蛍火・薬師寺天膳・朱絹

 忍者の名前を見ただけでもワクワクしてくる。

絶対に死なない忍者・薬師寺天膳。
 相手の顔を奪ってしまう如月左衛門。
 長い袖から黒い縄を繰り出す縄術の夜叉丸。
 幼い頃から毒を飲まされ身体中に毒を有している陽炎。
 相手の剣の鉾先を反転させて自分で自分を攻撃してしまう弦之介。
 見つめることで相手を葬る朧。

 すごい忍者たちだ。
 これならハリウッドにも香港えいがにも太刀打ちできる。 
 ところが映画では、忍者の描写は不親切で、彼らがどんな奇想天外な術を使うかが描かれていない。

 製作意図というものはある。
 仲間由紀恵・オダギリジョーを使う以上、恋愛ドラマにしなくてはならないのはわかるが、原作のどこが面白いのかは考える必要はある。
 恐らく山田風太郎先生、「ロミオとジュリエット」の恋愛話はあくまで味付けであり、奇想天外な忍者を描きたかったに違いない。
奇想天外な忍者を面白がって書かれていたに違いない。

★研究ポイント
 原作をどう切るか?
 その切り口は観客が求めているものか?

★追記
 この作品のテーマには次の2点があった。
・平和の世になり自らの存在意義がなくなった忍者の苦悩。
 陽炎は言う。
「あたしたちは戦うことしかできないのに、それを否定されたらどうすればいいの?」
・運命論
 朧を守って死んだ少女・蛍火。
 伊賀のメンバーに蛍火が選ばれた理由は、蛍火に「朧を守って死ぬ」運命があったからだと説明する。
 人は決められた運命から逃れられないという運命論だ。
 朧はその決められた運命を否定するためにある行動に出るのだが。
コメント
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