平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

功名が辻 2

2006年01月23日 | 大河ドラマ・時代劇
第3話「運命の再会」

 メインモチーフは「竹中半兵衛と秀吉」だ。

 まず、秀吉を描いた。
 墨俣城築城だ。
 秀吉は斎藤側の攻撃を受けながらたった3日で、城を築いた。

 次に、半兵衛を描いた。
 稲葉山城奪取だ。
 半兵衛はわずか16人でこの難攻不落と言われる城を手に入れた。

 そして、秀吉と半兵衛は出会う。
 すごい男たちが出会うのだ。
 何が起こるのだろうと観る者は思う。
 秀吉は半兵衛を織田側に寝返らせようとする。
 秀吉と半兵衛が組めば、秀吉軍はどんなに強くなるだろうと観る者は思う。
 「兵を損なわずに勝つこと」を秀吉と半兵衛は兵法の理想としているから、いずれはこのふたり手を結ぶだろうなと思わせる。

 サブモチーフは「千代の心の葛藤」だ。

 千代を育てた不破市之丞は「千代と家中のしかるべきものとの縁談を進める」と言う。
 一豊のことが忘れられない千代は葛藤する。
 育ててくれた不破の愛情を裏切ることはできない。母は美濃が自分の拠って立つ場所だと教えた。しかし、一豊のことが好きだ。
 その千代の葛藤を見抜いて、半兵衛が動く。
 千代と一豊を自分の庵で再会させるのだ。

 ここでメインモチーフとサブモチーフが関わりを持つ。
 見事な構成だ。

★研究ポイント
 シナリオは数学に似ていると言われる。
 今回は、A×B=C
 Aは秀吉。
 Bは半兵衛。
 そのAとBが掛け合わされ、Cというドラマチックな効果を生む。

 Cは「千代の恋」というサブプロットにも影響を及ぼす。

★追記1
 大河ドラマでは「ナレーション」が巧みに使われている。

 墨俣築城では「秀吉は現在のプレハブ工法の様なやり方で城を作った」とナレーションで語り、墨俣築城と攻めてくる斎藤との攻防を映像ではさみ、「こうして城は3日で出来上がったのである」とナレーションで締めた。
 
 稲葉山城奪取では「酒と女にふける斎藤龍興。半兵衛が稲葉山城を乗っ取るのは、その1ヶ月後である」とナレーションで語り、「竹中半兵衛、義によって稲葉山城を貰い受ける」と言って城を占拠する映像を入れて、「その後、半兵衛は小さな庵に移り住んだ」というナレーションで締めている。

 ナレーション+映像+ナレーション という構成である。

★追記2
 ある場面に「プラスアルファの感情」を付与するのもシーン作りとして、学びたいところだ。

 半兵衛の城にやって来た秀吉と一豊。
 大きくなった千代に一豊は茶を出す。
 単なる茶を出すという芝居だが、一豊との再会に千代の心は揺れる。
 この「再会に揺れる千代の心」をシーンに付与することで、単なる茶を出す芝居が名シーンになる。

 千代は自分が千代であることをわからせるために、一豊に想い出の品をチラリと見せる。この小道具の使い方も見事だ。
 半兵衛も千代の気持ちを見抜いたのか、「秀吉殿とふたりで話したいから」と言って、一豊に席を外させ、千代と話を作る機会を設けた。

★追記3
 千代と再会した一豊は千代のことが忘れられず、槍を振るいながら「千代~!」と叫ぶ。
 それを見ている家臣は「変なかけ声じゃのう」「おなごの名前では」と語り合う。
 ユーモアと共に一豊の実直さが現れた見事なキャラクター描写だ。
 槍を振るっている場所が、尾張と美濃を隔てる国境の河だというのも象徴的だ。
 
コメント
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