平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

翼の折れた天使たち ~ライブチャット~

2006年03月01日 | 学園・青春ドラマ
優奈(堀北真希)はヒッキー。

外に出るのが怖くて、ライブチャットをすることで生計を立てている。
ライブチャットが優奈にとって唯一の外の世界に繋がる手段だが、疑似恋愛・アダルトな要求をしてくる男たちは優奈にとって恐怖以外の何者でもない。

物語はふたつのモチーフで作られている。

モチーフA……優奈がチャットで知り合ったタローによって変わっていく。
モチーフB……タローとは誰か?なぜタローに会えないのか?

物語の前半ではモチーフAが描かれる。
タローは優奈に言う。
「籠から飛び出して、自由に大空を飛びまわることを楽しめる様になりなよ。時には傷つくかもしれないけど、それが本当に生きるということ」
「最初からうまくいくわけがない。少しずつ変わっていけばいいんだ」
こうしたタローの言葉により、優奈は少しずつ変わっていく。
野球をやっている少年が「ボールを拾って下さい」というのだが、最初は拾えない。しかし、心が開かれていくことで、ボールを拾って投げ返せる様になる。
ドラマとは変化なり。
また、その変化を描くのに効果的な描写だ。

中盤はモチーフB。
タローの言葉で外に踏み出せる勇気を得た優奈はタローに会いたいと思う。
しかし、タローは「会ったら幻滅する。僕達はバーチャルな関係だ」と言って会うことをしない。

クライマックスではふたたびモチーフAが描かれる。
優奈が過去に障害を加えた彼氏の浮気相手と偶然会ってしまうのだ。
過去が甦り、再び元の引きこもりの優奈に戻ってしまう。

そして解決。
タローの正体がわかる。
タローの正体がわかって、優奈は再び現実に立ち向かう勇気を得る。
モチーフAとモチーフBが一気に解決する瞬間だ。
タローは優奈に会って言う。
「人間にはふたつの顔がある。天使の顔と悪魔の顔と。そして両方がきみ自身だ。両方の君を認めて、両方を愛しなさい」

★研究ポイント
 A~B~A~A・Bの解決 という物語の構成。

★追記
 タローの正体をめぐって、コンビニの店員がそうではないかという仕掛けが施されている。これで少しはタローの正体が分かりづらくなった。

 優奈がいつも買うのは、のり弁当。他のものを買わない。
 この描写が、現実に積極的に関わろうとしない、現実に興味のない主人公を効果的に描いている。

 毎回、ラストで表記される作者Yoshiのメッセージ。
 いささか説教くさいが、こういうメッセージが共感を呼ぶのかな?
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N’s あおい 第8話

2006年03月01日 | 職業ドラマ
第8話は「離婚話」

妻は夫・高樹に言う。
「あなたのことを考えることもないし、あなたに期待することはありません」
離婚とはこういうことという名セリフ。

原因は仕事に忙しく家庭を顧みなかった夫への不信。
運動会、授業参観……娘の行事に高樹は来てくれなかった。
「必ず行く」と娘に約束したバイオリンの発表会……これも急患がでたため行けなかった。
高樹にとっては、すべて医者としての使命感からやったこと。
妻も理解してくれると思っていた。
しかし、妻は不信を募らせるばかり。
そして決定打は娘のぜんそくの発作。
一歩間違えれば死に至るぜんそくであったが、高樹は娘の治療に当たらず、他の急患を診た。
父親失格。

こんな状況下、高樹の娘は自分のバイオリンの発表会に来てほしいと思う。
母娘は再婚して北海道に行く。これが高樹に見せられる最後の発表会だからだ。
娘はこれまで母と父親が喧嘩するのが嫌で、演奏会に父親を呼べなかった。本当は来てほしかったのに。
その娘の気持ちを聞いたあおいは高樹に演奏会へ行かせるが。
途中、急患が出て。

展開が読めてしまう話だが、人物の気持ちがしっかり描かれているから、よほどひねくれていない人以外は作品の中に入り込める。

演奏会には間に合わなかったが、高樹は空港に駆けつける。
そこで娘はバイオリンを弾いて聞かせる。
お父さんに聞かせたいという娘の願いが遂にかなう。
高樹もひさしぶりに父と娘の関係に戻る。
父親として再婚相手に「よろしくお願いします」と頭を下げる。
そして、娘が小学生の時に書いた作文。
「約束を破るお父さんだけど、たくさんの病気の人を治そうとがんばっているお父さんが大好きです」

ここも分かりやすいが、高樹と気持ちがいっしょになっていればかなり泣ける。

今回は脇役話。
主人公のあおいは視聴者の視点で、高樹を見守り時に助ける。

★研究ポイント
 脇役話での主人公の役割~視聴者の視点。
 視聴者の気持ちになって、視聴者がしてほしいと思うことをしてあげる。
 視聴者がしてほしいこととは、無理やり高樹を娘の演奏会に行かせること。

 しかし、視聴者を迷わせることも。
 急患が出て高樹を呼び戻すか呼び戻さないかの判断。
 ここは「あなたならどちらを選びますか?」と視聴者に考えさせるポイント。
 こういうメリハリをつけるとドラマがどんどん面白くなる。

★追記
 あおいは必ず居酒屋「番長」で牛乳を飲む。
 あおいはお酒を飲めないという設定。
 グラスに注がれた牛乳を見せるだけで、あおいだと分かる。
 効果的な人物造型、小道具の使い方。

 あとは指でやる「ヴイ、ヴイ」。
 独自の仕草をさせることも効果的。

★検索ワード
 ドラマ作り
 主人公作り
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