平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

CSI マイアミ/科学捜査官

2006年03月23日 | テレビドラマ(海外)
CSIマイアミとCSI科学捜査官をもとに科学捜査がどう行われるかを書いてみる。

★CSIマイアミ
 2人の脱走犯。
 数千人いる受刑者の間でID番号を交換しているため脱走犯の特定ができない。
 脱走に使われたパトロールヘリが発見される。
 操縦者のこめかみに弾丸。
 銃口を横にして撃っていることから、犯人のひとりをターナーと特定。
 捜査方法=警察データ。
 車を奪おうとしたふたりは同じく運転のこめかみを撃つ。
 交通違反カメラに写っていた映像からもうひとりを幼女誘拐殺人犯のスチュアートを断定。
 捜査方法=街の映像の分析。
 ターナーとスチュアートはその後、別行動をとり、ターナーは復讐を考え、自分を刑務所に送った女子学生、判事を殺害していく。
 刑事は聞き込みでターナーの女の居場所を確認、乗り込むがすでにターナーは逃げている。
 壁にガンオイルで次の犯行を予告するメッセージ。
 刑事はガンオイルを分析。
 原料は石油、黒鉛が使われ、テフロンが使われていないことから古い製品と断定。
 捜査方法=遺留品の分析
 それが売られている雑貨屋は1軒しかなく、そこでターナーを見つける。
 いささか強引な気もするが、そこで逮捕。

 一方、幼児殺害犯のスチュアート。
 エマという子供がさらわれる。子供は声を出すとママを殺すぞと脅迫されて抵抗できない。
 エマの服を警察犬に嗅がせて追跡。
 捜査方法=警察犬
 スチュアートはエマの髪を切り、エマを男の子の服に着替えさせて逃走。
 足跡が残っており、逃走に使った車からオイルが漏れている。
 捜査方法=足跡、オイル。(少々、ご都合主義だが)
 たどり着いたのはある男の家。
 飲み物のカップなど、スチュアートがいた形跡。
 男の車がない。
 問いつめると、男はチャイルドポルノの常習者で、写真と引き換えに車を課したという。
 エマを撮った写真を分析する刑事。
 カーテン越しにビルの陰が映っている。
 ジオインフォシステムで分析する刑事。
 ジオインフォシステムとは、街のあらゆる景観をデータ化して照合するデータベース。
 ビルの陰が一致して、スチュアートの潜伏場所を特定。
 これでエマを発見。
 捜査方法=特別なデータベース。
 スチュアートは逃げるが、エマが「従兄のことを話した」と言ったのを受けて、従兄の少女のもとへ。
 スチュアートを逮捕する。

 こうして1時間の番組は終了する。
 何だか物足りない。
 すべてが段取り。刑事に都合よく出来ていて、大きな困難も刑事が知恵を使った形跡もないからだ。
 犯人のモチベーションは、「復讐」と「チャイルドポルノ」。
 これはまだドラマとして許容範囲。
 刑事のモチベーションは、ともかく犯人逮捕。刑事としての使命感。
 刑事はターナーとスチュアートに言う。
 おまえを殺してやると言うターナーに
「私が死んでも他の人間が引き受けてくれる。それに証拠は永遠にあなたが犯人だと叫び続ける」
 追跡されビルから落ちそうになるスチュアート。
「死なせてくれ」と言うスチュアートに。
「俺もそうしたいよ。でもお前は裁判を受け、死刑で死ぬんだ」
 刑事のせりふはいいのだが、それまでの過程がご都合主義だから響いて来ない。

 この作品から学ぶのは、ドラマの悪い例と科学捜査の仕方だ。

 もうひとつの作品「CSI科学捜査官」は、状況が面白い。

 高架橋の下で発見された死体。
 顔には疵。
 ねずみも口から出て来る。
 死体は荷物を運ぶホームレスの乳母車に載せられている。
 乳母車には新聞と雑誌。

 CSIはコンピュータで顔を復元する。
 人気モデルのアシュリー・デイビスと特定。
 捜査方法=顔の復元
 乳母車に残された新聞・雑誌、死体がアシュリーの看板の近くの高架橋に置かれていたことから、彼女の熱狂的なファンの犯行ではないかと刑事は判断する。

 アシュリーの家を捜査。
 捜査方法=家宅捜査
 家中に自分の写真が飾られている。
 台所のシンクには血を吐いた痕。
 床にはビニールに入った便。
 クローゼットにはケジラミのついたコート。
 たくさんの下剤と浣腸。
 コカインとポテトチップス。
 手帳にはBC250、EVO50Gと書かれた暗号の様なメモ。 

 一方、検死も行われる。
 捜査方法=検死。
 指の爪の間に皮膚と血痕。
 喉には傷。ただし、フェラチオされて出来たものではない。

 ケジラミのついたコートのラインからアシュリーの姉を発見。
 姉はホームレスをしていた。
 乳母車は姉の物。
 彼女もかつてモデルをしていたが、妹のアシュリーにその地位を奪われたことがわかり、妹に恨みを持っているのではないかと思われる。

 しかし、真相はこうだった。
 アシュリーはモデルとしての地位を保つために極端なダイエットをし、コカインを常習したため精神を病んでいた。
 爪の間の皮膚と血痕は自分の顔をかきむしった時にできたもの。
 喉の傷は、食べた物を吐こうとして、指を自分の喉に入れた時にできたもの。
 浣腸はもちろん痩せるために使ったもの。 
 手帳のBC250はBADカロリー250を摂取したという意味。
 EVO50Gは排便で50Gを出したという意味。
 彼女は手帳でカロリー計算をしていたのだ。
 ビニールに入った便は、その重さを量るためのしたこと。

 アシュリーの姉はそんな妹を心配して自分のもとに連れて行こうとした。
 アシュリーの載った新聞や雑誌を持って。
 そして途中で死んだのだ。

 この作品は状況と真相が面白い。
 事件解決の仕方は刑事の知恵というものが働かないから安易だが。
 アシュリーは死んでしまって彼女は自分の内面を語ることはできないが、病的にダイエットにこだわったアシュリーの姿は想像できる。

★研究ポイント
 捜査方法
 ドラマの作り方
コメント
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