平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

レ・ミゼラブル 第2話

2006年03月06日 | テレビドラマ(海外)
第2話は平和な時代。
ジャン・バルジャンとコゼットにも一番穏やかな時代だ。

コゼットの母・フォンティーヌが死にジャン・バルジャンは約束を果たすためにコゼットを迎えに行く。
一方、法の番人ジャベールはバルジャンを執拗に追う。
この辺からジャン・バルジャンは法や現在の政治体制について疑問を抱くようになる。法には慈悲がない。自分はコゼットをフォンティーヌに会わせたいだけだ。だが、ジャベールはそれを許さない。
神の掟を守るシスターでさえ、慈悲で神の掟を曲げるというのに。
おまけにジャベールはフォンティーヌにコゼットは来ないことを言ってショックで死なせた。許せない。

バルジャンはジャベールの手を逃れ、やっとコゼットのもとにたどり着く。
しかし、その境遇は悲惨だった。
夜中に怖がるコゼットを無理やり森の中に行かせる。水を汲むためだ。
おまけにフォンティーヌが病気のため金を送れなくなると、コゼットの歯を売ってお金に換えようとする。
コゼットは娘たちの人形で遊びたがっていたが、彼女が人形に触ると平手で打とうとする。
バルジャンは怒りを抑え(葛藤して)、コゼットが無くしたお金をテナルディ夫婦に与え、コゼットの欲しがっていた人形を夫婦から買い上げる。
コゼットを1500フランで買い上げ、ベッドに寝せる。
コゼットにとってふわふわのベッドで寝るのは初めてのことだった。

そして、バルジャンとコゼットは早朝街に出る。
テナルディたちの動きが不穏だからだ。
街に出たバルジャンは高級な服を買ってやり、理容師のスカルポンティに髪を整えさせる。コゼットにとっては夢の様な出来事だ。
そこへやって来るテナルディ。
「憲兵におまえのことをばらすぞ。だから金をくれ」
バルジャンも悪党たちの中で生きてきた男だ。小悪党のテナルディを御する術など心得ている。
「たとえ俺が捕まっても、俺には俺に変わっておまえを殺してくれる仲間がいる。俺たちにつきまとうな」
カッコイイ!
テナルディは諦めて自分の家に戻るが、ジャベールが来ていて尋問される。
1500フランを発見されて、子供(コゼット)を売ったことをうっかり言ってしまったテナルディはその罪で投獄される。
ここまではテナルディが懲らしめられて痛快だが、後にこれが禍になる。
テナルディはバルジャンのせいで投獄されたと逆恨みするのだ。
7年後、ふたりはパリで再会する。

バルジャンとコゼットはパリに出て来た。
しかし、ジャベールが追って来る。
下宿で質素に静かに暮らそうとするふたりだったが警官隊に囲まれてしまう。
そして逃げ込んだのが修道院だった。
権力不可侵の修道院。
中には自分が市長だった時代に世話をしたフォーシルバンがいて、弟として庭師の仕事をすることになる。
コゼットは修道院の寄宿舎で教育を受けることになる。
この修道院での生活はふたりにとって一番穏やかな時間であった。
バルジャンはコゼットを、コゼットはバルジャンを父と子として愛した。
時代も代わり、警察は罪人ではなく社会体制を揺るがす思想犯を取り締まる様になった。ジャベールは上司に言われる「40スー盗んだ罪人ではなく、思想犯を追え」

そして7年。
コゼットは美しい娘に成長する。
しかし、この成長が大きな葛藤になった。
聖体拝領。コゼットに修道女になるかならないかの選択が迫られたのである。
コゼットは言う。
「私は海を見ていない。手袋をはめてみたい。パパと舞踏会で踊ってみたい。パパのためにもっときれいになりたい」
コゼットは自分の幸せではなく神のために仕える修道女の暮らしを受け入れるには、現実を謳歌していなかったし若すぎたのだ。
そして、バルジャンにとっての幸せはきれいになったコゼットを見ること、コゼットの幸せだった。
バルジャンは危険を顧みず、修道院の外に出る。

お金は市長時代にやっていた工場で儲けた6万フランがある。
コゼットにきれいな服を着せてやり、慈善事業を始める。

しかし、現実はバルジャンに襲いかかった。
コゼットに一目惚れしたマリウスが現れる。コゼットも満更ではないようだ。
コゼットは彼のためにハンカチを落とす。
コゼットをいずれは誰かに奪われる苦しみを味わうバルジャン。

そしてテナルディ一家に出会う。
テナルディはバルジャンを憎み、娘のエポリーナはきれいになったコゼットを憎み、マリウスに恋する。

同時にジャベールの追求も始まって。

まさに波瀾万丈!
こんなドラマはなかなかない。

★研究ポイント
 この波瀾万丈の物語!
 この的確な人物描写!
 しかも時代の流れとリンクし、時代を描いている。
 今回は修道院(キリスト教)を描いたが、次回はマリウスに象徴される共和制が描かれる。
 修道院を出てその価値を否定したバルジャンはキリスト教を否定した。
 そして次に彼の問題意識は過酷な現体制へ批判へと向かう。
 同時にレ・ミゼラブル(貧しい人たち)と富裕な人たちも描バルジャンの目を通して描かれる。
 
★追記
 今回の名セリフをいくつか。
「ぜいたくに慣れるといけない。ぜいたくにならなければ人に妬まれることもない」「貧しく楽しく暮らすのが一番だ」(コゼットに会った時のバルジャンのセリフ)
「不幸を背負っている人の目は虚ろだ」(バルジャン)
「たとえあなたが悪魔でもあなたに受けた恩恵は忘れません」(フォーシルバン)
「ママが不幸だった分までコゼットには幸せになってほしい」「人生を滅茶苦茶にされ泥まみれになってもママはきれいだったよ」(バルジャン。コゼットにフォンティーヌのことを語って)
「嘘をつきました。でも真実より慈悲の方が大事です」(シスター)
「懲罰係を呼びなさい。修道院の秩序を守るためとはいえ嘘をつきました」(修道院長)
「法の名においておまえを逮捕する」(ジャベール)
「疲れさせ戸惑わせ、間違いを犯させるんだ」
「狩人が獲物を捕らえるのは獲物が目の前にいる時さ。大事なのは獲物の足跡を見逃さないことだ」(ジャベール。バルジャンを追って)

「バルジャンはすべてに逆らう。法に逆らい、秩序に逆らい、自分の利益にも逆らう」(ジャベール)
これは象徴的な言葉だ。
ジャベールの言葉だが自分の利益にも逆らうバルジャンが逆らう法や秩序とはなにか?という問いかけでもある。
コメント
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