「ギャルサー」第4話。今回はふたつのテーマ。
ひとつめのテーマは『仲間』
どこにも居場所を見出せなかった女の子たちが見出した聖地ギャルサーとはこういう所。
ユリカ(矢口真里)は言う。
「どこに住んでいようが、名前が何であろうが、いっしょにいる時はすべてっていう感じで、おまえたちといることが楽しかったよ」
サキ(戸田恵梨香)は言う。
「そりゃ、あたしたちはバカだよ。品がねぇよ。けどな、金のあるなしや体裁で、友だち選んだりしねぇんだよ」
しかし、体裁をつくろう人間たちにはこう見えるらしい。
「品のない頭の悪い人たちが、子供でも踊れるダンスをしている」
「汚い。落ちぶれて、こんなことしているの?」
バイオリンの演奏を好む彼らにしてみれば「色物」。
聖桜女子大学を卒業して人気キャスター・ユキエ(松本莉緒)は落ちぶれたかつての仲間を笑うために同窓会でさらし者にしようとする。
レミ(鈴木えみ)らギャルサーの仲間たちは、23歳のババアであってもかつての仲間を受け入れる。
さて、どちらが仲間としてつき合いたいか?
ふたつめのテーマは『嘘』
ジェロ~ニモ(古田新太)いわく
「人はよく見せようとして嘘をつく。つまらない欲や小さな満足のために嘘をつく。しかし、嘘は針よりも鋭く心に突き刺さり、深く心に入り込む」
父親(伊武雅刀)の不正事件のために落ちぶれたお嬢様・ユリカ(矢口真里)。
本名は西園寺麗華。
彼女はお嬢様仲間の間に居場所を見出せなくて、渋谷に流れてきた。
ここでは名前なんか関係ない。
そんなことを気にせず受け入れてくれる仲間がいる。
バカ言って踊っていられれば楽しい。
しかし彼女は嘘をついている。
ひとつは自分の年齢。
エンジェルハートでは18歳を過ぎれば卒業。
ユリカはそれがバレることを怖れている。
そして自分がギャルをやっていること。
彼女は昔のお嬢様仲間にバレることを怖れている。
この嘘がユリカを不自由にしている。
ジェロ~ニモが言う「心に突き刺さる」とは、嘘が自分の心の自由を奪うということだ。
シンノスケ(藤木直人)はそれはおかしいと言う。
仲間たちの前で正直に話すことをユリカに求める。
ユリカは言う。
「あたし、体裁しかみないやつの前で格好つけて今の仲間を裏切ろうとしてた。心のどこかでみんなのこと恥ずかしいと思っていた。でも、あたしにはおまえらの方が大切だ。誰に何と言われようが、仲間でいたいよ」
今の自分を正直に見せて、ユリカは自由になった。
自分自身に戻れて、楽になった。
そんな自分を受け入れるか受け入れないかは他人次第。
どうでもいいこと。
ただ自分自身でありたい。
そう思うユリカ。
人は生きていく上で、多かれ少なかれ嘘をつくもの。
でも、本当は自分自身でありたいと思っている。
同時に「嘘をつく人間の痛み」がわかり合えれば、本当の仲間になれる。
これをうまく表現するといいドラマになる。
この作品では、多かれ少なかれ嘘をついて生きているわれわれ「普通の人間」と「一点の曇りもないシンノスケ」をクロスさせて、新しいドラマを作っている。
★研究ポイント
テーマ:嘘をつくことは不自由になること。
自分自身であることの自由。
★キャラクター研究:サキ
サキはドラマの目撃者であり、焦点となる人物とシンノスケとの仲介者。
本来ならシンノスケと焦点となる人物(今回はユリカ)を直接関わらせればいいのだが、両者の間には大きな距離があり、なかなか相容れない。
ユリカはシンノスケを見れば逃げるし、シンノスケは「理解できない」と言う。
そのままでは平行線なので、サキを置いた。
心に一点の曇りがないシンノスケが痛みのある人間に意見するのは説得力がない。だからシンノスケは「なぜ?」と質問する役回りにして、サキを置いた。
サキは「焦点となる人物の気持ちを引き出す仲介者」であり時に「代弁者」。
重要な役回りのキャラだ。
★名セリフ
エンジェルハートをやめると言うユリカ。
サキは言う。
「楽しかったって過去形で言うのはやめろよ。だまされてりゃいいんだろ。ユリカがいねえとケンカも満足にできないからな」
同窓会でセンターで踊ることになった前日。
サキとユリカ、そしてシンノスケ。
ユリカ「そろそろ潮時。飛ぶよ(抜けるよ)。23にもなってパラパラやってるのもみっともないしな」
サキ「明日バックレれば、それで済む話じゃん」
シンノスケ「嘘は痛い。嘘はよくない」
※エンジェルハートで踊りたいという自分に完全に嘘をついているユリカ。
半分嘘をつくことで(グレーゾーンで)収めようとするサキ。
完全に正直であるべきだと考えるシンノスケ。
この「黒」「グレー」「白」の人物配置を的確に描いたせりふ。
シンノスケがユリカに言う。
「仲間を信じる気持ち、尊い。それを裏切る気持ち、もっと痛い」
「お前嘘ついた。逃げたのは年のせいじゃない。お前が本当にみっともないと思っているものは何だ。今の仲間に歳を隠したいのか、それとも昔の仲間にギャルを隠したいのか」
23歳のユリカをエンジェルハートに残す判断をするレミ(鈴木えみ)。
「私は麗華なんて女知らない。私が知ってるのはユリカ、16歳。パラパラ好きなバカな女。だって、ここでユリカをクビにしたら、エンジェルハートは年齢制限だけじゃなくて、身長制限まであるって思われちゃうじゃん?」
※レミの決めセリフも毎回あるのか?
★名シーン
キャバクラ、工事現場で働くユリカ。ボロアパートで暮らすエリカ。
※この描写があるから、ユリカが懸命に生きていることが伝わる。
逆にお嬢様との対比も浮き彫りになってくる。
破格のギャラで同窓会で踊れることになったエンジェルハートメンバーの喜び
次のシーンの同窓会のシーンでは、バイオリンを演奏している。
その場違い感にビビるエンジェルハートのメンバー。
※この明暗のギャップの作り方が見事。
★ギャグシーン
サキは西園寺を「にしぞのでら」と読む。
ユリカの父親は「パラパラ」を知ってるかと言われて「天気予報」とつぶやく。
★ディティル
サボテン「おみとおし」:嘘をつくとハリを飛ばす。
※こんなCMがあったような。
★追記
今回のもうひとつの切り口は「名前」。
エンジェルハートに入って「西園寺麗華」の名前を捨てられた麗華。
しかし、完全には捨て切れていない。
実は西園寺麗華はついてまわる。
23歳の麗華。
そして昔のお嬢様たちや父親に出会えば、麗華に戻らざるを得ない。
レミは「麗華なんて女、知らない」と言う。
事件を経て、ユリカは「西園寺麗華」の名を完全に捨てられたのだ。
ひとつめのテーマは『仲間』
どこにも居場所を見出せなかった女の子たちが見出した聖地ギャルサーとはこういう所。
ユリカ(矢口真里)は言う。
「どこに住んでいようが、名前が何であろうが、いっしょにいる時はすべてっていう感じで、おまえたちといることが楽しかったよ」
サキ(戸田恵梨香)は言う。
「そりゃ、あたしたちはバカだよ。品がねぇよ。けどな、金のあるなしや体裁で、友だち選んだりしねぇんだよ」
しかし、体裁をつくろう人間たちにはこう見えるらしい。
「品のない頭の悪い人たちが、子供でも踊れるダンスをしている」
「汚い。落ちぶれて、こんなことしているの?」
バイオリンの演奏を好む彼らにしてみれば「色物」。
聖桜女子大学を卒業して人気キャスター・ユキエ(松本莉緒)は落ちぶれたかつての仲間を笑うために同窓会でさらし者にしようとする。
レミ(鈴木えみ)らギャルサーの仲間たちは、23歳のババアであってもかつての仲間を受け入れる。
さて、どちらが仲間としてつき合いたいか?
ふたつめのテーマは『嘘』
ジェロ~ニモ(古田新太)いわく
「人はよく見せようとして嘘をつく。つまらない欲や小さな満足のために嘘をつく。しかし、嘘は針よりも鋭く心に突き刺さり、深く心に入り込む」
父親(伊武雅刀)の不正事件のために落ちぶれたお嬢様・ユリカ(矢口真里)。
本名は西園寺麗華。
彼女はお嬢様仲間の間に居場所を見出せなくて、渋谷に流れてきた。
ここでは名前なんか関係ない。
そんなことを気にせず受け入れてくれる仲間がいる。
バカ言って踊っていられれば楽しい。
しかし彼女は嘘をついている。
ひとつは自分の年齢。
エンジェルハートでは18歳を過ぎれば卒業。
ユリカはそれがバレることを怖れている。
そして自分がギャルをやっていること。
彼女は昔のお嬢様仲間にバレることを怖れている。
この嘘がユリカを不自由にしている。
ジェロ~ニモが言う「心に突き刺さる」とは、嘘が自分の心の自由を奪うということだ。
シンノスケ(藤木直人)はそれはおかしいと言う。
仲間たちの前で正直に話すことをユリカに求める。
ユリカは言う。
「あたし、体裁しかみないやつの前で格好つけて今の仲間を裏切ろうとしてた。心のどこかでみんなのこと恥ずかしいと思っていた。でも、あたしにはおまえらの方が大切だ。誰に何と言われようが、仲間でいたいよ」
今の自分を正直に見せて、ユリカは自由になった。
自分自身に戻れて、楽になった。
そんな自分を受け入れるか受け入れないかは他人次第。
どうでもいいこと。
ただ自分自身でありたい。
そう思うユリカ。
人は生きていく上で、多かれ少なかれ嘘をつくもの。
でも、本当は自分自身でありたいと思っている。
同時に「嘘をつく人間の痛み」がわかり合えれば、本当の仲間になれる。
これをうまく表現するといいドラマになる。
この作品では、多かれ少なかれ嘘をついて生きているわれわれ「普通の人間」と「一点の曇りもないシンノスケ」をクロスさせて、新しいドラマを作っている。
★研究ポイント
テーマ:嘘をつくことは不自由になること。
自分自身であることの自由。
★キャラクター研究:サキ
サキはドラマの目撃者であり、焦点となる人物とシンノスケとの仲介者。
本来ならシンノスケと焦点となる人物(今回はユリカ)を直接関わらせればいいのだが、両者の間には大きな距離があり、なかなか相容れない。
ユリカはシンノスケを見れば逃げるし、シンノスケは「理解できない」と言う。
そのままでは平行線なので、サキを置いた。
心に一点の曇りがないシンノスケが痛みのある人間に意見するのは説得力がない。だからシンノスケは「なぜ?」と質問する役回りにして、サキを置いた。
サキは「焦点となる人物の気持ちを引き出す仲介者」であり時に「代弁者」。
重要な役回りのキャラだ。
★名セリフ
エンジェルハートをやめると言うユリカ。
サキは言う。
「楽しかったって過去形で言うのはやめろよ。だまされてりゃいいんだろ。ユリカがいねえとケンカも満足にできないからな」
同窓会でセンターで踊ることになった前日。
サキとユリカ、そしてシンノスケ。
ユリカ「そろそろ潮時。飛ぶよ(抜けるよ)。23にもなってパラパラやってるのもみっともないしな」
サキ「明日バックレれば、それで済む話じゃん」
シンノスケ「嘘は痛い。嘘はよくない」
※エンジェルハートで踊りたいという自分に完全に嘘をついているユリカ。
半分嘘をつくことで(グレーゾーンで)収めようとするサキ。
完全に正直であるべきだと考えるシンノスケ。
この「黒」「グレー」「白」の人物配置を的確に描いたせりふ。
シンノスケがユリカに言う。
「仲間を信じる気持ち、尊い。それを裏切る気持ち、もっと痛い」
「お前嘘ついた。逃げたのは年のせいじゃない。お前が本当にみっともないと思っているものは何だ。今の仲間に歳を隠したいのか、それとも昔の仲間にギャルを隠したいのか」
23歳のユリカをエンジェルハートに残す判断をするレミ(鈴木えみ)。
「私は麗華なんて女知らない。私が知ってるのはユリカ、16歳。パラパラ好きなバカな女。だって、ここでユリカをクビにしたら、エンジェルハートは年齢制限だけじゃなくて、身長制限まであるって思われちゃうじゃん?」
※レミの決めセリフも毎回あるのか?
★名シーン
キャバクラ、工事現場で働くユリカ。ボロアパートで暮らすエリカ。
※この描写があるから、ユリカが懸命に生きていることが伝わる。
逆にお嬢様との対比も浮き彫りになってくる。
破格のギャラで同窓会で踊れることになったエンジェルハートメンバーの喜び
次のシーンの同窓会のシーンでは、バイオリンを演奏している。
その場違い感にビビるエンジェルハートのメンバー。
※この明暗のギャップの作り方が見事。
★ギャグシーン
サキは西園寺を「にしぞのでら」と読む。
ユリカの父親は「パラパラ」を知ってるかと言われて「天気予報」とつぶやく。
★ディティル
サボテン「おみとおし」:嘘をつくとハリを飛ばす。
※こんなCMがあったような。
★追記
今回のもうひとつの切り口は「名前」。
エンジェルハートに入って「西園寺麗華」の名前を捨てられた麗華。
しかし、完全には捨て切れていない。
実は西園寺麗華はついてまわる。
23歳の麗華。
そして昔のお嬢様たちや父親に出会えば、麗華に戻らざるを得ない。
レミは「麗華なんて女、知らない」と言う。
事件を経て、ユリカは「西園寺麗華」の名を完全に捨てられたのだ。