平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

功名が辻 天魔信長

2006年05月15日 | 大河ドラマ・時代劇
 第19回「天魔信長」は信長をめぐって様々な人間が議論をする。

 まずは一豊(上川隆也)と六平太(香川照之)。
 「信長の思い上がりを見ろ。お前も信長に嫌気がさしているであろう?」
 グサリと一豊の思っていることをえぐる六平太。
 一豊は、苦労して織田家に仕え1100石の武将になったこと、他家と比べないのが侍だと反論するが、六平太はさらに本質を言う。
 「命あっての成功。死ねば、千代やよね姫が悲しむ」
 六平太は状況を読み、「織田家は内から崩れ」「中国攻めは織田家のみではなし得ないこと」を指摘した。このまま行けば、一豊は命を落とすだけだと六平太は言うのだ。

 信長をめぐる議論の2番目は市(大地真央)と濃(和久井映見)。
 完成した安土城の天守をほめる市と「怨念の上に作られた城」と語る濃。
 信長の殺戮を弁護する市と信長のそれを責める濃。
 市は濃に言う。
 「怖れと賞賛は似たようなもの。信と不信は紙一重でございます」
 市の腹の中にも何かありそうだが、市は英雄とは何かを濃に語った。

 3番目の議論は、謀反を起こした荒木村重(ベンガル)と光秀(坂東三津五郎)の対話。
 信長の使者として来た光秀に村重はこう語る。
 「信長は人を人と思わぬ」「必要でなくなれば捨てる」
 そして光秀に尋ねる。
 「まこと信長を信じておるのか?」
 答えられない光秀。

 今回は信長とは何だったか?を語った1時間。
 天魔信長を前に葛藤する普通の人間たちの姿が描かれた。
 この結論は「本能寺の変」まで出せないため、ラストは死の淵にある半兵衛(筒井道隆)にこう言わせて締めた。
 「安土様に天下は取れません」

★研究ポイント
 テーマ:英雄とは何か?
     
 ただしこの場合、登場人物の言葉が飛び交うのみでドラマ要素は薄くなる。
 そのため半兵衛の死でドラマ要素の味付けをした。
 半兵衛の死をメインにして、信長論をサブにしたらどんな話になっていただろう?

★名セリフ
  1
 「私は千代殿から生きて楽しむことを学びました」
  千代は半兵衛から生き方を学んでいた。
  「おなごの身であっても信ずべき道を打ち立て、それを堅く守るべき」
  「深き山に隠れ、異国にのがれようとも、恋しき人と添い遂げよ」
  しかし、半兵衛も千代から学んでいたのだ。

  2
 「私が生涯愛したおなごは千代殿でござった」

  3
 「サルは余を敬う気持ちが薄いゆえ、三木城ごときに手間取っておるわ」
 「この城が出来上がれば、長治、弾正のような謀反を起こす者もいなくなるわ」
  ※信長の狂気

★名シーン
  1
 村重と秀吉の会話。
 「命に代えてもお守りいたす」と涙を流す秀吉に村重も涙。
 しかし、別れるとそれぞれに言う。
  秀吉「どうであった? わしの演技は?」
  村重「筑前の猿芝居には反吐が出るわ」
 ※狸の化かし合い。
 今回は村重の方が上だった。

  2
 「天下を取る夢をいっしょに楽しめましたものを」と言って死んでいく半兵衛。
 外に出てニヤリと笑う秀吉。
 ※秀吉の中には何らかの形で信長が転んだ後、自分が行動すべきか見えていたのでは?

★追記
 吉兵衛(武田鉄矢)と「功名」=「成功」について話をする一豊。
 「功名とは何じゃ?」と一豊に聞かれ、吉兵衛は答える。
 「功名とは、家族や家臣が幸せになるための働き」
 では家族や家臣のためには非道を行ってもいいのかと思う一豊。
 これがこのドラマのへそ。
 ラスト、大石さんはどう結論を出すか?
コメント (8)
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