平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

医龍 カルテ9

2006年06月09日 | 職業ドラマ
 今回の物語の流れはこう。

1.敵・霧島軍司(北村一輝)登場。
   野口教授(岸部一徳)と手を結んだ最強タッグ。
   チームドラゴンの解散を画策。
2.加藤晶(稲森いずみ)の自己犠牲。
   第2回バチスタ手術。チームドラゴンの素晴らしさを実感した晶。
   彼女は積み上げてきた論文データと引き換えにチームの存続を野口に頼む。
3.チームドラゴンの団結。
   晶の自己犠牲。
   それに対して彼女を引き詰める仲間たち。
   チームを作ったのは晶。彼女なしではチームドラゴンではないのだ。
   手を重ね合う仲間たち。
4.鬼頭笙子(夏木マリ)登場。
   朝田龍太郎(坂口憲二)の要請もあり、教授戦に晶を推薦する鬼頭。
   医局全員の投票制という改革案も提出。
5.3人目のバチスタ手術患者登場。
   「完全内臓逆位」「単一冠動脈」「生後9か月」という困難な患者。
   実は朝田に挫折感を味合わせるため、霧島が画策して連れてきた患者。 
   患者である赤ん坊は病院をたらい回しにされ、朝田の所にやってきたのだ。

 この物語の流れを少し客観的に見てみるとこうなる。

1.敵ボス登場
2.仲間の自己犠牲
3.団結する主人公たち(反撃1)
4.主人公たちを助ける第3者登場(反撃2)
5.新たなる敵

 題材は病院を扱っていても、物語の流れは「キン肉マン」や「ドラゴンボール」だ。
 古今東西の物語はこうした基本構造によって作られている。
 この骨組みにどんな肉付けをするかで、物語の個性が出て来る。
 今後は物語の基本構造についても考察していきたい。

★研究ポイント
 物語の作り方:物語の基本構造

★キャラクター研究:鬼頭笙子
 物語のジョーカー的役割。
 主人公たちの敵にもなれば味方にもなる。
 もっとも彼女の行動理由は一貫しているのだが。
 すなわち、朝田を自分のERに連れてくる。
 ERで朝田が携わった症例をもとに論文を書く。
 この論文をもとにERの教授としてトップを目指す。
 老教授たちに対する反骨意識も。
 彼女は言う。
「本当の改革がどういうものかジジイどもに見せてやっただけ」
 またプライドも。
「あたしは、ほしいものは自分でとる。おしつけがましいのは嫌いなの」

★名セリフ
 朝田、病院をたらい回しにされた母親に
「病院なんて信じなくていい。ただ本物の医者は信じて欲しい」

 論文のためにバチスタ手術をしなくてもいい患者にも手術をしてきた霧島。
 そんな霧島を教授にしていいのかと問う晶に野口教授は
「君は信念が強すぎる。組織のトップとしてはとても危険だ。信念で舵を取る船頭は船をしずめるんだよ」

 霧島が手術困難な赤ん坊を連れてきた理由
「朝田にとって一番の屈辱は目の前で患者が死ぬ事だ。自分が何もできずに。さすがの朝田もあの赤ん坊にはなすすべがないだろ」
 ※そんな理由で?と視聴者に思わせ、しかも霧島の幼児性を感じさせるせりふ。

 母親の訴え
「このままほっといたら隆は助かりません。たらいまわしにされて、このまま死んでいくんじゃあまりに可哀想で。時々ジーっと見つめるんです。『僕何の為に生まれてきたの』って。お願いします。ほんの1%でも確立があるんなら、手術してやってください」
 ※赤ん坊が母親を見つめている情景が浮かんでくる。情景セリフ。

★追記
 この作品の面白さの理由に「視聴者を裏切ってくれること」がある。
 鬼頭は朝田の要請をいったん断る。
 伊集院登(小池徹平)は霧島の軍門に下る。(果たして本当にそうなのか?)
 朝田は赤ん坊の手術はできないと言う。(その真意は?)
 
コメント (4)
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