第25回「吉兵衛の恋」
1
千代(仲間由紀恵)と市(大地真央)の間にある信頼と友情。
本来なら会えば笑って過ごせる間柄。
だが、取り巻く立場がふたりを引き裂く。
千代は秀吉(柄本明)家臣・一豊の妻。
市は信長の妹で反・秀吉の勝家(勝野洋)の妻。
市は自分で選んだ運命とはいえ、状況がふたりを引き裂く。
「ロミオとジュリエット」の物語パターンはこんな所にもいきている。
2
本題の吉兵衛の恋。
相手は20歳も下のたき(細川ふみえ)。
吉兵衛(武田鉄矢)の生活はすべて山内家のために捧げられており、吉兵衛はおなごにうつつを抜かしている場合ではないと考えている。
一方、たきはファーザーコンプレックス。
父親のような男性を求めている。
破れている袴を見て父親を思い出すたき。
世話をしたいという気持ちが彼女の気持ちを傾かせる。
家中の噂(一豊だけが知らない・笑)。
千代が動く。
「命令です」と言って無理やり袴を受け取らせる。
たきの縫った袴をはいて見せる吉兵衛。
これはたきを受け入れた証拠。
吉兵衛のような頑固者は誰かが強引に背中を押してやらなければならない。
そして縁談の話。
その一線だけは越えられない吉兵衛。
恋愛のきっかっけは様々。
相手に父親を見て、恋に落ちることもある。
袴の綻びという何でもないことがきっかけになる。
恋愛の発展も様々。
相手のために何かをすることが想いを深める。
自分から動けない者は誰かが背中を押してやらなければならない。
気持ちの表し方も様々。
このふたりは袴を仲介にした。
たきは新しい袴をさり気なく置き、吉兵衛はそれをはいて見せ、これも繕ってくれと頼んだ。
袴を小道具としてうまく使った見事な恋愛物語だ。
来週は悲劇が待っているようだが。
3
この物語は様々な夫婦像を見せることで、一豊夫婦を浮き彫りにしている。
今回の比較は勝家夫婦。
一豊(上川隆也)は政治的な判断をすべて千代に委ねている。
というかすべてを千代にうまく操縦されている。
一豊は秀吉の傍に住むこと。新しい家臣のこと。
勝家は市に政治的判断を指示されている。
三法師を信孝に委ねること。信長の葬儀のこと。家康と手を結ぶこと。
一豊と勝家。
同じように妻に操縦されていることには変わりがないが、本質は違っている。
千代が行っているのは、すべて一豊のため。山内家のため。
市が行っているのは、自分の秀吉嫌いのため、織田家のため。
市は勝家を利用しようとしている。
今回、吉兵衛にしたような恋の仲介を市は絶対にしない。
相反する夫婦を描くことで浮き彫りになる主人公夫婦。うまい手法だ。
4
今回は秀吉の描写も面白かった。
1.策士秀吉
長浜城に入った柴田勝豊を調略。これは長浜城を勝家に渡した時点から計算していたことらしい。雪で勝家が身動きがとれないことも計算に入れていた。勝豊が寝返ったことで諸侯へのアピールにもなっただろう。
時代は武力の時代から、政治の時代へ。
2.俗物秀吉
勝家に嫁いだ市のことを想像して「あんなこと、こんなこと」とわめく秀吉。こんな秀吉は大河ドラマ史上初であろう。市が「卑しい」と言ったのもうなずける。
素直に自分の本音を出してしまうところと演技。
この二面性が秀吉の魅力だ。
同時に妻一筋で演技のできない一豊との対照にもなっている。
★研究ポイント
物語の作り方
・過去の物語の骨組み(例・ロミオとジュリエット)を使う。
・主人公と対照的なキャラクターを置く。
恋愛ドラマの作り方
・父親のような男を求める女性。
★名セリフ
「毎日長浜城に住んでる姿を想像していたら願いがかなう気がする」
「暗い顔をしていては人に疑いをもたらします。陽気に陽気に」
※前向きに生きること。これが大事ですね。山内家は本当に明るい。
1
千代(仲間由紀恵)と市(大地真央)の間にある信頼と友情。
本来なら会えば笑って過ごせる間柄。
だが、取り巻く立場がふたりを引き裂く。
千代は秀吉(柄本明)家臣・一豊の妻。
市は信長の妹で反・秀吉の勝家(勝野洋)の妻。
市は自分で選んだ運命とはいえ、状況がふたりを引き裂く。
「ロミオとジュリエット」の物語パターンはこんな所にもいきている。
2
本題の吉兵衛の恋。
相手は20歳も下のたき(細川ふみえ)。
吉兵衛(武田鉄矢)の生活はすべて山内家のために捧げられており、吉兵衛はおなごにうつつを抜かしている場合ではないと考えている。
一方、たきはファーザーコンプレックス。
父親のような男性を求めている。
破れている袴を見て父親を思い出すたき。
世話をしたいという気持ちが彼女の気持ちを傾かせる。
家中の噂(一豊だけが知らない・笑)。
千代が動く。
「命令です」と言って無理やり袴を受け取らせる。
たきの縫った袴をはいて見せる吉兵衛。
これはたきを受け入れた証拠。
吉兵衛のような頑固者は誰かが強引に背中を押してやらなければならない。
そして縁談の話。
その一線だけは越えられない吉兵衛。
恋愛のきっかっけは様々。
相手に父親を見て、恋に落ちることもある。
袴の綻びという何でもないことがきっかけになる。
恋愛の発展も様々。
相手のために何かをすることが想いを深める。
自分から動けない者は誰かが背中を押してやらなければならない。
気持ちの表し方も様々。
このふたりは袴を仲介にした。
たきは新しい袴をさり気なく置き、吉兵衛はそれをはいて見せ、これも繕ってくれと頼んだ。
袴を小道具としてうまく使った見事な恋愛物語だ。
来週は悲劇が待っているようだが。
3
この物語は様々な夫婦像を見せることで、一豊夫婦を浮き彫りにしている。
今回の比較は勝家夫婦。
一豊(上川隆也)は政治的な判断をすべて千代に委ねている。
というかすべてを千代にうまく操縦されている。
一豊は秀吉の傍に住むこと。新しい家臣のこと。
勝家は市に政治的判断を指示されている。
三法師を信孝に委ねること。信長の葬儀のこと。家康と手を結ぶこと。
一豊と勝家。
同じように妻に操縦されていることには変わりがないが、本質は違っている。
千代が行っているのは、すべて一豊のため。山内家のため。
市が行っているのは、自分の秀吉嫌いのため、織田家のため。
市は勝家を利用しようとしている。
今回、吉兵衛にしたような恋の仲介を市は絶対にしない。
相反する夫婦を描くことで浮き彫りになる主人公夫婦。うまい手法だ。
4
今回は秀吉の描写も面白かった。
1.策士秀吉
長浜城に入った柴田勝豊を調略。これは長浜城を勝家に渡した時点から計算していたことらしい。雪で勝家が身動きがとれないことも計算に入れていた。勝豊が寝返ったことで諸侯へのアピールにもなっただろう。
時代は武力の時代から、政治の時代へ。
2.俗物秀吉
勝家に嫁いだ市のことを想像して「あんなこと、こんなこと」とわめく秀吉。こんな秀吉は大河ドラマ史上初であろう。市が「卑しい」と言ったのもうなずける。
素直に自分の本音を出してしまうところと演技。
この二面性が秀吉の魅力だ。
同時に妻一筋で演技のできない一豊との対照にもなっている。
★研究ポイント
物語の作り方
・過去の物語の骨組み(例・ロミオとジュリエット)を使う。
・主人公と対照的なキャラクターを置く。
恋愛ドラマの作り方
・父親のような男を求める女性。
★名セリフ
「毎日長浜城に住んでる姿を想像していたら願いがかなう気がする」
「暗い顔をしていては人に疑いをもたらします。陽気に陽気に」
※前向きに生きること。これが大事ですね。山内家は本当に明るい。