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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

医龍 カルテ10

2006年06月16日 | 職業ドラマ
 今回のドラマの構造はB→A→B。
 Bはマイナス。Aはプラス。

 ドラマはいきなりマイナスから入る。
 3人目のバチスタ患者・隆くんの手術断念。
 伊集院(小池徹平)の寝返り。
 隆くんの転院が決まり、朝田龍太郎(坂口憲二)と加藤晶(稲森いずみ)は両親に謝る。
 「本物の医者を信じてください」と言った朝田に隆の母は飲み物をかける。
 下手な希望を持たされた分、なお腹が立つ。
 まして隆の両親は毎日見舞いに来る強い肉親。
 厳しい現実を見るのが嫌で見舞いに行くのを避けるのが通常。
 野口教授(岸部一徳)と霧島軍司(北村一輝)は教授会に向けて何か秘策がある様子。 
 視聴者はこの状況にモヤモヤしている。

 しかし、次の瞬間スッキリに変わる。(土曜7時のクイズ番組の表現を流用)
 11時の教授会。
 朝田たちはこのタイミングを狙っていた。(映像ではやたらに時計を挿入)
 教授不在の容態急変。
 隆は急変したわけではないのだが、朝田たちは急変したとして独断で手術を行うのだ。
 朝田と藤吉圭介(佐々木蔵之介)は隆くんの両親に言う。
藤吉「容態が急変しました。容態は安定してますが、急変したんです!医局内のオペには教授の許可が絶対に必要。しかし今は教授会の真っ最中やむを得ない」
龍太郎「これより緊急オペを執り行います。我々はこの日の為に準備をしてきました。この子の命は俺達が守ります」
 荒瀬門次(阿部サダヲ)は臨床工学士の山田の肩を叩いて手術室へ。
 晶は緊急手術の内線電話を受け取る。
 看護師長も手術に異論をはさまない。里原ミキ(水川あさみ)に黙ってうなずく。
 そして伊集院。
「そろそろコンタクトつけなきゃ。サージカルルーペ付けなきゃいけないので」
 霧島に教授会の行われる11時を待っていたことを告げ、そのための手術の練習をしていたことを告げる。
 そして霧島が一番言われたくないことを言う。
「僕なんか先生の足もとにも及ばない。これから先も。だけど一つだけ先生に負けない物がある。僕には仲間がいる。僕には心から頼れる仲間がいる。それだけは先生より優れてる。それだけは胸を張って言えます」
 緊急オペのことが教授会の野口の所へ告げられる。
 鬼頭笙子(夏木マリ)は「やるじゃない」とニヤリ。
 そして左右逆の手術への対応=利き腕でない左手での執刀。
 マイナスからプラスへ。ここで視聴者はスッキリする。

 しかし、ここで再びマイナスへ。 
 隆君の抱えている問題は他にもあった。
 動脈瘤。
 霧島はこのことを知っていたようだ。
 本当に患者のことなどは考えていない医者だ。
 朝田は動脈瘤を発見して、手術を進めることができない。
 晶は言う。
「勝ち目のない手術はできません」

 ドラマの構造……B→A→Bを使った見事なドラマ作りだ。
 おまけに今回は視聴者も騙している。

★研究ポイント
 ドラマの構造……B→A→B。

★キャラクター研究:鬼頭笙子
 本音と建て前を使い分ける大人。
 隆のバチスタ手術断念について適切な判断とコメントする鬼頭。
 これは大学病院の教授としての建前コメント。
 しかし、個人的には朝田が手術をすることを望んでいる。
 それが「やるじゃない」というコメントに。
 黒と白がはっきりしている中での灰色のキャラ。
 実に魅力的だ。

★名セリフ
 藤吉が朝田に
「この子も半年ぐらいしたら喋り出すんだろうな。パパ~とか。ご両親にも聞かせてやりたいな」
※手術を断念した悔しさを表現したせりふだが、後に藤吉たちが取った行動を考えると別の意味合いも。

★追記
 この作品の映像表現は凝っている。

 まず場所をうまく使っている。
・エレベーター
 野口・霧島の乗るエレベーターに乗る伊集院と乗らない晶。
 閉まるドア越しに見える表情。
・屋上
 密会の場所。鬼頭も時々来る。
・ドア
 霧島の部屋に入る伊集院。閉まるドア。
 その前を朝田たちが通り過ぎる。ニアミス。
 数秒遅かったら、伊集院が部屋に入ったことがバレていた。

 またテロップの使い方も効果的だ。
 手術の準備シーンで各担当にテロップが表示。
 「第2助手 伊集院登」「第1助手 加藤晶」「執刀医 朝田龍太郎」
 
コメント
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