平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ポセイドン

2006年10月04日 | 洋画
 脱出劇である。
 ではどんな脱出が描かれたか?

★エレベーター通路
 上に移動しなければならない主人公のディランたちはエレベーター通路に机を渡して上の階に移動する。
 落ちれば奈落。上からはエレベーターが落ちてくる可能性が。
★倒れた鉄柱
 A地点からB地点に移動しなければならない主人公たち。
 幸い鉄柱が倒れて橋になっている。下は海水。
 しかし、上がった炎で橋はなくなり、渡れないメンバーが残される。
 ディランは消防ホースを持って海中に飛び込み、海中をくぐって対岸に渡る。
 そしてホースで新しい橋を造った。
★迫り来る水
 今までは横の移動だったが、今度は縦の移動になる。
 換気通路を使って垂直移動していくディランたち。
 狭い通路の恐怖。
 上まで行くが、鋲で留められた鉄の柵がありそれ以上進めない。
 下からは水が迫ってくる。
★水中移動
 A地点からB地点に移動しなければならないが、方法は水中を泳いでいかなくてはならない。
 泳ぐ力と息を止める力が試される。
★脱出口なし
 船のスクリューから出ようとしていた主人公たちだが、船尾は既に浸水している。
 脱出口なし。
 主人公たちは諦めざるを得ないのだが、奇跡が起きる。
★スクリュー
 船尾まで行くことが出来たが、スクリューが回転している。
 ここを通るにはエンジンを止めるしかないが、制御室までの道は水中でしかも距離がある。例えたどり着けたとしても戻ることはできない片道切符。誰かが犠牲にならなくてはならない。
★スクリュー爆破
 水素ボンベを使ってスクリュー爆破を行おうとするが。

 以上が主人公たちが行った脱出劇である。
 ここはアイデア勝負。
 縦や横など、様々な工夫が施されていて面白い。

 さてこうしたアクションものの場合、そこで描かれる人間模様が重要な要素だが、この作品のスタッフはそれにあまり関心がない様だ。
 ロバート・ラムジーとジェニファーの父娘、そしてジェニファーとその婚約者クリスチャンの物語が胸を打つくらいである。
 エンジンを止めに行かなくてはならない片道切符。
 クリスチャンはその覚悟をしてジェニファに別れを告げるが、ふり返ると父親のロバートの姿がない。娘の幸せを願い、自分がエンジンを止めに行ったのだ。
 その他、印象に残ったのは人の死。
 他人の犠牲になって死んでいく死は、エンタテインメントの世界ではヒーローの死だが、こんな死もある。
 鉄柱を渡る時、ラッキー・ラリーというギャンブラーは女性を先に行かせず、自分が行き炎上する炎に巻き込まれて死んでしまう。
 エレナは密航者で弟に会うのを楽しみにしていたが、水中移動の際に鉄線が絡まって動けなくなってしまう。そして血管を切ってしまい、死んでしまう。
 船長のブラッドフォードは船には浮力があり、ボールルームにいることが安全だと主張するが結局ボールルームに浸水して死んでしまう。助かったのは、結局船長の言うことに従わなかった主人公のディランたちだが、そのディランが「ここはまずい」と思った理由が、勘・直感だというのが皮肉だ。
 この様にこの作品「ポセイドン」はヒロイックでない、皮肉で不条理な死を描いたことに面白さがある。

★追記
 ネルソン役のリチャード・ドレイファス。
「未知との遭遇」や「グッバイガール」で好きな役者さんでしたが、随分老けてしまわれた。
 このネルソンというキャラもよくわからないキャラ。
 別の件で自殺まで考えた彼が苦難を乗り越えて生き延びてしまう。
 老人なのにあの泳力・体力は?といろいろ突っ込みたくなってしまう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする