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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

交渉人 真下正義 その2

2006年10月15日 | 邦画
 再びテレビで「交渉人 真下正義」を見る。
 これはデジタル対アナログの戦いだ。

 クモを操る犯人はデジタル。
 彼の乗る宅配便の車は電磁波を発している。テレビの画像が乱れ、カラスが反応する。
 犯行動機も不明。
 動機はゲームで、憎しみ、怒りなど人間的な動機は最後まで描かれなかった。

 そして真下もデジタル。
 データベースのデジタル情報を駆使して犯人捜査を行おうとする。
 おたくの自己顕示欲もある。彼は警視庁初の交渉人としてインタビューを受け、犯人の気にさわった。
 真下と犯人は「デジタルなゲーム」を行う。

 一方、さらに真下。
 真下はアナログな人間でもある。
 交渉自体がアナログな行為。
 人間はどんなリアクションをしてくるかわからない。
 デジタルなゲームで彼女はゲットできても、現実の彼女は人間でもっと複雑だ。
 今回、一番残ったせりふは木島への真下が言った言葉だった。
「木島さん、あなたみたいな人好きですよ」
 すぐ感情をぶつけてくる木島はデジタルな人間にとっては一番扱いにくい厄介な人間。
 そんな木島を好きだと言える。
 地下鉄マン片岡も厄介な人間だが、ちゃんと対峙できる。
 真下は人の中にあって、たくましい。
 上司・室井の信頼。そんな人間的想いが真下に力を与える。

 作品中、アナログは「勘」という形で表現される。
 3回爆発が起きると勘で言う木島。
 「深夜プラス1」で、地下鉄14号線であることを「直感」で指摘する熊沢。
 真下もクモに爆弾が積まれていないと判断した理由を「勘」だと、ラスト木島に言う。

 真下は「デジタル」と「アナログ」を両方備えている。
 木島や熊沢たちもアナログな戦力だ。
 そんな真下がデジタルだけの犯人に勝てないわけがない。

 「デジタル」「アナログ」「おたく」
 この作品はこうしたテーマをうまく料理した秀作だ。

★追記
 片岡ら地下鉄マンも児童運行装置のプログラムが使えなくなった時、手動というアナログで戦った。

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 交渉人真下正義
 容疑者室井慎次

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スラムダンク 2 花道再入部

2006年10月15日 | コミック・アニメ・特撮
 「スラムダンク」を読んでいく。
 第2回は花道が再入部を果たすまで。(第1巻~第2巻)

 バスケ部に入部することになった花道。
 さっそく新人の挨拶。
 流川には敵意いっぱい。「大人になれ」と自分を抑えるが、流川の趣味が寝ること、と聞いてバカにする。
 赤木をダンクで倒したと言って得意になり、掃除をした者がいると赤木に言われて有頂天になる。
 感情がわかりやすく単純。
 これが花道の魅力、主人公の条件。
 バスケ部内に花道の味方を作らなくてはならないと作者は考えたのか、マネージャーの彩子をその役割に据えた。
 やって来た彩子は「あ、桜木花道」と言って、花道が有名人であることを示した。
 さて、自分が一番だという思い込み、流川への対抗意識から花道は練習に情熱を燃やすが与えられたのは基礎練習。
 当然イライラ。春子さんが見ているのに醜態。
 それでも持ち前の身体能力からボールをぐるぐる回す技をやってのけて、アピール。これで練習に参加できると思うが、赤木は基礎が大事とあくまで基礎練習をさせる。
 これにキレる花道。「こんな部やめてやる!」と出ていく。
 そして鬱屈した生活を送る花道。
 春子の視線や赤木の「根性なし」という言葉がちらつく。
 そこでファミレスで不良たちから因縁。
 花道は鬱憤晴らしをするように不良たちを倒し、「ちょっと用事を思い出した。行っていいか」と洋平に言う。
 洋平は「準備運動にもならなかったな」と花道の気持ちを見透かした様に送り出す。
 この花道と洋平の関係がかっこいい。

 こうしてこのパートでは花道を描いた。
 春子のために入部した花道だったが、バスケにも執着を抱きだした様だ。
 物語には主人公が悩み停滞する時期が必要という見本のパートでもある。

 また、このパートで面白いのは春子だ。
 春子の気持ちは流川に向いているが(春子の視線)、同時に花道にも向いている。赤木が花道を見放す発言をすると、春子は言う。
「違う。桜木くんは違う。あたし捜してくる」
 花道を信じている。
 そして自力で花道が戻ってくると「よかった」と笑顔。
 つかず離れず。
 ひょっとしたら春子の気持ちは花道に傾くかもしれない。
 この辺は少年漫画のヒロインの条件。
 春子はいいポジショニングをしている。

 その他で面白いのは描写の仕方。
1.視点の移動
 花道がバスケ部に入部して1週間。
 洋平たちが様子を見に来る。 
 体育館では流川が活躍。女の子のファンもいる。
 流川の中学時代の凄さに触れて、視線は応援している春子へ。 
 「うーん、あれで春子ちゃんはミーハーだからな」とぽつりと感想。
 「てことは…」と言ってイライラしている花道に視線を振る。
 第三者を使った実に見事な描写のテクニックだ。
2.キャラクター視線
 視線という点では、こんなテクニックもある。
 春子視線。
 春子の視界には流川は映っているが花道は映っていない。
 同様の描写が花道にもあった。
 花道の妄想。
 天才・桜木花道といっしょに帰る春子。
 赤木たちがお見送りをしているが、その姿はゴリラやメガネ猿やキツネ。
 花道の意識には彼らはその様にしか見えていないのだ。
 これは「マイ★ボス」で真喜男が桜小路のことを「桜ナントカ」と呼んでいたのと同じだ。
 主観は実にわがまま。
 それをこの様に表現することで面白いシーンになった。

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