1週間遅れの「功名が辻 秀吉死す」。
ドラマの面白さといえば、1時間にわたって様々な感情が渦巻いていること。
今回はそんなお手本の様な作品だった。
まずは山内家。
千代(仲間由紀恵)は山内家の世継ぎのため、側室を持つように言う。
掛川城に赴いた時、自分は伏見に帰り、利発な侍女を一豊(上川隆也)のもとにやる。
家のためとはいえ、それを画策した千代の身を切られるような「つらさ」。
一方、一豊。
千代の想いに「怒り」、やって来た侍女には昔話をして一夜を過ごす。
そして、「世継ぎは康豊の子、国松。異を唱える者はわが家臣にあらず、わが妻にあらず」と宣言する。
この一豊の「優しさ」「愛情」。
千代はそんな一豊に複雑だが、「嬉しい」。
次に豊臣家。
ここはドロドロだ。
淀(永作博美)は「憎」。
老いた秀吉(柄本明)の息がくさいといい、死の床では「茶々が産んだ子は豊臣の世継ぎではなく、織田家の世継ぎである。はよ逝きなされ」と囁く。
寧々(浅野ゆう子)は、関白・秀次を切腹させた時から、自分の愛した秀吉は死んでしまったと一時は秀吉への「憎」「諦め」になるが、再び「愛」を取り戻し、錯乱する秀吉に「寧々は離れませぬ」と抱きしめて語る。
こんな淀と寧々だから、すれ違っただけでドラマになる。
あるいは家康(西田敏行)。
彼は秀吉が死んだことに小躍りする。いくさの準備を始める。
不破市之丞の妻・きぬ(多岐川裕美)は、千代に「千代は私の子。つらいことがあったら、いつでも訪ねてきなさい」と温かい言葉を贈る。
愛憎、やさしさ、権力欲など、今回は実に「感情豊かな話」であった。
そして「感情豊かなドラマ」こそ、いいドラマだと思う。
さて、秀吉の死。
天下人となる様な英雄はやはり激しい業を背負っているのであろう。
愛憎含めた感情の幅も大きい。
秀頼に対する滑稽なほどの盲目的な愛。
対極は淀の怖ろしい憎だが、これは秀吉の行いがもたらしたものとも言える。
そして背負っている業が深いから、晩年は狂気にとらわれる。
それは信長しかり。
一方、一豊はその点、やはり天下人の器ではない。
簡単に世継ぎを弟の子に与え、満足している。
とらわれない。
今回一豊は千代に対して怒ったが、その怒りの感情も一時的なもの。すぐに笑い合えた。
どちらが幸せであるか?
これが、今回のテーマであろう。
秀吉の死はすぐには公にされなかった。
雨の中、わずかな供を連れて城を出ていく秀吉の遺体。
「にぎやかなことを好んだ男にしては寂しい野辺送りであった」というナレーション、辞世の句を「うちの人にしては、よい出来じゃ」と評する寧々の言葉が、諸行無常を感じさせる。
最後に大石静さんの脚本は、対照的なふたつの事柄を並べて描くことが多い。
淀と寧々。
山内家と豊臣家。
並べて描くことで、テーマが浮かび上がってくる。
また、サービス、サプライズも。
三谷幸喜さんの義昭にも驚いたが、今まで登場しなかった前田利家は唐沢寿明さん。
実に楽しい遊びだ。
ドラマの面白さといえば、1時間にわたって様々な感情が渦巻いていること。
今回はそんなお手本の様な作品だった。
まずは山内家。
千代(仲間由紀恵)は山内家の世継ぎのため、側室を持つように言う。
掛川城に赴いた時、自分は伏見に帰り、利発な侍女を一豊(上川隆也)のもとにやる。
家のためとはいえ、それを画策した千代の身を切られるような「つらさ」。
一方、一豊。
千代の想いに「怒り」、やって来た侍女には昔話をして一夜を過ごす。
そして、「世継ぎは康豊の子、国松。異を唱える者はわが家臣にあらず、わが妻にあらず」と宣言する。
この一豊の「優しさ」「愛情」。
千代はそんな一豊に複雑だが、「嬉しい」。
次に豊臣家。
ここはドロドロだ。
淀(永作博美)は「憎」。
老いた秀吉(柄本明)の息がくさいといい、死の床では「茶々が産んだ子は豊臣の世継ぎではなく、織田家の世継ぎである。はよ逝きなされ」と囁く。
寧々(浅野ゆう子)は、関白・秀次を切腹させた時から、自分の愛した秀吉は死んでしまったと一時は秀吉への「憎」「諦め」になるが、再び「愛」を取り戻し、錯乱する秀吉に「寧々は離れませぬ」と抱きしめて語る。
こんな淀と寧々だから、すれ違っただけでドラマになる。
あるいは家康(西田敏行)。
彼は秀吉が死んだことに小躍りする。いくさの準備を始める。
不破市之丞の妻・きぬ(多岐川裕美)は、千代に「千代は私の子。つらいことがあったら、いつでも訪ねてきなさい」と温かい言葉を贈る。
愛憎、やさしさ、権力欲など、今回は実に「感情豊かな話」であった。
そして「感情豊かなドラマ」こそ、いいドラマだと思う。
さて、秀吉の死。
天下人となる様な英雄はやはり激しい業を背負っているのであろう。
愛憎含めた感情の幅も大きい。
秀頼に対する滑稽なほどの盲目的な愛。
対極は淀の怖ろしい憎だが、これは秀吉の行いがもたらしたものとも言える。
そして背負っている業が深いから、晩年は狂気にとらわれる。
それは信長しかり。
一方、一豊はその点、やはり天下人の器ではない。
簡単に世継ぎを弟の子に与え、満足している。
とらわれない。
今回一豊は千代に対して怒ったが、その怒りの感情も一時的なもの。すぐに笑い合えた。
どちらが幸せであるか?
これが、今回のテーマであろう。
秀吉の死はすぐには公にされなかった。
雨の中、わずかな供を連れて城を出ていく秀吉の遺体。
「にぎやかなことを好んだ男にしては寂しい野辺送りであった」というナレーション、辞世の句を「うちの人にしては、よい出来じゃ」と評する寧々の言葉が、諸行無常を感じさせる。
最後に大石静さんの脚本は、対照的なふたつの事柄を並べて描くことが多い。
淀と寧々。
山内家と豊臣家。
並べて描くことで、テーマが浮かび上がってくる。
また、サービス、サプライズも。
三谷幸喜さんの義昭にも驚いたが、今まで登場しなかった前田利家は唐沢寿明さん。
実に楽しい遊びだ。