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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ダ・ヴィンチ・コード

2006年10月01日 | 洋画
 神の力の源・聖杯。
 その聖杯を求めて永年人は争ってきた。
 では聖杯とは何か?
 聖杯を別読みすると……。
 ダ・ヴィンチの絵画に隠された秘密。
 ・「最後の晩餐」に描かれていない聖杯。
 ・イエスの左側にいる人物。その人物をイエスの右側に持ってくると……。
 ・男性の表象△と女性の表象▽。
 シオン修道会のメンバーだったというダ・ヴィンチは修道会が守り続けてきた聖杯の秘密を絵の中に表した。
 マグダラのマリア。

 歴史ミステリーであるこの作品。
 ある意味、聖杯の解釈に関する学術論文とも言える。
 しかしそうした学術論文をエンタテインメントにするのが作家の力だ。
 作家はエンタテインメントにするためにこんな要素を加えた。

 ★聖杯の在処を追う保守的宗教組織オプス・デイ。(敵)
 ★オプス・デイの実行部隊シラス。(強烈な敵キャラクター)
  彼は不気味だ。
  キリストの苦痛を共有するために大腿に鋭角な帯を巻き、人を殺せば自分を鞭打つ。
 ★聖杯の在処を示すキイストーン。(アイテム)
  中に聖杯の場所を記したパピルスが入っている。
 ★キイストーンを守る守護者(シモン修道会)がシラスに殺されていく。(事件)
 ★守護者のひとりはルーブル美術館の館長。ヒロイン、ソフィの祖父。(主人公との関わり)
 ★巻き込まれる主人公ラングストン。(巻き込まれ)
  彼はオプス・デイや聖杯の秘密を守ろうとするシモン修道会とは全く関係ないキャラだ。彼は学者としての興味と殺人の濡れ衣を晴らすために行動する。
  彼にあるのは暗号解読のプロという特殊能力。
  彼には常人に見えないものを読み取る力がある。
 ★謎の銀行の鍵。(謎)
  しかも誤ったコード番号を入力すれば二度とこの鍵は使えなくなる。(サスペンス)
 ★キイストーンの争奪戦。(サスペンス・アクション)
 ★刑事ファーシュの謎の動き。そして宗教学者リー。(スパイ)
 ★キイストーンの開け方。(謎)
  これも誤った番号を入力すれば中のパピルスは失われてしまう。(サスペンス)
 ★聖杯の在処。(謎の解明・カタルシス)
 ★聖杯の継承者。(クライマックスのサプライズ)
 ★ルーブル美術館の秘密。(最後のサプライズ!)

 単なる学術論文がこれらの要素を加えることで、1級のエンタテインメントになる見事な例だ。
 そして聖杯の秘密を解き明かそうとする敵同士の目的が作品のテーマを描き出す。
 すなわち信仰の問題。
 キリストを神とするか人間とするか?
 キリストが人間となった場合、現在の教会の権威は失墜する。
 今までの教えが間違っていたことになるからだ。
 また、長い間キリスト教文化圏の中にあった価値観・道徳が失われる。
 例えば、セックスに関する考え方など。

 この作品の対立要素は「教会の権威を守ろうとする者」と「教会を打破してもっと自由になろうとする者」の対立であった。
 これを中立の立場であるラングストンがどう考えるかが作品のテーマとなる。
 面白い作りだ。
 エンタテインメントの作り方として、大変勉強になる。

【エンタテインメントの作り方】
 1.主人公は真実を知るために動く。
  この作品の場合は「聖杯の真実」。
 2.この主人公に様々なエンタテインメント要素が降りかかる。
  襲ってくる敵、クリアしなければならない謎、スパイ・裏切り、かけられる殺人容疑、サプライズなど。
 3.テーマ
  この作品の場合は、対立するふたつの組織の考え方を中立の主人公がどう考えるかで描かれる。

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