「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」
「名探偵コナン 工藤新一への挑戦状」に見る推理小説・探偵小説の作り方。
以下、ネタバレです。
「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」で面白いのは、富士山とツインタワービル。
ツインタワービルから見える富士山。
非常に美しいがこれが殺人事件の動機になっている。
富士山を愛して、富士山を描くために小高い丘に家を建てた老画家。
しかし、ビルが建ったために家から見える景観が失われてしまった。
画家の家に行くコナンたち。
しかし、富士山が見えるはずの窓にはカーテンがかけられて見えない。(伏線)
カーテンを開ければ、富士山をまっぷたつにするツインタワーが見えるからだ。
それを見れば、老画家の動機がわかってしまう。
動機のミスリードもある。
老画家は自分の絵を買い占められ、投機の対象にされたため恨みに思ったという別の動機を設定させたことで、富士山とツインタワービルの本当の動機がより一層鮮明になった。
そして何より面白いのは、殺人現場に残された犯人のメッセージだ。
・割れた盃
これはまっぷたつにされた富士山を意味している。
盃を逆さにおけば、富士山というわけだ。
・富士山の絵をバックに首を吊られたおんな社長。
これもまっぷたつにされた富士山を意味している。
首を吊られたおんな社長はツインタワーそのもの。
吊り下げられた女社長が富士山の中心にあって遮っている。
視覚効果を使った見事な物語作りだ。
犯人は普通、動機などにつながる自分の意思を隠そうとするものだが、今回はそれをイメージとして提示して、探偵に「読み取れ」と挑戦している。
犯人は、女社長を殺すよりも自分のメッセージを誰かに伝えたかったのだろう。
大事な富士山を奪われた怨念。
それを誰にも理解されない悔しさ、孤独。
こういう犯人像もいい。
また、犯人が画家だというのも、視覚で自分のメッセージを伝えようとした犯人像と見事にマッチする。
作品は2時間作品ということで、画家の事件と共にビル爆破などの事件を絡ませた。
これが事件をより複雑なものにした。
主要な事件(今回は老画家の殺人)に他の事件を絡ませて複雑にしていく。
探偵はその絡まった糸を解いていく。
推理小説の作り方として明記しておきたい。
「名探偵コナン 工藤新一への挑戦状」は、新一がコナンくんになる前の話。
人気若手俳優を使った実写ドラマ化。
なるほど、こういう方法があったかという感じだが、その分、コナンくんらしさは薄くなってしまったことは否めない。
アニメと実写を混ぜたオープニングやコナンくんになった後日談をアニメで描いた所などは、おしゃれだったが。
今後もアニメと実写の融合はなされていくだろう。
事件はクラスメイトの誘拐事件。
挑戦状(予告誘拐)が新一(小栗旬)に届く。
ここでは、古典的な推理小説の手法が用いられているので明記しておく。
・アリバイ作り……時限装置を使って、ダミーを湖に落とした。
・物を隠す ……誘拐した園子を船の中にどう隠すか。今回は鏡のトリック。
・密室 ……12時に誘拐をするという予告。
警察はホテルの宴会場に生徒を閉じこめ、警官を配備するが。
実は、指示に従わなければ園子を殺すという脅迫状が届き、
蘭(黒川智花)が自分で部屋を出た。
・ダイイングメッセージ
「I am a kidnaper」と書かれた遺書を残して死んだ船長。
しかし、裏には血で書かれた矢印(→)。
遺書を太陽にすかして、→の指す文字を見ると……。
kidnaperの綴りも間違っていて……。(正確にはkidnapper)
メッセージについては他にもある。
蘭は12時前、新一の手を握り赤いインクを付けた。
そして、自分が外に出たドアにも付けた。
これは蘭が新一に残したメッセージ。
これらのメッセージをどう読み取るかが探偵能力なのだが、この手法をうまく使って探偵小説にしている。
なお、新一が犯人に気づいたきっかっけは、犯人でなくては知り得ない事実をその人物がしゃべったからだった。
これも推理小説の方法として明記しておきたい。
「名探偵コナン 工藤新一への挑戦状」に見る推理小説・探偵小説の作り方。
以下、ネタバレです。
「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」で面白いのは、富士山とツインタワービル。
ツインタワービルから見える富士山。
非常に美しいがこれが殺人事件の動機になっている。
富士山を愛して、富士山を描くために小高い丘に家を建てた老画家。
しかし、ビルが建ったために家から見える景観が失われてしまった。
画家の家に行くコナンたち。
しかし、富士山が見えるはずの窓にはカーテンがかけられて見えない。(伏線)
カーテンを開ければ、富士山をまっぷたつにするツインタワーが見えるからだ。
それを見れば、老画家の動機がわかってしまう。
動機のミスリードもある。
老画家は自分の絵を買い占められ、投機の対象にされたため恨みに思ったという別の動機を設定させたことで、富士山とツインタワービルの本当の動機がより一層鮮明になった。
そして何より面白いのは、殺人現場に残された犯人のメッセージだ。
・割れた盃
これはまっぷたつにされた富士山を意味している。
盃を逆さにおけば、富士山というわけだ。
・富士山の絵をバックに首を吊られたおんな社長。
これもまっぷたつにされた富士山を意味している。
首を吊られたおんな社長はツインタワーそのもの。
吊り下げられた女社長が富士山の中心にあって遮っている。
視覚効果を使った見事な物語作りだ。
犯人は普通、動機などにつながる自分の意思を隠そうとするものだが、今回はそれをイメージとして提示して、探偵に「読み取れ」と挑戦している。
犯人は、女社長を殺すよりも自分のメッセージを誰かに伝えたかったのだろう。
大事な富士山を奪われた怨念。
それを誰にも理解されない悔しさ、孤独。
こういう犯人像もいい。
また、犯人が画家だというのも、視覚で自分のメッセージを伝えようとした犯人像と見事にマッチする。
作品は2時間作品ということで、画家の事件と共にビル爆破などの事件を絡ませた。
これが事件をより複雑なものにした。
主要な事件(今回は老画家の殺人)に他の事件を絡ませて複雑にしていく。
探偵はその絡まった糸を解いていく。
推理小説の作り方として明記しておきたい。
「名探偵コナン 工藤新一への挑戦状」は、新一がコナンくんになる前の話。
人気若手俳優を使った実写ドラマ化。
なるほど、こういう方法があったかという感じだが、その分、コナンくんらしさは薄くなってしまったことは否めない。
アニメと実写を混ぜたオープニングやコナンくんになった後日談をアニメで描いた所などは、おしゃれだったが。
今後もアニメと実写の融合はなされていくだろう。
事件はクラスメイトの誘拐事件。
挑戦状(予告誘拐)が新一(小栗旬)に届く。
ここでは、古典的な推理小説の手法が用いられているので明記しておく。
・アリバイ作り……時限装置を使って、ダミーを湖に落とした。
・物を隠す ……誘拐した園子を船の中にどう隠すか。今回は鏡のトリック。
・密室 ……12時に誘拐をするという予告。
警察はホテルの宴会場に生徒を閉じこめ、警官を配備するが。
実は、指示に従わなければ園子を殺すという脅迫状が届き、
蘭(黒川智花)が自分で部屋を出た。
・ダイイングメッセージ
「I am a kidnaper」と書かれた遺書を残して死んだ船長。
しかし、裏には血で書かれた矢印(→)。
遺書を太陽にすかして、→の指す文字を見ると……。
kidnaperの綴りも間違っていて……。(正確にはkidnapper)
メッセージについては他にもある。
蘭は12時前、新一の手を握り赤いインクを付けた。
そして、自分が外に出たドアにも付けた。
これは蘭が新一に残したメッセージ。
これらのメッセージをどう読み取るかが探偵能力なのだが、この手法をうまく使って探偵小説にしている。
なお、新一が犯人に気づいたきっかっけは、犯人でなくては知り得ない事実をその人物がしゃべったからだった。
これも推理小説の方法として明記しておきたい。