映画「デスノート」前編について
★夜神月
月(藤原竜也)の動機は、法で裁けず野放しになっている犯罪者の処刑である。
結果、犯罪の激減。悪のない世の中の実現。
月は現在の政治状況を象徴している。
自分の理想を押し進めようとするアメリカ。
自分の主義のために戦うテロリスト。
行動動機は同じだ。
後は方法論。
あくまで法律(ルール)の中で実現するか、力(暴力)で実現するか?
月は自分の行為を「革命」だと言う。
月は「力」で自分の理想を実現しようとする。
しかし、そんな自分の理想も次第に変わってくる。
L(松山ケンイチ)に追いつめられ、自己保身のために「力」を使うようになる。
そして「力」を持ったことで、「神」になった気分になる。
「力」は人を狂わせるのだ。
月の力は「デスノート」だが、これを「権力」や「核爆弾」と置き換えてみてもいい。
月は「権力者」を象徴している。
月は同時に現在のデジタルゲーム世代の代表でもある。
彼はゲーム感覚で「力」を使う。
Lとのゲームに勝つために「力」を使う。
Lは刑事局長・夜神総一郎(加賀丈史)に「捜査はゲームじゃない」と諭されるが、「結果が同じならいい」と突き放す。
ゲーム感覚で行動していく月(そしてL)。
これらの月を描くことによって、「デスノート」は現在の作品になった。
★L
月のゲームの相手L。
彼の捜査方法が面白い。
彼は「犯人の範囲を狭めていく」という捜査方法を取る。
そこには従来の推理小説が描いたような殺人の方法(トリック)などには関心がない。トリックを解明することなどは犯人逮捕に関係ないと思っている。
犯人の範囲を狭めていくLのやったことはこうだ。
・関東地区だけに流すLの挑戦状。
・犯行時間の共通性。(大学の時間割の様だ)
・プロファイリング。
・捜査関係者だけしか知らない情報の秘匿。(月は秘匿された情報を使い犯行を行う。これにより犯人キラが捜査関係者の中にいると推定するのだ)
・FBI捜査官の尾行。
・FBI捜査官の死に関わった人間を犯人候補としてリストアップ。
・盗聴器の設置。
昔の刑事は足を使ったが、Lは椅子に座っているだけ。
アームチェア型の探偵の典型だが、情報からの推論・推理だけでなく、情報をおとりにして犯人を追い込んでいく所が新しい。
従来の探偵は人をおとりににしたものだが(おとり捜査)、情報を流して犯人のリアクションを待つ。それもテレビなどのメディアも使って。
新しい探偵の誕生だ。
菓子を食べ続けるキャラクター作りもいい。
★デスノート
死神の「力」であるデスノート。
それだけでも万能の力だが、月の頭脳が加わってさらにパワーアップした様だ。
デスノートの切れ端を触らせて、死神リュークを見せる。
FBI捜査官に仲間の名前を書かせる。
デスノートに死に至るまでの詳細な行動を書き、行動を支配する。
次から次へと新しい新兵器を投入するのが、今までのエンタテインメントだったが、デスノートは違う。
ひとつの武器を応用して使い、パワーアップさせる。
これでデスノートがアイテムとしてどんどん立ってくる。
素晴らしい。
これがこの作品をさらに魅力的なものにした。
★フェイク・騙し
ラスト、月は視聴者をも騙した。
美術館で恋人を人質にとられた月。
恋人を救うにはデスノートの力を使うしかない。
しかし月の行動はLによって監視カメラで見守られている。
月はLの罠にはまるのか?
視聴者は手に汗握る。
しかし、恋人は隙を見て逃げる。恋人は撃たれて死んでしまう。
涙を流す月。
愛する者の死は「デスノート」の力を使ってしまった者が受けるべき報い。
通常のエンタテインメントならそう決着をつけるはずだが、この作品は違っていた。
以下、ネタバレ。
恋人の死も月によって、デスノートに書き込まれたものだったのだ。
動機は、月が捜査本部に入るため。
ここで視聴者は完全に騙されたと知る。
映画「スティング」の様な見事なフェイクだ。
同時に変わってしまった月も描いた。
恋人を犠牲にして心が痛まないほど、デスノートとLとのゲームにのめり込んでしまった月。
この変貌。
実に怖い。
予定調和で終わらせなくても物語は成り立つのだということがわかる。
★夜神月
月(藤原竜也)の動機は、法で裁けず野放しになっている犯罪者の処刑である。
結果、犯罪の激減。悪のない世の中の実現。
月は現在の政治状況を象徴している。
自分の理想を押し進めようとするアメリカ。
自分の主義のために戦うテロリスト。
行動動機は同じだ。
後は方法論。
あくまで法律(ルール)の中で実現するか、力(暴力)で実現するか?
月は自分の行為を「革命」だと言う。
月は「力」で自分の理想を実現しようとする。
しかし、そんな自分の理想も次第に変わってくる。
L(松山ケンイチ)に追いつめられ、自己保身のために「力」を使うようになる。
そして「力」を持ったことで、「神」になった気分になる。
「力」は人を狂わせるのだ。
月の力は「デスノート」だが、これを「権力」や「核爆弾」と置き換えてみてもいい。
月は「権力者」を象徴している。
月は同時に現在のデジタルゲーム世代の代表でもある。
彼はゲーム感覚で「力」を使う。
Lとのゲームに勝つために「力」を使う。
Lは刑事局長・夜神総一郎(加賀丈史)に「捜査はゲームじゃない」と諭されるが、「結果が同じならいい」と突き放す。
ゲーム感覚で行動していく月(そしてL)。
これらの月を描くことによって、「デスノート」は現在の作品になった。
★L
月のゲームの相手L。
彼の捜査方法が面白い。
彼は「犯人の範囲を狭めていく」という捜査方法を取る。
そこには従来の推理小説が描いたような殺人の方法(トリック)などには関心がない。トリックを解明することなどは犯人逮捕に関係ないと思っている。
犯人の範囲を狭めていくLのやったことはこうだ。
・関東地区だけに流すLの挑戦状。
・犯行時間の共通性。(大学の時間割の様だ)
・プロファイリング。
・捜査関係者だけしか知らない情報の秘匿。(月は秘匿された情報を使い犯行を行う。これにより犯人キラが捜査関係者の中にいると推定するのだ)
・FBI捜査官の尾行。
・FBI捜査官の死に関わった人間を犯人候補としてリストアップ。
・盗聴器の設置。
昔の刑事は足を使ったが、Lは椅子に座っているだけ。
アームチェア型の探偵の典型だが、情報からの推論・推理だけでなく、情報をおとりにして犯人を追い込んでいく所が新しい。
従来の探偵は人をおとりににしたものだが(おとり捜査)、情報を流して犯人のリアクションを待つ。それもテレビなどのメディアも使って。
新しい探偵の誕生だ。
菓子を食べ続けるキャラクター作りもいい。
★デスノート
死神の「力」であるデスノート。
それだけでも万能の力だが、月の頭脳が加わってさらにパワーアップした様だ。
デスノートの切れ端を触らせて、死神リュークを見せる。
FBI捜査官に仲間の名前を書かせる。
デスノートに死に至るまでの詳細な行動を書き、行動を支配する。
次から次へと新しい新兵器を投入するのが、今までのエンタテインメントだったが、デスノートは違う。
ひとつの武器を応用して使い、パワーアップさせる。
これでデスノートがアイテムとしてどんどん立ってくる。
素晴らしい。
これがこの作品をさらに魅力的なものにした。
★フェイク・騙し
ラスト、月は視聴者をも騙した。
美術館で恋人を人質にとられた月。
恋人を救うにはデスノートの力を使うしかない。
しかし月の行動はLによって監視カメラで見守られている。
月はLの罠にはまるのか?
視聴者は手に汗握る。
しかし、恋人は隙を見て逃げる。恋人は撃たれて死んでしまう。
涙を流す月。
愛する者の死は「デスノート」の力を使ってしまった者が受けるべき報い。
通常のエンタテインメントならそう決着をつけるはずだが、この作品は違っていた。
以下、ネタバレ。
恋人の死も月によって、デスノートに書き込まれたものだったのだ。
動機は、月が捜査本部に入るため。
ここで視聴者は完全に騙されたと知る。
映画「スティング」の様な見事なフェイクだ。
同時に変わってしまった月も描いた。
恋人を犠牲にして心が痛まないほど、デスノートとLとのゲームにのめり込んでしまった月。
この変貌。
実に怖い。
予定調和で終わらせなくても物語は成り立つのだということがわかる。