平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

セーラー服と機関銃 第1回

2006年10月14日 | 推理・サスペンスドラマ
 「セーラー服と機関銃」第1話は堤真一さんの若頭・佐久間に尽きる。

★筋を通す男
  あくまで組長(桂 小金治)の遺言を実行しようとする。
  それがダメだとわかると組を潰した責任から腹を切ろうとする。
★人情味溢れる男
  自殺しようとする泉(長澤まさみ)を助け残された人間が悲しむと言う。
  勘違いではあったが。
★自分の言葉を実行する男
  命をかけて泉を守るという佐久間。銃撃から泉を守った。

 実直、実直、実直。
 今どき、こんな男はいない。
 建築偽装問題の建築士、少女の自殺を認めようとしない教育長。
 これら人間とは反対の人間として佐久間を描いている。
 この作品は25年ぶりの復活。
 今、なぜ「セーラー服と機関銃」なのだろうと思っていたが、佐久間の様な実直な人間を現在に問いたかったのだろう。
 考えてみれば、目高組の連中も皆社会の落ちこぼれ。
 金さん(山本龍二)は元警察官、家族の事情で1回だけヤクザに便宜を図って首になった。武(田口浩正)はプログラマー。騙されてハッキングに手を貸して業界追放、ヒデ(福井博章)は元暴走族。
 人情に篤い人のいい実直な人間は、社会のはずれ者になってしまうということか?
 確かに麻薬に手を出す悪道ヤクザ・浜口組は立派なビルの中に事務所を構え、麻薬撲滅を掲げる三大寺一(緒形拳)は政治家だ。
 実直で人情に流されていては、三大寺らに勝てない。

 この番組は、失われてしまった「昔の男の美学」(少し恥ずかしいが)を描こうとしている。
 かつてヤクザ映画を見た観客は、自分もヤクザのように肩をいからせて映画館から出て来たというが、男性視聴者にはそんなかっこいい男をこの番組を通して体験する。
 佐久間は泉に「命をかけてあなたを守る」と言ったが、女性視聴者には「命をかけて自分を守ってくれる男」を見せてくれるだろう。
 男性も女性も感情移入できるキャラクターを生み出した作品はヒットする可能性が高い。若い視聴者が佐久間の様な人間を「古い」と感じるか、「かっこいい」と感じるかがポイントだが。
 さて、今後、どんな佐久間や昔の男たちが描かれるか?

 あとは星泉役の長澤まさみさんがいい。
 トロくてちょっとボケな泉を見事に演じている。
 それでいて父親が他殺されたのではないかと言われるとすぐに行動に移す。
 佐久間が腹を切ろうとすると、「ただ逃げてるだけじゃないですか」と啖呵を切る。
 この柔と剛のメリハリがうまい。
 柔や剛の片方だけを演じられる役者さんは多いが、両方を演じ分けて不自然でない役者さんは少ない。
 おまけに感情表現もうまい。
 父親が亡くなる前、浅草に映画を見に行こうと言われる。
 父が死んで泉は浅草に行き、映画館で大人と学生のチケットを買った。

コメント
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