元カ―レーサーからフェラーリ社を立ち上げ、F1の帝王と呼ばれたエンツォ・フェラーリの、59歳の激動の一年間を描いた物語。
エンツォ(アダム・ドライバー)は最愛の一人息子を前年に亡くし、妻ラウラ(ペネロペ・クルス】との仲は冷え切り、愛人リナとの息子は可愛いものの認知できず、おまけに会社は破産寸前という、人生のどん底にいた。八方塞がりの彼は再起をかけて、1600㎞の公道を走るレース、ミッレミリアに挑むのだが…
「フォードVSフェラーリ」は数年前に観たものの、その他の予備知識はないままに観ました。
アダム・ドライバーがスター・ウォーズで新ヒーローを演じたのが10年ほど前、今作では初老の男エンツォを演じていたので驚きましたが、実年齢の20歳上の役だったようです。
アダムが190㎝程の長身で、こんな大きなレーサーがいたのかと思いましたが、実際のエンツォは2m近い長身だったのですって。
レースに勝つことに執着する傲慢な、しかし女の間で揺れ動く弱みを併せ持つ男エンツォを、よく演じていたと思います。
オペラ「椿姫」を観劇するシーンでは、女たちへの彼の思いが、美しいアリアに乗せられているようでした。
ペネロペ・クルスの始終不機嫌な女房役は、迫力がありました。
愛息を亡くし、あれだけ夫に裏切られ続けたら、不機嫌にもなるのでしょう。
ペネロペ・クルスの始終不機嫌な女房役は、迫力がありました。
愛息を亡くし、あれだけ夫に裏切られ続けたら、不機嫌にもなるのでしょう。
そしてあのミッレミリアの大惨事。
人も一般車もいる公道で時速200㎞以上のスピードレースをするってどうよ?と思っていたら、やっぱり。
沿道の家族の幸せな食事風景が映ったと思ったら、次の瞬間、幼い子供がレースを見に飛び出す。
そして疾走する車が突然パンクして、沿道の群衆めがけてスピンしながら飛び込んだのです。
ちぎれた脚や胴体、目玉が飛び出た顔が容赦なく写され…
あの陽気で人懐っこいレーサーのポルターゴが、あんなことになるなんて。
この事故で、レーサーの他子供5人を含む観客9人が亡くなり、スピードレースとしてのミッレミリアは終わりとなったのだそうです。
ちぎれた脚や胴体、目玉が飛び出た顔が容赦なく写され…
あの陽気で人懐っこいレーサーのポルターゴが、あんなことになるなんて。
この事故で、レーサーの他子供5人を含む観客9人が亡くなり、スピードレースとしてのミッレミリアは終わりとなったのだそうです。
エンドロールに御本人たちの写真が出てこなかったのが残念でしたが、この大事故の責任をフェラーリは問われなかったという文言が出てホッとしました。
フェラーリを何台も持つという熱烈な愛好家マイケル・マン監督が、帝王エンツォ・フェラーリを必要以上に美化せずに描いたことを評価したいと思います。
「フェラーリ」公式HP