国民が生命を守るため政府を無視せざる得ない訳
政府は福島原発の北西に位置する福島県浪江町、飯館村などの1市2町2村について、「計画的避難区域」に設定することをようやく決定した。政府は域内の住民に対し、おおむね1カ月以内をめどに避難するよう要請する。
福島原発の北西地域では震災発生直後から高濃度の放射線量が計測され続けてきた。
本ブログでも
3月16日付記事
「末端労働者犠牲に原発責任幹部政府は逃亡の図式」
3月16日付記事
「放射線被ばくリスクを隠蔽して広報しない菅政権」
以来、この問題を記述し続けてきた。
当初、浪江町で観測された放射線量は
100~330マイクロシーベルト/時
であった。その後も100マイクロシーベルト/時程度の放射線量が計測され続けた。
マスゴミは、各地の「1時間当たりの」放射線量とレントゲン1回あたりの放射線量などとを比較し、健康に影響を与えない放射線量だと報道し続けた。
しかし、住民は1時間だけ現地にとどまるわけではない。朝も昼も夜も真夜中も、現地に居続けるのだ。レントゲンと比較するなら、必ず、「1時間に1回のペースでレントゲンを撮り続けること」と比較しなければ意味はない。
マスゴミの知的水準を示す事例である。
1時間当たりの放射線量の健康被害を考える場合、この放射線量を1年あたりの放射線量に換算して考察することが必要だ。住民は、放射能に汚染された地域に「居住」しているのであり、避難すべきかどうかの判定をするためには、その地点に1年程度居住する場合の放射線量を考察しなければ意味がないからだ。
1年間の放射線量は1時間当たりの放射線量の
24X365倍 8760倍
になる。
これを、より分かりやすくするには、
400日間の放射線量に置き換えるのがよい。
1時間当たりの放射線量を1万倍すれば400日間の放射線量になる。
原子力委員会は新たに、一般住民の場合、年間の被曝量上限を20ミリシーベルトとする方針を示した。
20ミリシーベルトは20000マイクロシーベルトのことである。
年間の被曝量上限が20000シーベルト
に設定されると、
1時間当たりに換算した放射線量上限値は
2マイクロシーベルト
ということになる。
福島県浪江町では、震災発生後、恒常的に
100マイクロシーベルト/時以上の放射線量を観測し続けてきたのである。その後も毎時数十マイクロシーベルトレベルの放射線量を観測し続けてきた。
これらの地域が避難地域に設定されるのは当然のことであり、菅政権の対応はあまりにも遅すぎる。
原子力事故発生時に何よりも優先されなければならないことは、国民の生命、健康を守ることである。そのためには、「やり過ぎと思われるような対応」が必要なのである。
枝野幸男氏は、「菅直人首相からは、『やり過ぎでもいいと言われるくらい安全の確保は最優先でやれ』という指示を受けている」
と述べたが、
「やり過ぎでもいいと言われるくらいの安全確保」
を主張してきたのは、本ブログを含む在野の批評家と、政治家では小沢一郎元民主党代表などである。
菅政権は財務省の財政再建原理主義に汚染されて、避難が必要な国民に、放射能に汚染された地域にとどまり続けろと主張してきたのである。
また、放射能に汚染された食物は、人体への影響を慎重に検討して、厳しい基準で摂取しないことを周知徹底させねばならないのに、菅政権は、放射能に汚染された食物をできるだけ積極的に摂取するように強制してきた。
放射能汚染に対して警戒的に行動することを「風評被害を生む」との誹謗中傷を浴びせて弾圧する言語道断の行動を示してきた。
政府の財政支出を節約することだけを優先して、国民の生命や健康をないがしろにする政府を信頼することが無理になる行動を示してきたのである。このなかで、国民が自分自身の安全確保のために慎重な行動を示すのは当たり前のことである。
この政府は国民の生命や健康を第一に考えていない。このことを私たちは十分に念頭に入れて行動してゆかねば、自らの生命や健康を守ることはできない。