極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

風力車のダウンサイジング

2013年09月09日 | デジタル革命渦論

 

 

 


バイオミミクリーとかバイオミメティックスという生態模倣技術という言葉がいまでは定着しつつある
が、これは、デジタル産業技術的側面からいえば、ダウンサイジングであり、図画像形成技術としての
第四次産業に連関するもので、周知の通り、バイオニクス(生体工学)という用語は米空軍の医師 Jack
E.
Steele が1958年に提案され、生体模倣技術(biomimetics)という用語は1950年代に発明家 Otto Sc-
hmitt が提案されている。具体例として、
ベルクロテープが挙げると、このテープは1948年、スイスの
技術者 George de Mestral が犬の毛皮にくっついたゴボウの実のフック状の棘を見て思いついたもの。

 

さらに付け加えると、生体工学という用語には、生物学の考え方を工学に持ち込むことを示すと同時に
逆の流れも含まれ、2つの異なる意味が存在する。例えば、医学において、生体工学とは器官や他の人
部品を機械的なものに置き換え、改良することを意味し、人工臓器などの生体工学的インプラントは
本来の器官
の機能を模倣し、場合によってはそれをしのぐこともあり、単なる義肢などは異なる。ドイ
ツ語では "Bionik" という用語に相当するが、こちらはより広範囲に自然をモデルとして技術的解法の

開発を意味し、生物の解法は常に進化の圧力によって最適化させられているという事実に基づいたもの
生体工学技術のインプラントはまだ初期の段階にあるが、よく知られているのが人工内耳。これはろう
者のための機器である。2004年までに完全に機能する人工心臓が開発された。また、ペンシルベニア大
学の Kwabena Boahen は、生物の眼(網膜)と同じ方式で動作するシリコン網膜を開発し、シリコン網
膜とサンショウウオの目から発する電気信号を比較し、同じ画像情報を伝えていることを検証している。



新世紀の物理学は、核開発明け暮れた旧世紀の物理学の反省に立ち、持続可能な社会に資する目的を持
ってバイオミミクリーの立場を鮮明にし、その原理を元に新しい産業技術が育まれつつある。上記のマ
イクロ流体チップスにつかく小型電動バブル(独立行政法人理化学研究所)のように、数センチ角の小
さな基板上に幅・深さ1ミリ以下の流路を精密加工したマイクロ流体チップで、溶液の混合、反
応、精
製、検出などの工程を1つのチップ上に集積した小型・省エネ・高速化が図れるデバイスで、バ
イオ分
析や化学分析システムの超小型化が図れるというもので、マイクロ流体チップ上の
流体を制御するには、
非常に小さなバルブを必要し、これまでのマイクロ流体チップでは、コンプレッサやポンプなどで空圧
を発生させ、樹脂の膜を動かして開閉するバルブが利用されていたが、空圧発生源がチップに搭載する
には大き過ぎ、さらに音や振動も激しいという難点があり小型なデバイスには不向きであったが、この
問題を解決した。このように、旧世紀の産業システムは巨大な生産工場で大量生産・大量消費し
てきた
が、新世紀に入り、よりコンパクトな生産工場-グリーンプラント、手のひらサイズのプラント
と称さ
れてもいる-から、最適量の産出を適宜、適時に供給するシステムと変貌してきている。




このことを、エネルギー産業に当てはめて考えてみよう。日本はエネルギー資源や地下資源に乏しい国
だと教えられてきたが、焼き畑・家畜の去勢にはじまる産業革命が、旧世紀に勃興した『デジタル革命』
という第五次産業革命により、太陽光を光電変換素子(光ダイオード)で電気を取り出す、あるいは、
空気とバイオマスを燃料とした高性能コンパクト燃料電池などの応用技術が雪崩を打ったかのような実
用化の波に飲み込まれつつある。太陽光発電のそのフレーズ・シーンは、従来のミリレベルからナノサ
イズの高性能な薄膜系太陽電池の全面展開に入りつつある。さらに、太陽光以外の再生可能エネルギー
の分野も及んできている。このように近未来図を描けば、再生可能エネルギーで快適に活動する社会が
完成し、エネルギー資源問題は解決することを意味する。今回取り上げるのは、蜻蛉(とんぼ・トンボ
の飛行からヒントをえて、生体模倣技術である風力発電の開発例を考察する。上の写真は、日本文理大
学のマイクロ流体技術研究所(小幡章所長)の研究内容のための概説写真で、(1)羽ばたき型飛翔ロ
ボット(2)
非羽ばたき型飛翔ロボット(3)低レイノルズ数における空力特性(4)トンボの動特性・
飛行制御の4つの研究を
行っているが、ここでは(3)(4)を応用展開した『小型プロペラ風車』を
取り上げる。

 【符号の説明】

1:前翼 2:後翼 3:衝撃吸収材 4:制御部 5:胴体 6:マス・バラスト 7:推進用モータ 8:プロペラ 9:プロ
ペラ推進装置 10:回転ロッド11:回転ロッド駆動用モータ 20:固定薄板翼 21:回転円柱 22:ジェット噴流 
23:死水域 24:剥離域 

ところで、風力発電は、 風力発電に使用される風車は強大な自然のエネルギーを利用して電力を獲得すること
がを可能だが、一方で、風車は自然環境において強風に耐えたり風をやり過ごしたりするための対策が
必要とされる。一般に、ブレード(回転翼)の取付け迎え角(ピッチ角)を固定したプロペラ風車は、
風車の回転数は概ね風速に比例して上昇するため、ブレードに作用する遠心力は風速の2乗に比例し、
増大。このブレードに発生する揚力や抵抗も風速の2乗に比例して増大する。ブレードの回転面に作用
する風圧も風速の2乗に比例して増大し、何らの対策もない単純なプロペラ風車では、風速が一定の値
を越えると、風速の2乗に比例して増大する遠心力および風圧でが破壊されてしまうため、、従来のプ
ロペラ風車には、様々な強風対策が施されている

※対策機構例:(1)風速に応じてブレードのピッチ角を機械的機構等で変更制御、風車に作用する遠
 心力や風圧の増大を抑制する。(2)非内蔵型小型プロペラ風車は、従来、風車のブレードやブレー
 ド取付部の強度を増す方法、風車のブレードの回転にブレーキをかける機械的や電磁的機構を設ける
 方法、遠心力の作用によるブレードの捩り変形を利用し翼を失速させて回転数の上昇を抑える方法、
 風車のブレード回転面そのものを風向きに対して平行に向け姿勢変更する剛構造タイプの対策方法、
 (3)また、低風速時の起動性や発電効率の損出する剛構造化あるいは大型化の強風対策でなく、低
 風速時から強風時に至るまで、効率良く、また風車の破壊防止できる小型プロペラ風車のプルーベン
 風車は、ブレード取付部にヒンジを設け、風車のブレードにフラップ角を許容して風車のブレードが
 風になびかせる方法、などがある。、

 

 
【符号の説明】

1:ブレード 2:弾性体 3:ハブ 4:発電機 4a:入力軸 5:安定板 6:横支柱 7:縦
支柱 8:回転支持部 9:
錘 10:ストッパー 11:ライナー

小幡章らの新規提案は、上図のようにあり、ブレードの回転直径が最大で22センチメートルのダウン
ウインド型のプロペラ風車。図のケント紙製のハブ3は、超小型発電機である発電機4の入力軸4aに
直結固定し設けるとともに、発電機4は、4枚のケント紙製のる安定板5が垂直方向および水平方向に
それぞれ接着固定し設けた鋼製の円柱棒形状の横支柱6の一端に接続固定し設け、さらに横支柱6は同
じく鋼製の円柱棒形状で縦支柱7にベアリングを用いて構成する回転支持部8を介し、回動自在に取り
付け構成することで、全体としダウンウインド型の風車を構成する。本件で示す小型プロペラ風車のブ
レードは、下図に示す形状のコルゲート翼型で、低レイノルズ数領域を飛行するトンボの翅の翼型を模
倣したもの。これにより、コルゲート(表面が凹凸形状の)翼型は、弦長レイノルズ数にして10の3
乗のオーダー以下の領域では、他の翼型を凌ぐ空気力学的性能(揚抗比)を示し、なおかつ、弦長レイ
ノルズ数にして10の4乗を超える領域では、コルゲート翼型の空気力学的性能(揚抗比)が急激に低
下する傾向を有することを発見。この傾向は任意の凹凸形状を有する全てのコルゲート翼型に共通する。


このため本件の形態に示す小型プロペラ風車は、コルゲート翼型の低レイノルズ数領域で優れた空気力
学的性
能(揚抗比)に基き、また、上図に示すブレード1、弾性体2、ボス3が、それぞれ軽量なケン
ト紙をり設けるとで、
慣性モーメントの大幅な低減の効果を得て、、従来知の風車と比較して低風速時
の回転起動性および発電効率
が大幅に向上する。

一方、強風時には、弦長レイノルズ数の増大により、空気力学的性能(揚抗比)が急激に低下すること
から、下図のように小型プロペラ風車を上方より見て示す説明図である図3(a)のごとく、風車が備
えるコルゲート翼型ブレード1に作用する揚力が、ブレード1に作用する抗力に比して小さく、風車の
回転力が低下することで、強風時の風速と風車の回転数との比例関係を断ち切り、風車の破壊を防止で
きる。
また、強風時においては、図3(a)に示すプロペラ風車のコルゲート翼型ブレード1に作用する揚力の増
加率の低下に反し、ブレード1に作用するフラップ空気力の増加率が急激に大きくなる。小型プロペラ風車を上
方より見て示す説明図である図3(b)のように、ブレード1に作用する揚力によって回転力を得るブレード1に作
用する遠心力の増加率が低下できる一方で、ブレード1に作用するフラップ空気力の増加率が急激に大きくなり
ブレード1を片持支持する弾性体2に大きな曲げモーメントが作用することになる。

 

さらに 、下図に示すように、ブレード1を片持支持するケント紙を設けた弾性体2が風下側にしなやか
に弾性変形して撓むことで、ブレード1にフラップ角を生じさせ、効果的に風車の風受面積を減少して
強風時の風を受け流し、風車の破壊を防止できる。小型プロペラ風車を風洞内で回転させた風洞実験の
結果、風洞実験前の測定した下図の小型プロペラ風車のブレード1の捻じり角は0度、ピッチ角はマイ
ナス
15度で、風速6m/sにおける回転状態では風車はフラップ角を生じず、風速に比例して風車の
回転数が上昇
することを確認。また、風速8m/sまでの領域で、風速に比例して小型プロペラ風車の
回転数が上昇し、この風
速と回転数が比例する領域では、この小型プロペラ風車は、コルゲート翼型ブ
レード1の優れた空気力学的性
能(揚抗比)に基づいて、極めて効率良く大きな揚力を発生させることがで
き、小型プロペラ風車に効率良く大きな回転力(回転トルク)を与えことができる。従来のプロペラ風車と比較して
風力をより効率良く電力に変換して好適に風力発電できる。一方、風速が8m/sを超える場合には、
小型プロ
ペラ風車のコルゲート翼型の空気力学的性能(揚抗比)が急激に低下し、風速と風車の回転数
が比例して増加
するのを防止でき、図に示す通り、ブレード1を片持支持するケント紙製の薄板の弾性
体2が弾性変形して撓む
ことにより、風速16m/sで大きなフラップ角が付き始め、風速28m/s
でフラップ角が45度を超え、風洞
の最大実験風速である風速40m/sでフラップ角が75度に達す
るようにブレード1が風になびいて強風を受け
流し、小型プロペラ風車の破壊を防止する。

 

風力車の小型化の考察は、 『風力電力巡礼の明日』でも掲載したことがあるが、今回は、生体模倣技術の応用
展開の具体例を掲載した。コルゲート翼型をプロペラを成型、材質マテリアルを炭素繊維、もしくはカ
ーボンナノチューブ複合材で、発電モータには、永久磁石もブラシもなく、反対の極性をもつ2つのス
テータの周辺にコイルを直列に接続し、これに直流電流を流し磁束を生成するが、鉄製のロータの2枚
の歯がステータの極と一列に揃う。この一連の動作がステータの極の周辺で連続的に発生しロータが回
転する。しかし(1)振動、騒音が大きいこと(2)トルクリップルが大きいこと、(3)各種インダ
クタンスが回転子位置や磁性材料特性に大きく影響されるため制御方法に多くのノウハウが必要である
こと(4)ギャップ等、鉄板の製作精度を厳しくする必要があること等のため、その適用例はそれほど
くないが、高いトルクおよび高速の用途に適すなどの特徴を持つ、スイッチ・リラクタンス(可変リラ
クタンス)モータなどを採用?、日本から世界初のスマート&スモール型風力発電システム事業を創業
すればいかがなもかと夢をふくらませる次第。
 

switched reluctance motor    

 

2020年東京オリンピック開催が決定し、連日のお祭り騒ぎ。それでも候補から落選したイスタンブール
市民からは多数の祝
福のメッセージが寄せられているという。人道的な支援の歴史経緯をふまえてもほ
ほえましいエピソードだ。反面、浮かれ
過ぎは戒め、冷静にならなきゃと、1985年のプラザ合意以降に
陥った“ロスト・スコア(失われし20年)”、土地本位制へと反動していったあの頃の、1つ1つのシ
ーンがよみがえる。いま世界の大局は“環境リスク本位制”にあり、防災・減災対策にぬかりなく、ボ
タンの掛け違えのないことを祈る。おめでとう!

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする