極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

常温接合技術拡張宣言

2013年09月05日 | ネオコンバーテック

 

 

 

 

【常温接合技術の拡張】

ちょっと気になっていて、“常温接合”について考えてみた。先日、産業技術総合研究所は集積
マイクロシステム研究センタの研究チームが、ネオン高速原子ビームを用いてシリコンの表面を
平滑化することで接合部のひずみを大幅に低減させ、高い信頼性のマイクロデバイスを作製する
表面活性化常温接合プロセスを開発しとことを公表した。
表面活性化常温接合は、MEMS(Micro
Electro Mechanical Systems)封止やMEMS・IC集積化のダメージが低い接合技術として注目され
ているが、接合表面には原子レベルの平滑性が求められる。MEMSやICの作製プロセスにより接合
面の表面粗さが悪化してしまうと、接合部のひずみが大きくなりマイクロデバイスに悪影響を及
ぼし接合できない。この事例では、荒れてしまったシリコン表面に対しネオン高速原子ビームを
用いて表面を平滑化すると、接合部のひずみが低減して接合強度が向上することを確認できた。
このプロセスにより、従来は接合が困難であった粗さの大きなシリコン表面でも接合が可能にな
るとともに、接合部のひずみの低減によるマイクロデバイスの性能向上が期待される。なお、こ
の技術は既存の常温接合装置を改造することなく適用できる道が開かれたことを意味する(2013.
8.28「ウエハー常温接合のための原子レベル表面平準化プロセスを開発」)。

 

つまり、常温接合は、室温で物質と物質を貼り合わせるのだが(1)熱膨張係数の違う素材同士
を貼り合
わせる、(2)接着剤を使わないのでデバイスやウエハの貼り合わせ後に発生する劣化
の心配の恐れが
なくなることが特徴であり、ダメージ・接合部の低ひずみが要求される化合物半
導体やMEMSをはじめとする種々のマイクロデバイス分野に応用展開によりデバイス応用と低コス
トで高信頼性のパッケージングを実現し、MEMS市場の拡大が図れるという。 


※「常温接合とは」株式会社 ムサシノエンジニアリング公式ホームページより。


表面活性化接合の原理

1.安定状態 大気中では物質の表面は大気の影響を受け、酸化している層や、不純物が吸着し
  ている層に覆われている。これらの層(不活性層)によって、物質表面は安定状態になってい
  る。このままでは、表面は活性化していないので接合できない。

2.
表面洗浄 不活性層をアルゴンビームで除去し、これにより、物質の原子が露出する。
3.表面活性化 露出した原子は、不安定な状態となり、他の原子と結びつこうとする。安定化
  した状態に落ち着こうとするので、表面が活性化した状態になる。

4.接合 表面活性化した物質同士を密着させる。すると2つの物質の間で原子間応力が働き接
  合する。 気体分子が多く存在する低真空レベルでは、活性化した表面が容易に再汚染され
  てしまうので、超高真空下での処理が必要になる。

 





ところで、常温接合法には2つの方法あり、1つは表面活性化接合というのもで、三菱重工業とムサシノ
エンジニアリングの二社の装置を確認する。2つめは、 ムサシノエンジニアリングで詳細記載されていた
子拡張接合がある。金属薄膜でのウエハ接合」を行う原子拡散接合(ADB)が、 東北大学の島津
武仁教授との共同研究で開発さて注目を浴びる(2009年)
。ウエハ等の接合面に超高真空中で微
細結晶膜を形成し、それらの薄膜を真空中で重ね合わせることで、2つのウェハを接合するとい
うもので下記の新規考案の図のような装置が提案されている(参考図)。

 

特開2012-223792「原子拡散接合方法及び前記方法で封止されたパッケージ型電子部品」 株式会
社ムサシノエンジニアリング

※ここでいう「結晶粒界」とは原子配列の規則性の断続部分を言い,多結晶における結晶粒の境
界(一般
的な意味での「結晶粒界」)の他、長距離秩序(数10原子程度以上の原子集団における
配列の規則性)
を有しないが、短距離秩序(数10原子以下の原子集団における配列の規則性)を
有するものをさす。

  


 

 

さて、これらの方法は画期的な接合方法、つまり、化学薬品(接着剤)を使わず、常温処理のた
め、信頼性が高く、ナノレベルの高速原子ビーム照射加工方法である反面、超真空処理のため、
(1)非ラージスケール(2)スループットつまり生産速度が遅いという短所を抱え込む。逆に
言うと、これらを克服できれば、革命的な衝撃を産業社会に与える可能性があり、フィルム(薄
膜)あるいは複雑なデバイス加工、およびそのパッケージングが連続的に処理できる。その生産
現場は、クール(室温)で、オードレス(無臭)な職場環境に変わっているだろう。いよいよ、
本格的な「ネオコンバーテック時代」に突入する。チャンスをものにするのはこのわたし(たち)
であることを、就眠前に宣言しておこう。

                                       
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする