A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

大橋裕之「シティライツ」発売記念ライヴ~シティナイツ~@新宿ロフト 2011.11.14 (mon)

2011年11月16日 00時24分00秒 | 書物について


コミック誌「モーニング・ツー」に連載中の大橋裕之氏の漫画「シティライツ」の単行本発売記念イベント。<ライブ>マリリンモンローズ/平賀さち枝/GELLERS<大喜利>司会:九龍ジョー 出演:大橋裕之/坂本慎太郎/いましろたかし/中原昌也/しまおまほ/古泉智浩/ルノアール兄弟/山下敦弘 大喜利解説:吉田豪/内田名人<ライブペインティング>箕浦建太郎/大橋裕之<占い>パウロ野中<宇宙マッサージ>プリミ恥部<フード>高円寺CURRY BALくじら<物販>吉祥寺バサラブックス/高円寺光/タワーレコード新宿店<アニメ「山」上映>監督 岩井澤健治 原作 大橋裕之。

「流行を5周先取り。最先端を行き過ぎたら、こうなった!」
10年代大型新鋭作家が描くショートストーリー。
作者の描く、哀愁と笑いの入り交じった何とも言いがたい世界観は、坂本慎太郎(ex.ゆらゆら帝国)や、いましろたかし、長尾謙一郎、若杉公徳、又吉直樹、吉田豪、松江哲明、山下敦弘(以上すべて敬称略)などなど、多くのクリエーターに支持されている。
今もっとも、これからの活躍が期待される若手漫画家のニュー連載をどうぞお見逃しなく!!
7転び7.5起き。2歩下がって2.5歩進む。ささやかすぎる人生に万歳。笑えて染みる、ネオ哀愁漫画! 坂本慎太郎氏(ex.ゆらゆら帝国)との特別対談記事ページ入り! 描きおろし漫画も入ってお得!!(amazon商品説明より)

私は最近ほとんど漫画を読んでいないが、twitterでLSD-march/UFO Clubの道下氏が盛んに呟いているので気になって購入してみた。吉田戦車氏「伝染るんです」や中崎タツヤ氏「じみへん」を思わせる脱力したユーモアと妙に四畳半的で親しみを覚えるストーリーが面白くあっという間に読み終えてしまった。

坂本慎太郎氏との絡みもありイベントも一風変わったものになった。きっとガラガラだろうな、とタカを括っていたら満員御礼。坂本氏目当ての客もいたが、漫画家が多数出演する大喜利目当てのコミック・ファンも多い。ロフトで大喜利とはどんな感じだろうと思っていたら、ステージに雛段を作って回答者が並ぶという正統派スタイル。90分という長丁場だったが、回答者それぞれの個性が強く出て思ったより楽しめた。歌詞の世界そのままの坂本氏や政治的メッセージの強い古泉氏、ダジャレが冴える中原氏が面白かった。



結局バンドの演奏は観ずに大喜利だけ観てロフト脱出、外は雨。花園神社の二の酉の祭りで出店の並ぶ中をかき分け駅へ向かう。なんとも不思議な夜だった。

コミックと
ロックの間に
何がある

今週は待ちに待った坂本氏のソロ・アルバムの発売週。気分が盛り上がる。
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ロック天狗連―東京大学ブリティッシュロック研究会と七〇年代ロックの展開について知っている二、三の事柄

2011年07月13日 00時32分53秒 | 書物について

やたら長いタイトルの単行本だが、実はこの本は私が大学時代に在籍した音楽サークルの創始者にあたる先輩方が当時の日本でのロック状況をあくまでアマチュアの立場で描いた秀作である。

東京大学ブリティッシュ・ロック研究会、通称BR研が設立されたのは1973年、私は未だ小学生だった頃である。ベトナム戦争と学生運動が吹き荒れた後の空白の時代に思春期を迎えた彼らは欧米のロックに憧れ楽器を持ち、練習場所を学内に確保し、部員を集めて大学公認のサークルを誕生させた。その経緯や当時の英米ロックへの憧れ、そしてそれを自分たちでコピーし演奏することの喜び。あまたある「プロの」評論家や作家による1970年代ロック論とは全く違う大多数の「素人」の視点から書かれた日本のロック誕生物語。

5人の筆者は現在は大学教授やテレビ・ディレクターとして活躍している。そんな彼らの、そして私たちの青春時代を形作ったロックへの深い愛情は、いつまでも忘れることの出来ない鮮やかな記憶として心の中に残っている。ロック好きな人にはお薦めの一冊である。
ロック天狗連紹介

ラジオから
流れるリズムに
憧れて

私は当時BR研ではRajioというオリジナルのニューウェイヴ・バンドとアロエスミスというエアロのコピー・バンドをやっていた。

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ロックに負けずカッコいい~日本フリージャズ史

2011年01月14日 00時23分58秒 | 書物について
先日ビデオで観た映画「エンドレス・ワルツ」の影響でフリージャズがマイ・ブームになっている。

「エンドレス・ワルツ」にも出演しているオーガナイザー/評論家の副島輝人氏の大著「日本フリージャズ史」(2002年出版)を図書館で借りて再読している。映画「AA」や「エンドレス・ワルツ」を観た後だから、以前読んだ時よりも歴史的背景や個々のアーティストのことがより深く理解できてとても面白い。

富樫雅彦、佐藤允彦、山下洋輔、高柳昌行、吉沢元治、高木元輝、豊住芳三郎、阿部薫、ナウ・ミュージック・アンサンブル、タージ・マハル旅行団・・・。1960年代終わりに産声を上げ、学生運動や反安保運動、ヒッピー・ムーヴメントなど世の中の変革に呼応して発展してきた日本のフリージャズ・シーン。マニアックな世界だが、例えばジュリアン・コープの「ジャップ・ロック・サンプラー」のジャズ版だといえば興味を惹かれる人もいるだろう。ロック以上に理論や概念の違いが際立つジャズ界を生き抜くことが如何にスリリングなことだったのか、読み進むにつれて憧憬に近い気持ちが湧き上がってくる。
最終章には渋さ知らズや大友良英などバリバリの現役で活躍するアーティストについても紹介されている。

阿部薫や高柳昌行の作品がCDショップで簡単に入手できる今だからこそ、その激烈な音を作り上げた時代背景を知ることが重要なのである。

ロックより
先鋭的な
フリージャズ

この本を読み終わったら間章のエッセイ集を借りて来よう。

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懐かしの80's~香山リカ「ポケットは80年代がいっぱい」

2010年12月17日 00時56分19秒 | 書物について
精神科医として精力的な活動で知られる香山リカさんの医学生時代にあたる1980年代前半の回想録。

大里俊晴氏の「ガセネタの荒野」やばるぼら氏の「ナイロン100%」、さらに大里氏一周忌で一部で盛り上がる吉祥寺マイナーを中心とするアングラ音楽シーン、そういったサブカルチャーの一端を担った香山さんの青春時代が幾分シニカルな視点で描かれた著作である。

当時の先端的カルチャーを取り上げていた工作舎の編集部に入り浸り、そこで知り合った山崎春美氏に誘われアングラ誌「HEAVEN」に編集・執筆者として参加。医大へ通いながら自然にサブカルの世界に惹かれて行く香山さん。

山崎氏の「自殺未遂ギグ」に「ドクターストップをかける女医」の役で参加したエピソードは面白い。私の記憶では山崎氏のパフォーマンス中にパイプ椅子で彼を投打した女性が香山さんだと思っていたのだが、あれはきっとロリータ順子さんだったのだろう。

80's
バブルの前の
地下文化

「ガセネタの荒野」が絶版の今、アマゾンで普通に買える香山さんのこの本で当時の時代の息吹を知ることが出来る。お勧めです。
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80年代渋谷発ポップ・カルチャーの源泉、NYLON 100%

2010年12月04日 01時28分38秒 | 書物について
1980年代日本のパンク/ニューウェイヴ・シーンの震源地として注目された一軒のロック喫茶が渋谷にあった。「ナイロン100パーセント」という名前の店で、ヒカシュー、プラスチックス、8 1/2、戸川純、ゲルニカ等の活動拠点となり、アラーキー、渡辺和博、ひさうちみちお、奥平イラ等の文化人達もここに集った。その8年間の軌跡を関係者への詳細なインタビューと共に綴ったドキュメンタリーがこの本だ。

私は個人的にはこの店に行ったことはない。吉祥寺マイナー、ぎゃてい、赤毛とそばかす、高円寺BOYやジャズ喫茶には入り浸っていたが、NYLON 100%はちょっとシャレオツ過ぎるような気がして足が向かなかった。しかしこの本を読むと吉祥寺マイナーと同時代に新たなロック文化を創り出したとても面白いスポットだったことがわかる。マイナーがあくまで中央線文化に根ざした湿り気とアングラ性を称えていたのに対し、NYLON 100%はよりポップで開放的な場所だったようだ。

初代店長の中村直也氏はパンク雑誌「ZOO」でオルタナティヴ・ロックやインダストリアル・ロックの紹介をしていて、当時私は大きな影響を受けた。今思えばマイナーよりもNYLONの方に共感してしまう。巻上公一、久保田慎吾、高木完、戸川純、Phew、大槻ケンジ、岸野雄一など登場人物も華やかである。

この本の著者ばるぼら氏はマイナーを中心とする中央線ニューウェイヴにも詳しく、そのシーンの話も出てきてとにかく面白く読める。80年代の日本のサブカルチャーに興味/憧れを抱く人には絶対お薦めの本である。

ナイロンと
プラスチックの
異空間

ケラリーノ・サンドロビッチ氏の劇団「ナイロン100℃」はこの店から名前をとったらしい。

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中原昌也氏、朝日新聞に登場。

2010年10月18日 00時56分18秒 | 書物について
10月17日(日)朝日新聞の書評欄の”著者に会いたい”のコーナーに中原昌也氏のインタビューが掲載された。
「IQ84以下」についての記事で、筆者は”朝日新聞一のアングラ通"近藤康太郎氏である。

近藤氏は以前もこのコーナーでJOJO広重さんにインタビューして「30年間アホでした」との名言を引き出している。

今回の中原氏からは、自分のやることはすべて「『でたらめ』なんですからね」という本質を突いた発言を引き出した。曰く「自分はいたこ。音楽は機械が勝手に出している音を自分が調整しているだけだし、文章だって勝手に出てくるものをつづっている。あるいは剽窃。事故みたいなもの」。

この記事で本が売れたりライヴの動員が増えたりするとは思えないが、全国紙の紙面に掲載されたことは決して無駄にはならないだろう。

本当に
著者に会いたいのは
近藤さん

写真写りが余り良くないのが残念。
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中原昌也x長嶋有トークイベント@外苑前on Sundays 2010.10.8(fri)

2010年10月10日 00時44分41秒 | 書物について
中原氏と小説家の長嶋有氏、それに加えて装丁家/グラフィック・デザイナーの名久井直子嬢を加えたトークイベント。中原氏の「中原昌也展:IQ84以下」に合わせて開催されたイベントだ。

長嶋氏が昨年スウェーデンを訪れ、ノーベル文学賞の選考委員に紹介されノーべル賞を密かに期待していたこと。
長嶋氏がブルボン小林の筆名で書いたゲーム小説の文庫版の表紙を中原氏と名久井嬢が手がけたこと。
中原氏が今も文芸春秋に寝泊まりしていること。
長嶋氏と名久井嬢達で3年前同人誌を作り、そこに中原氏も寄稿していて、高松の美術館でライヴを含めた出版記念イベントを開催したこと。当時のキューレイターの奥さんが美人だったこと。
長嶋氏がIQ84以下の原画を購入するのだがどの絵がいいか迷っていること。
中原氏と名久井嬢の親との葛藤のこと。
などなど1時間半に亘る和気あいあいとした楽しいトークイベントだった。

長嶋氏の芥川賞受賞作「猛スピードで母は」を図書館で借りたが、私にとっては珍しく分かり易い小説であっという間に読んでしまった。

同人誌の第3号が来年春頃には作る予定で、そこには中原氏も積極的に参加するつもりだという。
同人誌HP

同人誌
入手方法
教えてよ

写真はノーベル賞受賞の連絡を待つ長嶋氏 笑。

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予想以上にシリアスな~中原昌也「IQ84以下」

2010年09月21日 00時26分25秒 | 書物について
中原昌也氏の初の絵画集が発売された。
136ページに及ぶ描き下ろしの作品集。今までもCD/書籍のイラストや個展等でユニークな感性を評価されてきた彼のペインティングの才能が120%発揮された傑作である。
しかも今までの作品に顕著だったどこかユーモラスな楽天性よりも、シリアスでペシミスティックな雰囲気が色濃く、自らの存在に疑問を呈しているようにも思える。
初版限定でイメージCD/ポスター・カバー付。

初めての
画集に込めた
怨念よ

書き下ろしのショートストーリーも掲載されているので、中原氏の小説のファンも見逃せない。
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非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE

2010年09月12日 00時59分38秒 | 書物について
朝日新聞にも取り上げられ話題になっている非常階段のヒストリー本を読了。

これは非常階段というひとつのバンドだけを描いた本ではない。1970年代終わりから1990年代までの関西ライヴハウス・シーンの生々しいドキュメントでもあるのだ。
その一例としてビデ・ガレージ・コンサートがある。後にウルトラ・ビデを結成するビデが高校生時代に、ロック喫茶どらっぐすとぅあの常連達と開いていたフリー・セッションで、JOJO広重さんはそこで自由な音楽と自主コンサートの方法論を学んだという。東京で言えば、吉祥寺マイナーで開かれていた十時劇場か、荻窪グッドマンの即興道場の様なものだったのではないだろうか。関西の音楽シーンの源泉を辿るようなドキュメンタリーである。
広重さんはそこから出発してウルトラ・ビデ~螺旋階段~腐食のメリィ~非常階段とバンド遍歴を重ねていく。それと共にアンバランス・レコード、アルケミー・レコードなどの自主レーベルの発展も生々しく描かれている。

シーンの動きを克明に描くと共に、この本は非常階段というバンドに関わった人達の青春ストーリーとも読み取れる。その意味では「ガセネタの荒野」の関西版とも言えるだろう。特に後半のJOJO広重さん、美川俊治氏、JUNKOさん、コサカイフミオ氏による文章は良質なレコードガイドであり、各自の青春遍歴を描き出した珠玉の文章と言えるだろう。

青春を
ノイズで過ごす
エントロピー

そういえば昔、音楽雑誌「G-Modern」に連載されていた「非常階段ストーリー」も面白かった。纏めて欲しいねえ、生悦住さん。
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電子雑音9号

2010年05月26日 01時00分51秒 | 書物について
2005年に大腸癌で逝去されたMSBRこと田野幸治氏が編集長となり、日本に於ける唯一のノイズ・ミュージック専門誌として一部で熱狂的な支持を集めた「電子雑音」の最終号が田野氏の没後5年経って遂に発行された。

当初2006年に発行予定だったものが延期になっていたので、記事には若干古いものが多いが、田野幸治氏追悼特集を始め、ずっしり読み応えのある内容になっている。生前田野氏が招聘を考えていたControlled Bleedingのインタビューもあって感慨深い。
日本編とドイツ編の付録CD2枚付。限定500部というから興味のある人は急いで買った方がいい。amazonでも扱っている。

私は雑誌の購読だけではなく、WhitehouseやGenocide Organ等デンザツ主催のライヴや代々木のデンザツショップにもよく足を運んだものだ。田野氏は飄々としていて話しかけやすく、ノイズやプログレに関する色んな話を聞かせてもらった。お世話になりました。

デンザツに
教えてもらった
音楽の深さ

今頃天国で田野氏は電子雑音発行を聞いて微笑んでいるに違いない。
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