A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

人間の声の可能性に挑んだ歌手~キャシー・バーベリアンの世界

2012年03月07日 00時32分23秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


3/6はアメリカの女流声楽家/作曲家のキャシー・バーベリアンの命日である。

私は高校の頃から前衛的な音楽に目覚め、インダストリアル/オルタナティヴ/プログレ/フリージャズなどを聴き漁っていた。雑誌「Fool's Mate」や「Marguee Moon」で誰も知らないアーティストについての小難しい文章を読んでは悦にいっていた。父がクラシック好きで家にレコードがいっぱいあった。殆どがベートーヴェンやモーツァルト、チャイコフスキーといった古典派の作品だったが、その中にストラヴィンスキーやバルトークなどが混ざっていた。かのプログレ誌では影響を与えた音楽としてそんな現代音楽が紹介されていたものである。実際ストラヴィンスキーの「春の祭典」やバルトークの弦楽四重奏曲を聴いた時には「こんな凄い音楽が自分が産まれる前にあったのか」と衝撃を受けた。以来自分でもレコード屋の現代音楽コーナーに足を運ぶようになり、フランク・ザッパが好きだというエドガー・ヴァーレーズやブライアン・イーノに影響を与えたエリック・サティなどのレコードを購入した。その中にルチアーノ・ベリオの「セクエンツァ」もあった。そのレコードで歌っていたのがキャシー・バーベリアンだった。オペラチックな歌唱の中に囁き声や笑い声を織り交ぜたヴォーカリゼーションに一発でノックアウトされ、以来キャシーの名前は私の脳裏に深く刻まれることとなった。レコードの解説でキャシーがベリオと結婚していたことを知り、この「女声のためのセクエンツァIII」が彼女のために書かれたことを知った。ジョン・ケージやストラヴィンスキーからも作品を献呈されていることも。まさに声楽家の表現力(演技力)の可能性に前代未聞の領域を拓いた先駆者だったのである。

命日だというのでYouTubeで検索したらいろいろな画像/音源が見つかった。現代音楽だけではなくビートルズ・ナンバーや民謡を歌った映像も新鮮だった。キャシーがいなかったら、オノ・ヨーコもダグマー・クラウゼもディアマンダ・ギャラスもビョークもいなかったに違いない。キャシーの映像をいくつか紹介するので魅惑に満ちた声の芸術の世界に浸って欲しい。

▼キャシー、ビートルズを歌う



▼ベリオがキャシーのために書いた歴史的名曲「セクエンツァ」



▼キャシー自身が作曲した作品。出鱈目に歌っているようだが全て漫画のコマの切り抜きからなるグラフィック・スコアで”作曲”されている。スコアの実物も見ることが出来る。



声の持つ
あらゆる魅力を
引き出した

現代音楽ってとても楽しいのだよ。
コメント
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