A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

芳垣安洋+広瀬淳二+井野信義+スガダイロー@新宿ピットイン 2012.3.25 (sun)

2012年03月27日 00時52分02秒 | 素晴らしき変態音楽


1980年代から藤川義明イースタシアオーケストラ、富樫雅彦グループ、大友良英のグラウンドゼロ、渋さ知らズ、P.O.N.、ステレオドローム、A Paragon Of Beautyと数々のユニットに参加してきたテナー・サックス奏者広瀬淳二さんとは1年前ライヴの時にお話しして知己の間柄になり、以来お会いする度に何故か恐縮して挨拶してくださる関係に。その割にはスケジュールが合わず演奏を観ることが出来ず、約10カ月ぶりの観戦となった。今回は井野信義さん(b/元ブルーベル・シンガーズ、1970年代から高柳昌行、日野元彦等と共演する日本ジャズ界の重鎮)と芳垣安洋氏(ds/山下洋輔、坂田明、板橋文夫、梅津和時、片山広明、巻上公一、ホッピー神山、菊地成孔等数多くのアーティストと共演、ROVO、大友良英ニュー・ジャズ・オーケストラ、アルタード・ステイツ等のメンバーとして活躍中)からなるレギュラー・トリオに新進気鋭の“フリージャズ”ピアニスト、スガダイロー氏を加えたカルテットでピットイン出演。トリオでは観たことがあるが、ライヴハウスの店長に“東洋一のフリージャズ・トリオ”と紹介され、「何故東洋なんだろう」とメンバーも苦笑した演奏は卓越したテクニックと自己統制に裏打ちされた素晴らしいものだった。スガ氏は「山下洋輔」という曲を作曲・演奏しており以前から興味があったがなかなか観れずにいたアーティスト。その両者が共演するのだから絶好の機会だ。

スガ氏の起用は「せっかくのピットインだから何か爆弾をと思って」(芳垣氏)決めたという。広瀬さんとの共演は2度目。ベテランの3人に比べ如何にも若くフレッシュな佇まいのスガ氏だが、その演奏は大先輩達に引けを取らない堂々としたものだった。このユニットの演奏は、例えば坂田明さんのパワーを一気に全開にするドラマティックな演奏とは一味違い、溢れ出るエネルギーを制御しピリピリした緊張感に満ちた掛け合いから徐々に盛り上がる極めてシリアスで抑揚の効いた即興である。方向性はデレク・ベイリー等が実践したヨーロピアン・フリー・インプロヴィゼーションに近い感触がある。広瀬さんは豪快なブロウよりも細かいフレーズを重ねて行く音響派的なプレイ。井野さんの的確なバッキングと芳垣氏のシンバル類を多用した扇情的なドラミング、そして洋輔さんの鍵盤駆け上りドシャメシャ奏法を増殖したようなスガ氏の激しい演奏がぶつかり合い異次元の音楽空間を産み出す。40分ノンストップの演奏が2セット。ベース・アンプが故障してしまったアンコールでは広瀬さんがサックスのベルを足で押さえミュートする独自の奏法に芳垣氏のゲリラ集中豪雨型ハードコア・ドラムが炸裂する怒涛のインプロヴィゼーション。



ピットインはそこそこの入りだったが、フリージャズの進化系を提示するこのトリオはもっと注目されていい。また、スガダイロー氏の自己のグループのライヴも観てみたいと思った。

フリージャズ
まだまだ死んでは
おりませぬ

ピーター・ハミルから始まった8日連続ライヴだったが翌日、翌々日もライヴに行くことになり10連荘に。「踊る大捜査線」の台詞じゃないが、”音楽はリスニング・ルームで起きてる んじゃない。現場で起きてるんだ!”
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする