2020年11月29日(日)渋谷DJ Bar EdgeEndで開催されたイベント『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 リターンズ (vol.35)』のトップバッターとして廻したセトリをショートコメント入りで解説する。セットを通して3番目のノイズドール”おりん”の変調ノイズが、潜在的な和の心の虚しさとさもしさをリセットするかの如く鳴り続けたことを付け加えておきたい。
DJ Necronomicon a.k.a.剛田武 "和の心MIX" with Noise Doll "Orin"
1. 禅・只管打座 / 永平寺の朝
10歳から13歳まで石川県金沢市に住んでいた筆者は家族の宗派である曹洞宗の大本山永平寺に何度か参拝した。長い階段を上り詰めると現れる静寂の嵐に溺れた。
2. 山岳帯森林の鳥のコーラス
山の上の鎮守の森から聴こえる鳥の囀りは最高のインプロヴィゼーションに他ならない。日本の野鳥による即興音楽野外フェス。
3. Bjorn Nilsson / CXLI Greeting to La Monte Young
スウェーデンのcontentレーベルから97年に発表された名コンピCD『with a minimum of means』より、レーベル・オーナーのビヨルン・ニルソンがラ・モンテ・ヤングに捧げたピアノとパーカッションのための音楽。
4. 加戸桂子 / 正調山中節
石川県の山中温泉も家族旅行で何度も訪れた。山中節は小中学校の音楽の授業で歌った記憶がある。遅い回転数でかけるとドープなアシッド民謡になる。
5. 秋山梅鶯 / 黄鶴楼
女流詩吟の10インチLPより。凛とした声で豊臣秀吉や良寛和尚の和歌を吟ずる詩吟女子のレトロ感に浸ってしまう。
6. 林光 / JAPAN
現代音楽の中でも一番身近は合唱曲は器楽好きには少々きついが、ミックスすれば幻想世界への入り口になる。
7. 黛敏郎 / 昭和天平楽・急
50年前の現代邦楽を今聴くと、ジョン・ケージやシュトックハウゼンには真似できない凄みに惚れてしまう。
8. Alvin Lucier / I am sitting in a room
contentのコンピより、アメリカの実験音楽家アルヴィン・ルシエの69年の音声作品。聞き取りにくい呟きが続く我慢の限界点。
9. 杜の都せんだい観光案内
小学校1~4年を過ごした宮城県仙台市の絵葉書セット付録ソノシートより。50年経って街並みは変わっても観光名所は変わらない。
10. 日本三景松島観光案内
日本三景松島の絵葉書セット付録ソノシートより。こちらは風景も名所もほぼ変わらない。
11. Zoltan Jeney / KATO NJ 300; July 22, 1979, 10.30 a.m.. - Lipto Street, Budapest
contentのコンピより、敬愛するハンガリーの現代作曲家ゾルタン・イェネイの79年のオルガン作品。30分間同じフレーズを弾き続ける超難曲。
12. 連合赤軍「あさま山荘」人質事件トップ・シーン
小学生の頃テレビで観たあさま山荘事件は、意味は分からなかったが歴史的重大事件としてトラウマになっている。非情のドキュメンタリー。
13. 坂田明 / 勧進帳
2011年に『平家物語』を歌い吹いた坂田明が80年にリリースした打上芸レコード『20人格』より、最もハードコアジャズな1曲。
14. 虫しぐれ / 中秋
日本の歴史物語のBGMには虫の音が似合う。一方で周波数がハーシュノイズに一番近い自然音が虫しぐれだという説があるとかないとか。
15. 友川かずき / 無残の美
武士は食わねど高楊枝という諺になるように日本人の美学はやせ我慢。負ける者こそ美しい、つまり無残の美。
日本の美
心清らか
世は静か
<剛田武12月の予定>
12月13日(日)
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.36
阿佐ヶ谷TABASA
・DJ Necronomiconとして出演
12月21日(月)
《哲学者の薔薇園》+盤魔殿
Collaboration Deeplistening Event Musica Rosarium
四谷三丁目 喫茶茶会記
・Lower Than Godとして出演
12月28日(月)
神田楽堂庵研究所2020 SPECIAL LIVE!!!
神田楽堂庵
・狩俣組2020のメンバーとして出演