A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【クラシックの嗜好錯誤】第十回:7インチで聴くミュージック・コンクレート~ピエール・アンリ『21世紀の男』『タコの秘密の愛欲生活』

2021年11月13日 02時27分19秒 | 素晴らしき変態音楽


●ピエール・アンリ Pierre Henry『21世紀の男 L'homme Du XXIe Siècle』

Unidisc – EX 33.145 / France / 1960

脚本:アルベール・デュクロ
音楽:ピエール・アンリ
表紙写真:アルマンによるオブジェ
語り手:アルベール・デュクロ/テアトル・デ・クインゼ

フランスのサイバネティクスの先駆者と言われる科学者アルベール・デュクロの脚本によるラジオ・ドラマのサウンドトラック。何千年も前の原始人の残した壁画から当時の生活を推察するように、21世紀の人類がどうなっているのかを知ることは出来ないだろうか、というテーマに基づいたストーリーらしい。テアトル・デ・クインゼ(15人劇団)のメンバーの会話のバックにピエール・アンリの奇怪で時にコミカルな電子音が流れるサウンドは、子供向けアニメの効果音にように聴こえる。日本でも鉄腕アトムの効果音を電子音響作家大野松雄が担当していたし、武満徹や湯浅譲二、一柳慧らの電子音楽がラジオドラマやアニメ映画に使われていた。なお、ジャケ写のオブジェを手掛けたアルマン(本名:Armand Pierre Fernandez)はフランスの芸術家で、1953~1971年、女流電子音楽家エリアーヌ・ラディーグと結婚していた。ラディーグは当時ピエール・アンリのスタジオ・アプソムで助手として働いていたという。

L'homme du 21ème siècle (Part 1)


L'homme du 21ème siècle (Part 2)



●ピエール・アンリ Pierre Henry『タコの秘密の愛欲生活 The Secret Love Life Of The Octopus』

Stomach Ache Records – SA-12 / Mexico / 1994

フランス/1965/フランス語/カラー/DVD(原版:35mm)/13分
監督:ジャン・パンルヴェ、ジュヌヴィエーヴ・アモン
音楽:ピエール・アンリ
提供:ドキュマン・シネマトグラフィック

海の生き物についての科学映画で知られ、生涯で200本以上の科学映画を制作したフランスの映画監督ジャン・パンルヴェ監督の1967年の短編映画『タコの愛の生活 Les amours de la pieuvre』のサウンドトラック。知られざるタコの交尾の儀式を激写&接写した実験映像にアンリのグロテスクな電子音が加わると、タコが地球外生命体に見えてくる。パンルヴェ自身の朴訥とした語り口が、逆に非現実感を増幅させる。後半の濃厚な交尾や出産シーンに性的興奮を覚える人もいるだろう。細胞のマイクロスコープ映像はそのままミュージック・コンクレートのMVに使えるクオリティ。無数のタコの赤ちゃんが舞う誕生シーンで生命の神秘に感涙すること必至である。このレコードは、映画で使われたラッカー盤から起こした限定200枚の非公式7インチ。ゲロゲリゲゲゲやAUBE、Abe Sadaなどジャパノイズもリリースするメキシコのノイズ/パンク・レーベル「胃痛レコード」からのリリース。

Jean Painleve 1967 The Love Life of the Octopus


7インチ
具体音楽
具象的

▼ヨ・ラ・テンゴがジャン・パンルヴェ監督映画に音楽を付けたパフォーマンス。『タコの愛の生活』は43分32秒から。
Yo La Tengo - The Sounds of the Sounds of Science [ Live Visuals ]



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