盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.41
2022年7月30日(土) 阿佐ヶ谷TABASA
DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
DJ Vaby a.k.a.大場弘規
DJ Athmodeus a.k.a.持田保
DJ Amy a.k.a. モリモトアリオミ
DJ Lézard Noir (from France)
VJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫
LIVE : MOGRE MOGRU
<踊れないことに特化したDJイベント>と銘打って2017年にスタートした『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會』は6年目に突入し、今回が数えること41回目。<踊れない>という名目は、<クラブDJ=人を踊らせてなんぼ>という盲目的なイメージに反旗を翻す目的で掲げただけであり、時代錯誤なダンス規制法など体制側の馬鹿さ加減に飽きれて<踊らせる>方向に転化したりもした。かつて江戸アケミは「おまえはおまえの踊りをおどれ 」と檄を飛ばしたが、今を生きる我々にとっては「踊るも踊らないもおまえの勝手にしやがれ」という高踏的なスタンスこそ我が意を得ている。
さて外気は35度超えの魔夏真っ盛りの土曜日に阿佐ヶ谷TABASAという奥様は魔女風のロックバーに集いし異端DJたちは、夏の暑さを濃縮し音楽熱を触発する灼熱の音の連続技で、頭寒足熱ならぬ体寒音熱でフィジカル熱中症の治癒にあたった。盤魔殿の長老的存在のVJ Qliphothこと宇田川岳夫がPCから投射する忙しないコラージュ映像が、流れる音楽および非音楽の騒々しさを姦しく増長させ、熱帯夜にも関わらず足を運んでくれた少数精鋭のお客さんたちに普通じゃない異常な歓びを供与することが出来たとすれば、異端者冥利に尽きる真夏の夜の夢であった。
●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
テーマはニューヨーロピアンということで、北欧電子音楽・東欧中世音楽・ロシア民俗音楽・共産圏地下ロックなどをスピン。当初予定していた陽気なシャンソン、カンツォーネ、フラメンコを封印したダークサイド・オブ・欧羅巴で会場を静寂の嵐に巻き込んだ。
1. Ralph Lundsten / Cosmic Love - Trial and Descussion
2. Fistulatores Et Tubicinatores Varsovienses / Estampida - Ductia
3. Napalmed / 3.3.95 / A
4. Mart Saar / Karjase kaebus
5. Napalmed / 06.03.95 / A
6. Zoltan Jeney / impho 102/6
7. Лазги / Лазги Саломи
8. Ka Baird & Pekka Airaksinen / Syzygy (for Pekka)
9. The Plastic People Of The Universe / Samson
●DJ Lézard Noir (from France)
フランスのオカルト/リチュアル・レーベルのオーナーDJ Lézard Noirことステファンの2度目の盤魔殿ゲスト出演。今回は80年代フランスのミニマルウェイヴ、ポストパンク、ダークウェイヴのミックス。フランス語のオシャレな響きが、80年代の明るさと軽さを象徴しているように感じた。
1. Salvador Dali : la folie 0:20
2. Telex : Ca Plane Pour Moi 5:20
3. Kraftwerk+Houellebecq : Bootleg 4:06
4. Moderne : Indicatif 3:30
5. Mathematiques Modernes : A + B = C 4:00
6. Deux : Paris Orly 4:20
7. Charles de Goal : Exposition 5:30
8. Taxi girl : Cherchez Le Garçon 3:30
●DJ Athmodeus a.k.a.持田保
国籍不明のダブ/ヒップホップ・ビートの中に蠢く呪怨の言葉が湯気のように立ち上るセットリストは、ダンサブルではあるが、むしろ踊念仏のほうが体と心にやさしいかもしれない。ミックスが上手い!とステファンが褒めていた。
1:V.A. / Indian Soundscapes
2:キリストの墓の民謡ナニャドヤラ
3:恐山Vibration / 寝ロジャmix
4:King Coya / Villa Donde
5:Mark Stewart / The Puppet Master
6:El Mandy Jr. / Perfectly Chased
7:Omar Souleyman / Shift Al Mani
8:Saint Abdullah / Problem
●DJ Amy a.k.a. モリモトアリオミ
ポストパンクとニューウェイヴ中心でこちらも身体が勝手にリズムを刻んでしまう絶妙な選曲。その中に顔をのぞかせた謎フォーク「雪女」に心が持って行かれたのは筆者だけではあるまい。小山少年とは何者か、気になって眠れない。
1.O.S.T. (Steve Horelick) 「The Legend Lives / Beware」
2.森茶碗 「午後のうた」
3.Mekanik Kommando 「Birds」
4.Lost Desert 「Conversation」
5.LENASIX-UP 「Child Hood's End」
6.小山少年とback Page Band 「雪女」
7.Siglo XX 「Dreams Of Pleasure」
●MOGRE MOGRU
当初は剛田武とTanaoの二人編成でMOGRE MOGRU 2/3として出演する予定だったが、当日になって黒い瞳も参加できることになりフルメンバーでの出演となった。いつもは区切りのない長尺演奏をしているが、今回は実験的に3~5分に区切って演奏するスタイルに。その結果アンビエントよりもインプロヴィゼーション色の強いライヴになったと思う。今回の実験の成果を次のライヴに活かしたい。それこそ深化するインプロアンビエントユニットMOGRE MOGRU(モグモグ)の生き方であろう。
●DJ Vaby a.k.a.大場弘規
パンクロック~パワーポップ~ハードコアの連続はこれまでの盤魔殿にはなかったスタイルだが、個人的には最高に楽しんだ。くそったれな世の中とくそ暑い熱帯夜には、ストレートなロックンロールが最高の薬。やっぱりパンクDJは7インチ・シングルに限る!
1. The Letters / Nobody Loves Me
2. Sex Pistols / Pretty Vacant
3. 999 / Homicide
4. Elvis Costello / Pump It Up
5. The Stranglers / Duchess
6. Blitz / Warriors
7. The Exploited / Dead Cities
8. Negative Approach / Can't Tell No One
9. The Dickies / Banana Splits
10. The Clash / London Calling
11. The Damned / Smash It Up
盤魔殿
音楽スタイルに
限界ナシ
【イベント情報】
2022年8月3日(水) 吉祥寺NEPO ★MOGRE MOGRU出演
【Deep Science】
open/start 18:30/19:00
adv/door ¥2,200(+1order)
streaming ¥1,000
出演〉
ジョコンダの憂鬱
YOSHIO(ケーナ奏者)
Marc Lowe
MOGRE MOGRU
〈チケット予約方法〉
・NEPOのHP予約
https://nepo.co.jp/contacts/index/1515?tab=booking
・各アーティストの取り置きも受け付けます。
<配信>
https://nepostream.myshopify.com
2022年8月8日(月) 阿佐ヶ谷TABASA ★持田保出演。
ケロッピー前田presents狂気音楽 a.k.a.クレイジーミュージック探訪
ライバッハ編
出演:ケロッピー前田、持田保
19:00スタート予定
1000円+1D
旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国体制が統治者チトーの死により崩壊の兆しを見せ始めた1980年、現スロベニアにて結成された「新スロベニア芸術」集団ライバッハ。そのファシズムを題材とした芸術運動は国家からの弾圧やユーゴスラビア紛争によるメンバーの死を経験しながらも現在に至るまで「西側にはない」独自すぎる表現方法を貫き通している。クレイジーミュージックではそんなライバッハの活動を通して、ユーゴスラビアの歴史やファシズム、パロディという抵抗運動などを検証していく予定。